主旨

地球温暖化抑制の切り札の一つとして再生可能エネルギーの導入が急速に拡大しております。再生可能エネルギーには太陽光・太陽熱発電のように直接太陽放射を使用するものだけではなく、風力や海流発電なども含んでおり、そのほとんどが太陽に由来しております。実は主要な一次エネルギーである石炭、天然ガス、石油などは「過去の太陽の化石」です。
太陽エネルギーを直接利用する太陽熱発電と太陽光発電とは良く比較されますが、急速に発電コストが低下し導入が急増している太陽光発電があるにもかかわらず太陽熱発電も重要な技術と位置付けられているのは次のような理由があります。集光型太陽熱利用の特徴は、光を一旦熱へと変換して利用するため、比較的低コストの蓄熱システムや既存のボイラと組み合わせることが可能です。これにより、雲の通過時や夜間においても安定したエネルギー供給が出来、太陽光発電よりも電力の安定供給が可能です。集光型太陽熱利用において、太陽光の集光・集熱技術は図1に示すようにさまざまであり、また、新たなエネルギー転換技術や用途も今後開拓されていくと見込まれます。

図1 集光型太陽熱利用の集光・集熱技術、エネルギー転換技術とその応用

再生可能エネルギーの使用の拡大において最大の課題はその出力の時間的な不安定さであり、それを克服し、再生可能エネルギーの導入量を拡大するためには何らかの蓄エネルギー技術の導入が必要です。大規模蓄エネルギー技術にはバッテリー、揚水、水素など、様々な技術がありますが、太陽熱発電の重要技術である「蓄熱」を用いる新たな大規模蓄エネルギー技術である「蓄熱発電」が有効との認識が拡がりつつあります。これは、図2に示すように、再生可能電力をいったん熱エネルギーへと変換し太陽熱で培われた蓄熱技術を用いて蓄え、必要なタイミングで再び電力へと変換するものです。
集光型太陽熱利用技術も、蓄熱発電も、ドイツ、スペイン、米国を中心とする欧米諸国が先行していますが、これら諸国の技術も発展途上であり、エネルギー転換分野とのシステム展開にあっては、今後期待される分野となっています。日本が先行する諸国に伍してこれら技術開発に対応し進めていくためには、大学での研究・開発と連携しながら、関係研究機関、一般需要家など関係者が情報交換を行い、考え方を共有するとともに、必要な技術開発についての提言や、技術開発を行うことが重要であると考えます。
上記のような認識の下、(一財)エネルギー総合工学研究所では、有料会員制の「集光型太陽熱技術研究会」を2009年より運営してきましたが、これを改名し、太陽熱・蓄熱技術研究会として運営を続けてまいります。

図2蓄熱発電の概要

体制

研究会には、以下の役員を置きます。

会長研究会の代表者(1名)
副会長会長の補佐(1名)
幹事幹事会のメンバーとして研究会の具体的活動を決定。会員企業から選任(数社)。

事務局は、一般財団法人エネルギー総合工学研究所内に置きます。

※令和2年度から「太陽熱・蓄熱技術研究会」に名称が変わりました。
 (旧名:集光型太陽熱技術研究会)