(一財)エネルギー総合工学研究所は、9月8日に技術評論社より
「図解でわかるカーボンニュートラル」を発行いたしました。

図解でわかるカーボンニュートラル 発売:2021年9月8日
編著:(一財)エネルギー総合工学研究所
発行:技術評論社
A5判/368ページ
定価2,970円(本体2,700円+税10%)
ISBN 978-4-297-12269-0

カーボンニュートラルに関する出版にあたって

近年、地球温暖化問題がますます強く意識され、2015年に採択されたパリ協定を受け、世界各国で、今世紀中葉にCO2などの温室効果ガス排出量実質ゼロが目標として示されている。わが国でも、2020年10月に菅首相がカーボンニュートラル宣言を行い、2050年における排出量実質ゼロを目指すことになった。また、新しいエネルギー基本計画を踏まえた2030年の温室効果ガス排出量は、2013年比で46%削減とする新しい中間目標も提示された。
1970年代のオイルショック、2011年の東日本大震災などは、社会やエネルギーの方向性を根本的に大きく変えた。カーボンニュートラル社会への移行は、気候変動の影響を抜本的に低減するため、温室効果ガス排出のトレンドを増加からピークアウト、さらに減少に向かわせることを世界全体の方向性とするという、新しい社会的なターニングポイントである。
ネットゼロ排出の達成は、負の排出であるネガティブエミッション技術の採用や、各種技術の大量導入が必須になるなどの点で、従来の取り組みと比較して、質および量の両面で大きく異なったアプローチが必要となる。カーボンニュートラルのコンセプトは、エネルギー政策やビジネスの方向性を抜本的に変え、化石燃料に依存してきた産業の脱炭素システムへの移行や、移動や居住といったライフスタイルの変革にまで影響を与える。低炭素から脱炭素へ向かうトランジションシナリオの実現は容易ではないが、同時にエネルギーセキュリティ、経済効率性および安全性といった環境以外の目標の重要性が低下したわけではない。技術と制度に関する方策を総動員するとともに、企業や消費者を含めた社会的に取り組みが必須である。
当研究所では、これまで行ってきた研究部門の幅広い知見を総括して情報発信することを意図した社会貢献を行うため、本年9月に「図解でわかるカーボンニュートラル」を技術評論社から出版した。本書は、昨年9月の「図解でわかるカーボンリサイクル」で取り上げた炭素資源循環から、視点をエネルギー全体に拡大し、カーボンニュートラル実現技術の現状と将来展望、およびその背景について、幅広い読者を対象として解説したものである。その内容は、世界や主要国のカーボンニュートラル目標を概説し、エネルギー供給として再生可能エネルギー、原子力、炭素資源利用について述べるとともに、エネルギーキャリアやシステムの視点からは、電力システム、水素、エネルギー貯蔵、ネガティブエミッションについて触れた。また、運輸・民生・産業のエネルギー需要についても解説した。さらに、カーボンニュートラル取り組み事例、ファイナンスにも言及した。是非、ご一読いただき、カーボンニュートラルを考える上でのご参考にしていただくとともに、率直なご意見をいただければ幸いである。

(当研究所 研究理事 黒沢厚志)