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    (2009.07.07)
    • 放射線とは、広い意味では、全ての電磁波および粒子線のこと。

    • 一般的には、物質を通過する時に原子や分子をイオン化させる能力がある「電離放射線」のことを「放射線」と呼んでいる。

    注:図中の(〜)は電磁波を、(○)は粒子線であることを表す。
    図1 放射線の種類と透過力

     放射線とは、広い意味では、全ての電磁波および粒子線のことですが、一般的には、物質を通過する時に原子や分子をイオン化させる能力がある「電離放射線」のことを「放射線」と呼んでいます。このエネルギー講座では主に後者の「放射線」のことを説明しています。

     原子力基本法では、「「放射線」とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。」としています。

     電磁波は、「電場が変化するとそのまわりの空間に磁場が生じる」「磁場が変化するとそのまわりの空間に電場が生じる」という電場と磁場の持つ性質により、振動する電場の変化により磁場が作られ、この磁場の変化によりまた新たに電場が作られる、という現象を繰り返してまわりの空間に伝わっていく波のことです。この波は光の速さで伝わる波であり、主な電磁波としては、光、X線(レントゲン線)、ガンマ線(γ線)などがあります。

     粒子線は、原子核や、中性子、電子といった非常に小さい粒子の流れであり、主な粒子線としては、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、電子線、陽電子線、陽子線、重イオン線、中性子線などがあります。

     放射線の影響を考える場合、放射線を出す方よりも受ける方でどれだけの量を受けたか(これを「線量」といいます)が重要です。最も基本的な線量の単位は、単位質量に吸収されるエネルギー量で表わす[吸収線量(単位:Gy、グレイ)]です。人体への影響を評価する場合には、吸収線量に放射線の種類等の補正を行った[実効線量(単位:Sv、シーベルト)]が用いられています。

     代表的な放射線:
    (1)アルファ線
     アルファ線は高速のアルファ粒子(ヘリウム原子核)の流れです。1個のアルファ粒子は、陽子2個と中性子2個、すなわちヘリウムの原子核からできており、プラス2の正電荷を持ちます。透過能力に関しては、アルファ線は貫通力が弱く紙1枚ぐらいで止まってしまいます。

    (2)ベータ線
     ベータ線は、核の内部より放出される電子または陽電子の流れです。速さは光に近く速いので原子や原子核と衝突する回数が少なく、物質を突き抜ける距離はアルファ線より長く、大気中で数mです。透過能力に関しては、薄い紙等は大体貫通しますが、アルミホイルなどでは止まってしまいます。

    (3)ガンマ線
     ガンマ線は、粒子の流れであるアルファ線やベータ線とは異なり、1種の電磁波です。ガンマ線は電磁波の中でも最も短い波長に相当し、物質を突き抜ける透過能力を持ちます。ガンマ線の場合は、次に述べるX線よりも波長が短く、強い透過力を持ち、ある厚さのコンクリートブロックあるいは鉄の板も透過する力を持ちます。

    (4)X線
     X線はガンマ線よりは波長が長い電磁波の1種です。しかし、可視光線等と比較すると極めて短い波長であり、ガンマ線と似た特性を持っています。透過能力はガンマ線より弱く、医療用として人体の透視検査などに広く利用されています。

    (5)中性子線
     中性子線は中性子の流れです。中性子の流れなので電気を帯びていないため、原子の中に自由に入り込むことができます。この理由から透過能力に関しては、前述のいずれの放射線より強くなっています。
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