(一財)エネルギー総合工学研究所は、2023年9月25日に技術評論社より
「図解でわかる再生可能エネルギー×電力システム」を発刊いたしました。

発売:2023年9月25日
編著:(一財)エネルギー総合工学研究所
発行:技術評論社
A5判/352ページ
定価2,970円(本体2,700円+税10%)
ISBN 978-4-297-13667-3

図解でわかる再生可能エネルギー×電力システム」出版に際して

 2020年10月、菅総理(当時)は所信表明演説の中で「2050年までにカーボンニュートラルを目指す。」と宣言しました。カーボンニュートラルへの急速な関心の高まりを受けて、当研究所では、これまで実施してきた研究部門の幅広い知見を活かして情報発信するために、2021年9月に「図解でわかるカーボンニュートラル」を技術評論社から出版しました。2021年10月の第6次エネルギー基本計画では、2030年の再生可能エネルギー(再エネ)の電力量比率を36~38%に大幅に引き上げる目標が示されるとともに、これに先立つ2020年12月の経済産業省の基本政策分科会において、2050年の再エネ電力量比率を5~6割とする参考値が示されました。
このような情勢のもと、2050年のカーボンニュートラルを目指す上で欠かせない再エネについて、導入拡大に必須となる電力システム側の対応と合わせて、より詳しく最新の知見を踏まえた充実した内容で解説したものが、今回上梓した「図解でわかる再生可能エネルギー×電力システム」です。
 本書では、まず再エネ導入の意義とともに日本における再エネ導入の歴史を振り返ります。続いて、再エネの導入拡大に向けた施策および再エネ電力の環境価値を解説します。さらに、主要な再エネである太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱について、導入状況、最新の技術動向および今後の課題と解決の方向性を詳しく説明します。
次に、再エネの導入拡大を実現するため、日本の電力システムの概要と特徴について、欧州との対比を交えて整理します。さらに、現状の電力システムのままでは、太陽光や風力といった出力が安定しない変動性再エネをなぜ簡単には大量に導入できないのかについて、電力システムの技術的な特徴とともに、その解決策について、短期的および中長期的な取組を解説します。
 最後に、出力が安定しない再エネの導入拡大に極めて重要となっている蓄エネルギーシステム、EVの利活用などの取組を説明するとともに、地域の再エネを活かしたエネルギーの地産地消、地域マイクログリッドの取組事例などを紹介します。
 本書は、幅広い層の読者を対象に多くの図表を用いて解説したもので、当研究所の多様なバックグラウンドを持つ研究員の総力を結集して執筆したものです。再エネと電力システムの基礎的な知識の習得とともに、出力が安定しない再エネをどのようにすれば電力システムに円滑に導入できるかについて、理解を深めることのお役に立てて頂ければ幸いです。

(当研究所 電力システムグループ部長 炭谷 一朗)​​​​​​​