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高経済性低減速スペクトルBWRの技術開発
平成15年度 審査委員会評価
 
実施者: (株)東芝、岐阜大学

【総合評価】
本技術開発は実用性のある革新的な成果を創造すると見込まれ、わが国の原子力利用に係る技術基盤の発展に寄与することが期待されることからその実施意義が認められる。平成15年度は当初の計画を完了し、概ね予定通りの目標、成果を達成し、今後の成果も期待できる。平成15年度の技術開発成果と進捗状況評価では総体的に適切であると評価される。平成16年度は計画通り本技術開発を継続することが妥当であると認められる。
低減速スペクトルBWR炉心技術は将来の原子力発電システムの経済性向上に寄与することが期待できる要素技術である。実用化に向けては実機技術の確証など相当期間が必要であると思われるので実用的な成果が得られるよう一層の努力が求められる。
 
【参考コメント】
A. 研究テーマの妥当性・意義
  本技術開発は低減速BWR炉を利用して核燃料サイクルの経済性向上を図る観点で実施意義のある技術開発であると認められる。
  * 最終年度に向けて、得られた結果の適用範囲や成果の一般化に留意してまとめられたい。
  * ストリーミングチャンネルを持つところに本研究の検討の特徴がある。他機関で検討されている短尺燃料炉心に比べて既存BWRとのコンパティビリティがよいとの利点を客観的に説明できることを期待する。
  * 実用技術であるBWR技術を活かし、ウラン利用率を向上させる技術は、実用化までのスピードが速い増殖炉概念として、位置付けることができる。また高ボイド率、低減速状態における伝熱流動の知見を整備する過程で次代の人材育成に寄与した実績は評価できる。
  * 概念としては興味深いが、短中期導入炉として見た場合、どこまで電力会社に導入インセンティブを持たせられるか不透明である。
  * BARS概念に基づく核燃料サイクルの実現という意味で経済性向上が本技術開発の意図であるとしても、開発する原子炉プラントの経済性そのもの(建設コスト、運転コスト他)の検討も期待する。
  * 低減速炉の開発は、技術的な研究テーマとしてはチャレンジャブルな興味あるテーマではあるが、水炉で負の反応度効果の小さい(特別な工夫をしてストリーミング効果に頼らないといけない)炉心が必要なのか疑問である。また、実用化には燃料のシャフリング等の実運用が可能なのか検討が必要である。
  * 実用化には事故時安全性、シビアアクシデント安全性の評価も必要である。
  ▲Top
B. 研究開発目標、計画の妥当性
  (1) 研究開発目標の革新性の観点からの妥当性
研究開発目標は、国際的にみて平均的な水準にあると認められる。
  (2) 研究開発目標の事業目的達成の観点からの妥当性
研究開発目標は、実用化の観点からの要求水準を概ね満足していると認められる。
    * 炉心溶融に伴う再臨界の可能性について、評価すべきか否か検討する必要性がある。フィージビリティを示すのみではなく、むしろ工学的設計を実施し、妥当性を議論すべきレベルであると考える。ステップを踏むにしても許認可に至るまでのプロセスを具体的に描いて示すことが必要である。
    * ウラン燃料による臨界試験により、ストリーミング効果による負の反応度効果を確認しているが、低減速炉であるため、炉心寿命末期の高プルトニウム状態でのストリーミング効果による負の反応度効果を確認する必要があると考える。
    * 高経済性の目標は掲げているが、民間の視点で短中期的な経済性を考えた場合、ウラン供給への懸念材料が必ずしも大きくない現状で、既存の軽水炉との発電コスト競争力という点で大きな壁が存在する。
  (3) 研究開発計画の妥当性
計画は総体的に妥当であると認められる。
    * 低減速スペクトル炉の開発課題のうち、超高燃焼度下における材料の開発についても、検討が必要と考える。
    * 概ね妥当である。経済性については、燃料リサイクルのコスト低減を期待している。
  (4) 研究開発計画の柔軟性
計画の柔軟性は概ね適切であると認められる。
    * 指摘に対応して、低除染燃料の除染係数と核特性との関係が評価されている。
  ▲Top
C. 研究開発実施者の事業体制、運用の妥当性
  事業体制・運用は概ね適切に行われていると認められる。
  * 産学の交流が積極的に行われており、適切な連携が図られている。
     
D. 計画と比較した達成度、成果の意義
  (1) 計画と比較した目標の達成度
当初の計画目標は概ね達成されていると認められる。
    * 以前から低減速スペクトル概念についての検討はなされてきたが、近年、本研究ほどの知見を得ている例は少なく、特に熱水力特性データの蓄積は大きな成果と言える。
    * ポリエチレンを使用した試験で原理の検証が十分であるか示す必要がある。
    * ストリーミングチャンネルを持つ炉心が特徴であるが、BWRとの炉心互換の観点から不安定性、起動、加圧過渡なども検討すべきであると考える。
    * ボイドストリーミングチャンネルの効果があまり発揮されないことが明らかになったが、目標は概ね達成できるものと考える。
    * 事故時の冷却性能実証試験の計画の具体的内容、見通しを報告書に記載する必要がある。
    * 例えば低除染燃料の除染係数について、定量的な条件を示すことなどが望まれる。
  (2) 実用要素技術としての成果の意義
実用要素技術としての成果も概ね妥当であると認められる。
    * 高経済性と言いながら燃焼度45Gwd/tの燃料設計は目標が低いのではないかと考える。更なる高燃焼度を目指す場合の技術的問題点を整理して進めるべきである。
    * 原子炉そのものの技術的成立性については明確化されつつあるが、許認可取得上の課題を再度きちんと洗い出しておくことが必要と思われる。
    * 工業所有権の取得にも積極的に取り組む必要がある。
  (3) その他特筆すべき成果
論文発表、人材育成にもある程度の成果が認められる。
    * 稠密炉心燃料に対する安全余裕の確認に見通しを得たことは特筆に値する。
    * 活発な人材交流、人事育成体制が高く評価できる。また多くの論文提出がなされている。
     
E. 成果の実用化・事業化可能性
  現在までの結果からは、産業技術としての実用化の見通しは不透明な部分がある。
  * 経済性については燃料サイクル技術側に全面依存しており、そちらの成否に実用化へのインセンティブが大きく依存する。現実には高速炉実用化見通しとの関係を含んでいる。
  * 高経済性の目標は掲げているが、民間の視点で短中期的な経済性を考えた場合、ウラン供給への懸念材料が必ずしも大きくない現状で、既存の軽水炉との発電コスト競争力という点で大きな壁が存在すると考える。
    ▲Top
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