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平成23年度調査研究要旨集

平成23年度調査研究要旨集

この要旨集は、当研究所の平成23年度の調査研究活動等の成果としてとりまとめられたものの要旨と報告書の目次を収録したものである。平成22年度以前にとりまとめられたものについては、バックナンバーをご覧いただきたい。
本要旨集が関係各位のご参考になるとともに、当研究所の事業に対するご理解の一助となれば幸いである。

目次

1.総合的な見地からの調査研究

1.1 エネルギーモデルに係る調査研究

(プロジェクト名) エネルギー技術情報に関する調査 I. エネルギーモデルに関する研究
(報告書名) エネルギー技術情報に関する調査報告書(1/3) I.エネルギーモデルに関する研究
(報告書番号) IAE-1121706
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  エネルギー分野は、資源、環境面をはじめ不確実なリスクが多いため、精度の高い将来想定、評価分析等を行うためには、新しい手法の採用、データ更新など不断の改良が不可欠である。そこで、エネルギーモデルの新しい分析手法について検討評価を行い、従来の手法では分析評価が難しかった問題への適用可能性及び改善すべき課題について明らかにした。成果の概要は以下の通りである。(1)多地域最適電源計画モデルを用いた9電力事業者別再生可能エネルギー導入シナリオの検討
費用最小化の観点で、再生可能エネルギーによる発電設備の建設費に補助金を投入した場合、導入速度は地域によって異なることを明らかにした。送電系統への影響を考慮する場合と考慮しない場合で、経済性と環境性の評価結果に差があることも明らかになった。
(2)力変動を伴う再生可能エネルギー大量導入を考慮した日本の電源構成の分析
日本の系統規模に匹敵する大量の太陽光が導入されても、火力発電所の負荷追従運転、太陽光や風力発電の出力抑制導入(または効果)、太陽光設備のならし効果等により、蓄電池の導入量は太陽光発電の導入量に比較して相対的に小規模となる可能性があることが分かった。
(3)エネルギー環境経済モデルにおける世代内と世代間の衡平性
社会厚生関数を特徴づける不平等回避係数と社会的時間選好率の互換可能性とその経済学的な意味を考察した。2つの因子が完全な互換性を持つためには、一人あたりの消費が一定率で変化することが必要十分条件であり、世代内と世代間の衡平性に係わる倫理的概念との関係を考察した。
(4)転機を迎えるモダン・マクロ
1970年代以来、モダン・マクロは理論と実証面で大きな進歩を遂げ、2000年代初期に勝利宣言を行った。しかし2008年のリーマンショックによりモダン・マクロは重大な転機を迎え、基本的な見直しが必要な時期に来ている。ここでは、従来の経済モデルに代わる概念枠として、気候学や生態学では一般的な多重均衡モデルを取り上げた。こうしたツールを取り入れることにより、マクロ経済の現状に対するより現実的な分析が行える可能性があることを示した。
(5)消費者選好を考慮した太陽熱温水器の導入ポテンシャルの推計
太陽熱温水器の光熱費削減量を通年シミュレーションによって評価した。都道府県別に年間の節約熱量 を推計し、あわせて太陽熱温水器の消費者選好から導入ポテンシャルを推計した。
(6)近畿圏民生部門のエネルギー需要の分析とモデル化
近畿地方を対象とし、民生部門の2005年及び将来における時系列の電力需要について、ボトムアップ型のエネルギー需要モデルを用いて推計を試みた。
(7)震災によって明らかになったエネルギー需給構造の課題などをふまえ、今後のわが国のエネルギー政策に関する重要な事項について、委員会委員による議論を行い、その結果をまとめた。
(目 次) まえがき
概要
はじめに
第1部 気候変動問題やエネルギーシステム分析に関する新しい視点の調査検討
1.多地域最適電源計画モデルを用いた9電力事業者別再生可能エネルギー導入シナリオの検討
2.出力変動を伴う再生可能エネルギー大量導入を考慮した日本の電源構成の分析
3.エネルギー環境経済モデルにおける世代内と世代間の衡平性
4.転機を迎えるモダン・マクロ
第2部 エネルギー部門詳細分析
5.消費者選好を考慮した太陽熱温水器の導入ポテンシャルの推計
6.近畿圏民生部門のエネルギー需要の分析とモデル化
第3部 震災をふまえた今後のわが国のエネルギー政策に関する検討
7.震災をふまえた今後のわが国のエネルギー政策に関する検討
付録 講演資料

1.2 エネルギーに関する公衆の意識に係る調査研究

(プロジェクト名) エネルギーに関する公衆の意識調査
(報告書名) 平成23年度 エネルギーに関する公衆の意識調査報告書要約
(報告書番号) IAE-1121709
(発行年月) 2012年3月
(要 旨) 平成15年以来毎年継続的に実施してきた調査について、23年度は4月、7月、10月の3回にわたってインターネット法(10月は訪問留置法も)によるアンケート調査を行った。その結果、原子力発電の利用に関する意見が福島事故直後に大きく否定的方向に変化し調査期間中否定方向への変化が続いた、原子力発電の有用性についても事故後大きく否定方向に変化し調査期間中その傾向が続いた、原子力発電の安全性について「不安」「どちらかといえば不安」の比率が事故後大きく増加した、エネルギー問題および原子力発電に対する関心が事故後大幅に増加した、将来のエネルギーについて原子力が重要であると考える比率が大きく減少した、「新エネルギー(太陽光、風力、地熱など)」が20年後の日本の主要なエネルギー源となり得るという回答が増加した、などの結果が得られた。

2.新エネルギー・エネルギーシステム関連

(ア)再生可能エネルギーに関する調査研究

2.1 バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発に係る総合的調査研究

(プロジェクト名) 「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)/総合調査研究」
(報告書名) 「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)/総合調査研究」 平成20年度~平成24年度のうち平成23年度分中間年報
(報告書番号) IAE-1110502
(発行年月) 2012年3月
(要 旨) 総合調査研究は、(1)「セルロース系エタノールの加速的先導技術研究開発に参画する研究チームへの情報提供、バイオマス前処理物の研究チーム間の相互利用・検証の連携の推進」、(2)「バイオマス総合利用に係る経済性評価・LCA評価、社会・環境・文化への影響リスク分析手法の確立」、(3)「有望バイオマス生産地域・事業モデルの検討」の3課題から成っている。
課題(1)については、バイオフュエルチャレンジ(BFC)委員会を開催し、研究チームの開発目標、成果などについての議論を行った。また、研究チーム間の技術の相互利用の促進を図るため、ワークショップを開催し、研究チームの情報連携の強化に貢献した。さらに、バイオエタノール開発ベンチマークに対する研究チームの暫定データを元に、経済性およびLCA評価を行い、研究チームの研究開発の効率化に貢献するとともに、副産物などの回収について検討を行った。
課題(2)については、経済性評価において、研究チームの成果開発成果を反映させたバイオエタノールならびにバイオプロピレン製造プラントを設置する際のプラント建設に伴う設備費等の経済性評価を行うとともに、研究チームの開発プロセスフローの確定に向けた、各研究開発のフォローアップを行った。LCA評価では、モデル事業を想定したライフサイクル分析を実施するとともに、国際会議等で情報収集を行い、得られた情報をライフサイクル分析手法に反映した。社会・環境・文化への影響リスク分析の手法の確立では、社会・環境・文化への影響リスク分析手法の検討結果を踏まえ、実際の事業において必要な評価指標を抽出するとともにその評価手法を検討するとともに、当該事業に適用可能な方法論の枠組みを検討し、事業者が実施可能な簡易的な持続可能性評価手法を検討した。
課題(3)については、有望バイオマス生産地域検討において、GISミクロモデルで用いた各種評価指標による解析・評価の妥当性検討を実施するため、候補地の現地調査と同解析結果のつき合わせを実施し、課題の摘出および選定手法の検証を行うことにより、GISミクロモデル精度の向上を図り、更なる候補地絞込みのための課題等を整理した。事業モデル検討では、有望バイオマス候補地における栽培からエタノール製造、輸送の一貫した流れにおいて実用可能な技術で設定されている事業モデルを構築するとともに、構築された事業モデルにおける主要行程ごとのコスト把握検討を実施し、経済性評価にフィードバックした。なお、平成23年度の検討結果は検討経過も含めて、有望バイオマス生産地域における事業モデル検討書として、転換プロセスチームに提供した。
(目 次) 1.研究開発の内容及び成果等
2. 成果(当該年度分についてのみ記載)
3.その他特記事項(当該年度分についてのみ記載)
添付資料:バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)総合調査研究平成20年度から平成23年度までの4ヵ年の研究報告
I.「セルロース系エタノールの加速的先導技術研究開発に参画する研究チームへの情報提供、バイオマス前処理物の研究チーム間の相互利用・検証の連携の推進」
II.「バイオマス総合利用に係る経済性評価・LCA評価、社会・環境・文化への影響リスク分析手法の確立」

2.2 太陽熱・低温地熱の自然エネルギー利用に関する調査研究

(プロジェクト名) 自然エネルギー(太陽熱・低温地熱)利用に関する調査研究
(報告書名) 自然エネルギー(太陽熱・低温地熱)利用に関する調査研究報告書
(報告書番号) IAE-1111805
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  太陽エネルギーとしては、日本では太陽光発電(PV)が広く知られているが、最近集光型太陽熱発電(CSP)が再び注目されてきている。CSPとPVにはそれぞれ長所と短所があるが、CSPの長所の一つに集光による高温蓄熱が容易で太陽エネルギーの希薄化時及び夜間でも発電が可能なことが挙げられる。そのため、電気需要が日没から数時間ピークが存在する場合でも、太陽熱利用発電が可能となる。また、PVでは日射の変化に追随して発電量が変化するが、CSPの場合には発電量が日射量の変化に鈍感であるため、発電量変動を平準化するための蓄電装置等は不要となり、安定した発電出力が得られる。本研究においては、CSP技術の中心技術である各集光・集熱技術とともに蓄熱技術についても調査・整理した。代表的な事例として、集光・集熱技術には線集光方式(例、パラボラ・トラフ型、リニア・フレネル型)及び点集光方式(例、タワー型、パラボラ・ディッシュ型)があり、それらの長短と適用見通しをまとめた。例えば、一般的には実績、技術の完成度から見ると線集光方式が、高効率化から見ると点集光方式が優れているが、後者は経済性が課題である。なお、日本での適用に関しては、西日本を除けば日射量程度及び安価な土地確保の困難さから、集光・集熱から発電機まで全て備えた太陽熱発電施設(スタンドアローン型)の設置は現状では困難であると指摘した。但し、既存の火力発電所への適用に関しては、太陽熱で蓄熱した熱供給を行い、蒸気タービンや発電機の出力増あるいは化石燃料節減を図る太陽熱組込型火力発電の可能性を開発企業文献より指摘した。
低温地熱を利用した温度差発電技術の調査関連では、現在の技術で利用可能な地熱エネルギー(53~120℃、120~150℃、150℃以上の3段階)に対応し、地熱資源量密度分布図等を基に「賦存量」を算出し、これに社会的・環境的な制約を考慮した「導入ポテンシャル」、さらに電力買取制度の適用等で事業成立性が見込まれる「導入可能量」の3分野から整理した。さらに、同じ地熱の範疇であるが既存の温泉の中には温泉源が温泉適用温度(一般に50℃)より高温度で湧出しているものは、特段の温泉源開発を必要とせず発電利用可能であり、該当規模を調査し、ある開発シナリオに基づき将来規模も推定した。一例として、賦存量で見ると地熱発電全体では約3,300万kW、その内53℃~120℃では850万kW、導入可能量は全体で1,200万kW(現状規模約55万kW)でその内53℃~120℃は745万kWと見込まれる。 一方、温泉発電の場合はすでに開発された温泉が対象であるので賦存量、ポテンシャル、可能量とも同じで(現状規模ほぼ数千kW)72万kWと見込まれている。
現在低温地熱発電の実用は少ないながら、将来の需要を期待して、現在各企業が開発或いは実用化を目指しており、企業情報・文献等から開発技術を整理した。
最後に、低温地熱発電所を建設する場合を想定して、許認可の手順、対象法規、法的資格者の条件等を取りまとめ、最近の規制緩和の動向を整理した。
(目 次) 第I編 太陽熱エネルギーを利用した発電技術に関する調査
1. はじめに
2. 国内外の太陽熱発電開発動向調査
3. 電気事業者として活用可能な技術の検討
4. 太陽熱エネルギーを利用した発電技術に関する調査のまとめ
第II編 低温地熱を利用した温度差発電技術に関する調査
1. はじめに
2. 研究委託内容および調査要領
3. 関西地域におけるポテンシャル調査
4. 国内外の低温地熱発電の開発動向調査
5. 地熱利用方法等の調査
6. 低温地熱を利用した温度差発電技術に関する調査のまとめ

2.3  集光型太陽光発電に関する技術開発

(プロジェクト名)
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  環境省からの委託により、エンジニアリング会社と太陽熱関連機器製造メーカ及び当研究所(IAE)が共同で、集光型太陽光発電のシステム開発を三カ年計画で行っている。開発中のシステムでは、タワー型太陽熱発電と同じ集光系を用いて太陽光を集めるので、発電素子の効率向上が期待できると同時に、余剰となった熱の利用も可能になっている。プロジェクトの役割分担は、JFEがレシーバーの開発と評価用プラントの建設及び評価実験、三鷹光器がヘリオスタットの設計と製作、IAEが集光計算コードの開発とそれを用いた集光系の設計検討である。
IAEが担当している集光計算では、システムを設置する緯度・経度、及びレシーバー・集光塔・ヘリオスタットの形状と配置を与えられた条件とし、システム稼働中の各時刻における瞬間集光量を数値的に求める。基本的には光の鏡面反射の処理のみからなる単純な計算であるが、ヘリオスタットと集光塔の距離が数百メートル程度あるので見かけ上の太陽の大きさを無視できず、必要な計算量が大幅に増大する事が問題となる。この問題を解決する為、グラフィックスプロセッサー(GPU)による高速計算技術を利用することにした。また計算のアルゴリズムについても、コンピューターグラフィックス(CG)の分野で使われている或いは研究されている各種の技法を導入・応用する事により、実用規模の大きな集光系であっても、タワートップ型であれば十分に短い時間で評価計算ができるようになった。
開発されたコードを用いて、より良い集光系の設計はどの様なものであるかを検討した。CPVシステムでは、レシーバー面上に並べられた(直列接続されている)発電素子へ均一に光をあてることが、発電効率を確保する上で本質的に重要であるが、今回の評価用プラントに関しては、レシーバー上に作られる集光スポットの形状と大きさ及びそこでの熱流束密度分布を数値計算によって求め、熱流束密度がほぼ一様とみなせる範囲内に、発電素子を並べるようにした。今後は、密度が一様である部分を更に拡大するには、反射鏡面の形状や大きさをどのように選ぶのが良いか等の問題について、数値計算によって検討していく予定である。

2.4 メガワット級集光型太陽熱発電システム評価に係る調査研究

(プロジェクト名) メガワット級集光型太陽熱発電システムを評価するための数値計算プログラムの機能改良とそれを用いた評価計算
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  太陽熱発電用のタワー型集光系では、ヘリオスタットを適切に制御する事により、そこに搭載される反射鏡で反射した太陽光を、タワー上端のレシーバーへ集める。集光系が設置される緯度・経度とシステムのジオメトリが定義されたとき、任意時刻における瞬間集光量を計算する為のコードを昨年度より開発している。反射された光がレシーバーに到達する迄の走行距離が長い事から、集光計算では見かけ上の太陽の大きさが無視できず、これによって必要な計算量が大幅に増大する。この問題を回避し、現実的な時間内で結果を得る為に、グラフィックスプロセッサー(GPU)を使った高速計算技術を利用している。今回は、複数のGPUを並列に使用する機能を追加し、GPUの個数を増やせばその分だけ計算時間が短縮されるようにした。
また集光系で発生する物理現象の近似として、幾つか単純すぎる仮定がなされていたが、その点にも改良を加えた。まず太陽から地表へまっすぐ到達する光の量(DNI)について、時間的に変動しないとしていたが、大気層による光の吸収を考慮し、DNIの時間変動を計算する様にした。この変動は太陽・ヘリオスタット間の大気によるものであるが、ヘリオスタット・レシーバー間の大気による吸収もあるので、それについても計算へ反映される様にした。また大気の効果以外に、見かけ上の太陽がその周辺部で暗くなる現象(周辺減光)について、測定データに基づく経験則を使った計算ができるようにした。この周辺減光の効果は、反射鏡として凹面鏡を用いる時、特に顕著に現れている。
以上のように改良された集光計算コードを用いて、実用規模すなわちメガワット級CSPシステムの評価計算を開始した。合理的なヘリオスタット配置を得る為に、ヘリオスタットで反射された光が別のヘリオスタットに遮られる事がないような配置方式を考案し、また反射鏡に入射する太陽光が、反射面に対してできるだけ垂直となる様にする方法を検討した。これらの検討結果を踏まえて、ヘリオスタット・フィールドを定義して集光量を計算し、集光系の設計上重要な問題、例えばヘリオスタットが集光塔の北にある場合と南にある場合のどちらが良いか、などという問題の検討を開始している。

(イ)電力システム等に関する調査研究

2.5 次世代電力ネットワーク研究会による調査研究

(プロジェクト名) 次世代電力ネットワーク研究会
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  次世代電力ネットワークに関連する国内外の情報収集や会員相互の意見交換等に基づき、次世代電力ネットワークの在り方およびその実現に向けた方策などの検討を行うことを目的に研究会を設立し、国内外の情報収集と提供、会員限定の講演会を実施した。
【平成23年度実績】 会員:個人会員 30名、法人会員 27社(平成23年度末現在)
講演会:4回開催(5月、7月、11月、1月、3月)
シンポジウム:1回開催(10月)
ニュースレター:13回発行(定例12回、臨時1回)

2.6 ポーランドにおけるスマートグリッド活用の地球温暖化対策に係る調査

(プロジェクト名) 日本スマートグリッド関連技術調査
(報告書名) ポーランド国におけるスマートグリッド技術を適用した地球温暖化対策の案件組成及び発掘調査「日本スマートグリッド関連技術調査」報告書
(報告書番号) IAE-1111909
(発行年月) 2012年1月
(要 旨) 世界各国の経済成長に伴う電力需要の拡大や電力インフラの老朽化などに伴う需給の逼迫、再生可能エネルギーの本格的導入を背景とし、電力システムと情報通信システムの2種類のインフラをベースにグリッド全体の信頼性・効率性を高めることを目的とした次世代電力網「スマートグリッド」の構築が各国の主要な政策課題となってきている。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の「地球温暖化対策技術普及等推進事業/ポーランド国におけるスマートグリッド技術を適用した地球温暖化対策の案件組成調査」の中で、ポーランドにおける日本のスマートグリッド関連技術・製品の導入に向けた可能性を検討するため、日本メーカーのスマートグリッド関連技術、及び日本のスマートグリッド関連技術実証事業の調査・取り纏めを行った。

(1)日本メーカーのスマートグリッド関連技術

スマートグリッドに関連する各分野の技術について、それぞれ日本の主要メーカーの技術(製品および実証中の技術)を文献等から整理し、取り纏めた。また一部メーカーにはヒアリングを行い、特徴・特性、普及動向、開発動向を整理した。

(1-1) 送配電系統の監視・制御技術

送配電系統の監視・制御技術の主要技術である「広域監視・制御システム、再生可能エネルギーとの協調制御システム」、「配電網管理設備(配電自動化システム)」に加え、電力の需給調整や電力品質の向上への活用が期待される「系統用蓄電システム」、また分散型電源等が普及していく中で今後重要性が増していく電力供給側のエネルギーマネジメントシステムである「CEMS(Communitry Energy Manegement System)」等について整理した。

(1-2) 需要家側のスマートグリッド関連技術

需要家側のエネルギーマネジメントシステムである、ビルを対象とした「BEMS(Building EMS)」、家庭を対象とした「HEMS(Home EMS)」、工場を対象とした「FEMS(Factory EMS)」を中心に取り纏め、またその構成要素となりうる「電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド(PHV)」、「電動車両連係技術」についても整理した。

(1-3) インターフェース技術

スマートグリッドを構成する上で電力供給側と需要家側の接点となる技術である「スマートメーター」、さらに電力供給側及び需要家側の「情報通信技術」について整理した。

(2) 日本のスマートグリッド関連技術実証事業

日本メーカーのスマートグリッド関連技術の事業としての適用・取組事例として、日本国内および日本が関与する海外でのスマートグリッドやスマートコミュニティに関する実証事業について、経済産業省及びNEDOが関与するものを中心に、その目的、参画プレイヤー、実施内容などの情報を文献から取り纏めた。

(目 次) 1. はじめに
2. 日本のスマートグリッド関連技術の整理・まとめ
2.1. 送配電系統の監視・制御技術
2.2. 需要家側のスマートグリッド関連技術
2.3. インターフェース技術
3. 日本のスマートグリッド関連技術実証事業のまとめ
3.1. 日本国内におけるスマートグリッド関連技術実証事業
3.2. 日本が関与する海外におけるスマートグリッド関連技術実証事業
4. おわりに

2.7 再生可能エネルギーの貯蔵技術動向に係る調査研究

(プロジェクト名) 再生可能エネルギーの貯蔵技術に関する動向調査
(報告書名) 再生可能エネルギーの貯蔵技術に関する動向調査 報告書
(報告書番号) IAE-1111914
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  再生可能エネルギー大量導入時の電力貯蔵の必要性と適用技術検討の前段階として、再生可能エネルギーの導入と電力系統影響に関連した課題の現状を調査した。
まず、日本国内における風力発電と太陽光発電の導入ポテンシャルと導入状況を整理した。次に、自然変動電源が電力系統に及ぼす問題の概要を整理すると共に、風力発電に係わる系統接続制約の経緯と現状を明らかにした。さらに、周波数変動への影響緩和策として、電力需給バランス調整の方法、蓄電池設置の事例、および広域運用の検討例について取りまとめるとともに、風力事業者における電力系統影響問題への対応についてヒアリング調査を行った。
(目 次) 1. はじめに
2. 風力発電と太陽光発電の導入状況
3. 自然変動電源の系統接続問題
3.1. 自然変動電源が電力系統に及ぼす問題の概要
3.2. 風力発電に係わる系統接続制約の経緯と現状
4. 周波数変動への影響緩和策
4.1. 電力需給バランス調整の概要
4.2. 蓄電池設置の事例
4.3. 広域運用の検討例
5. 風力発電事業者ヒアリング
6. 自然変動電源の導入可能量と系統対策に関する最近の検討状況
6.1. 導入ポテンシャルの検討
6.2. 系統対策の検討
7. まとめ

2.8 エネルギー貯蔵技術に関する調査

(プロジェクト名) エネルギー貯蔵技術に関する調査 報告書
(報告書名) エネルギー貯蔵技術に関する調査 報告書
(報告書番号) IAE-1111804
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー電源は、低炭素社会への社会的要請を背景に国や自治体等による導入促進策が拡充され、その導入が加速されると予測される。太陽光発電や風力発電は天候により出力が変動するため、大量に導入された場合には電力需給バランス調整が困難になることが懸念される。その対策として、揚水発電や二次電池等の電力貯蔵技術が特に注目されているが、これらの他にも蓄熱や水素等も含めた様々なエネルギー貯蔵が、電力需給バランスの問題緩和に寄与できる可能性がある。このような背景の下、国内外のエネルギー貯蔵技術全般について開発動向を網羅的に調査し、系統電力安定化への貢献可能性を評価する。 国内外のエネルギー貯蔵技術全般について開発動向を網羅的に調査し、系統電力安定化への貢献可能性を評価した。
エネルギー貯蔵技術の開発動向については、電力貯蔵技術として、従来からの揚水発電に始まり、各種二次電池、キャパシタ、フライホイール、超電導磁気エネルギー貯蔵、気体圧力エネルギー、弾性エネルギーについて調査を行った。二次電池については、現在実用化されている鉛、リチウムイオン、ニッケル水素、ナトリウム硫黄等に加えて、金属-空気電池や溶融塩電解液電池等の高エネルギー密度の二次電池の現在も盛んに研究開発が行われている。また、日本では岩塩層等の適地が乏しいが世界的には圧縮空気貯蔵も将来期待できる技術である。さらに、熱貯蔵技術、水素貯蔵技術についても調査を行った。
次に、系統電力安定化への各エネルギー貯蔵技術の貢献可能性評価を行った。電力貯蔵技術については、負荷平準化、周波数制御、余剰電力対策、再生可能エネルギー出力変動対策、瞬時電圧低下対策、緊急時対策の各目的について、各エネルギー貯蔵技術の特性(充放電速度、容量、サイクル寿命、エネルギー密度、出力密度)から、貢献可能性を評価した。熱貯蔵技術は、電力貯蔵技術に比較して数分の1から10分の1程度のコストで済む特徴があり、太陽熱発電、火力発電、原子力発電において、熱出力と電力需要とがマッチングしない場合に、熱貯蔵を行うことにより電力需要に沿った発電を行うことは、電気に変換して貯蔵するより安価であり、実用化の可能性がある。水素貯蔵技術は、現状では、変換部のコストが高いことと、エネルギー効率が低いことから、コスト的に蓄電池より不利になる。30 万円/kW、エネルギー効率70%が達成できれば、様々な用途で蓄電池と競合可能になる。特に変換部(電解、水素貯蔵、発電を含む)のコスト低減と効率向上が必要である。
(目 次) 1. はじめに
2. エネルギー貯蔵技術に関する開発動向調査
2.1. 調査対象の整理
2.2. 電力貯蔵技術
2.3. 熱貯蔵技術
2.4. 水素貯蔵技術
3. 電力系統網へのエネルギー貯蔵技術の適用性評価
3.1. 相互比較
3.2. 各エネルギー貯蔵技術の電力系統安定化への適用性検討
4. おわりに

2.9  東アジアにおける高圧直流送電(HVDC)に係る調査

(プロジェクト名) 東アジアHVDC送電に関する調査
(報告書名) HVDC送電に関する調査
(報告書番号) IAE-1111301
(発行年月) 2011年4月
(要 旨)  デザーテック(Desertec)プロジェクトは、集光型太陽熱発電を用いて中東(ME)・北アフリカ(NA)の砂漠地帯で発電した電力を地元に供給するとともに高圧直流送電(HVDC)で欧州に送る計画である。ローマクラブが提唱し、2009年にドイツ企業を中心とした欧州の主要な12社が立ち上げたDII(Desertec Industrial Initiative)が中心となって推進しており、2050年までに地中海沿岸部や欧州の電力の15%を供給する計画である。
同様に、中国中央部の陝西省楡林における太陽熱発電による電力を周辺地域に供給するとともに、HVDC送電網を用いて韓国経由で日本に供給する計画がある。この「アジア・デザーテック計画」の検討にあたり、HVDCの技術概要、経済性、課題等を整理し、中国、日本におけるHVDCの現状と計画について調査を行った。
HVDCは1950年代に実用化された送電技術で、高圧交流送電(HVAC)に比べて、(1)長距離大電力輸送に適する、(2)送電損失が少ない、(3)送電線路建設コストを抑制可能、(4)異周波数系統間連系が可能、等のメリットがある。一方、(1)交直変換所の建設費が高い、(2)大電流の遮断のための大容量遮断器が必要、(3)碍子の汚損や劣化が交流送電に比較して激しい、等のデメリットもある。
HVDC送電システムの建設コストは、送電容量、電圧、距離、方式(単極/双極、帰路、中性点)、伝送路種類(架空送電線、地中ケーブル、海底ケーブル)、環境上の制約(用地費等)、法的制約等様の要因に依存する。
HVDCの課題としては、低損失化(大容量・低損失変換器や超電導ケーブルの開発)と高信頼度化(直流多端子数の増加に伴う制御方式の開発、保護方式の開発)が挙げられる。  架空送電線・地中ケーブル・海中ケーブルによるHVDC送電は世界各地 (プロジェクト数90以上、総容量75GW以上)で導入され、再生可能エネルギーの長距離送電や海峡横断の国間連系に利用されている。
中国においては、華北、華中電網等の地域毎に送電網が構成されており、地域をまたぐ長距離送電網の構築が推進され、送電網の全国連系は整備されつつある。現在は、(1)華中-南方、(2)華中-華東、(3)華中-西北、(4)華中-華北、(5)華北-東北の地域間送電線(主にHVDC)が敷設されている。中国では、石炭資源は北部、北西部に、水力資源は南西部に偏在している一方で、エネルギー需要の70%以上が東部沿海地域および中部地域に集中しており、エネルギー供給地と負荷中心地は1,000~3,000 kmも離れているため、長距離・大容量送電網の建設が必須となっており、HVDC等の超高圧送電設備の建設が政府支持のもとで進められている。
日本における直流送電設備は、海底ケーブル送電として北海道・本州直流連系設備と紀伊水道直流送電設備が存在する。また、東西で異なる周波数系統の連系用として佐久間周波数変換所、新信濃周波数変換設備、東清水周波数変換設備、非同期連系用として南福光連系所が存在している。計画としては、北本連系の増強が検討されている。また、東日本大震災の際、東日本の供給力不足が深刻化したことを踏まえ、政府の電力需給緊急対策本部がまとめた需給対策に「地域間連系線の増強:既設周波数変換所の増容量の早期実現と更なる増強提言の具現化を図る。また、更なる地域間連系線増強に関する中長期的なマスタープランを策定」との方針が盛り込まれたことから、今後、周波数変換設備の増容量に伴ってHVDCの導入が検討されていくものと考えられる。
(目 次) 1. HVDCのパフォーマンス、経済性と系統への影響
(1) HVDCシステムの概要
(2) HVDC送電システムの建設コスト
(3) HVDCの送電ロス、交直流変換ロス
(4) HVACとの比較
(5) HVDCに関する課題
2. 中国におけるHVDCの現状と計画
(1) 中国におけるHVDCの現状
(2) 中国におけるHVDCの計画
3. 日本におけるHVDCの現状と計画
(1) 日本におけるHVDCの現状
(2) 日本におけるHVDCの計画

(ウ)省エネルギー技術に関する調査研究

2.10 超臨界CO2を作動流体とする高効率ガスタービン発電の研究開発

(プロジェクト名) 「超臨界CO2を作動流体とする高効率ガスタービン発電の研究開発」
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  次超臨界CO2ガスタービンは、多様な燃料・熱源に適用でき、中小規模の領域において蒸気タービンを凌ぐ発電効率が期待できる。ベンチプラントにおける発電運転の成功を受け、さらなる開発推進を目指して運転試験成果の広報活動を行うとともに、海外における開発動向を調査分析し、次のステップの研究開発計画を立案した。
(目 次) 1.EV化改造ビジネスの検討
2.配送用トラックのEV化技術検討会の開催
3.共同実施者との打合せ
4.参考資料

(エ)自動車用エネルギーに関する調査研究

2.11 電気製品の効率向上に係る国際協力事業への参画

(プロジェクト名) IEA/4E関連調査
(報告書名) 平成23年度IEA/4E関連調査研究
(報告書番号)
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  経済協力開発機構(OECD)の下部組織である国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)は、各国政府が各種電気製品のエネルギー効率を高める政策を立案するのを支援するために、国際協力実施協定の一つとして2008年に4E(= Efficient Electrical End-Use Equipment)を設立した。2012年3月時点でこの国際協定には13ヶ国(オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、フランス、日本、韓国、オランダ、南アフリカ、スウェーデン、スイス、英国および米国)が参加している。参加は原則としてOECD加盟国であるが、実態としてはIEA非加盟国も含めてすべての国にオープンである。
わが国は設立当初から参加への関心を表明してきたこともあり、ExCoには第1回以来オブザーバ出席を続けてきたが、2010年9月に実施協定への加盟の意思表示し、2010年末に正式手続を完了した。
本調査では、当該実施協定の理事会および分科会活動に参加することにより様々な情報を収集して分析し、その結果をわが国の対応方針に反映させるための提言をまとめた。
2011年度は、2011年10月にシドニーで通算第8回の理事会が開催された。実施中の分科会は、(1)冷蔵庫やTV等の電気機器のエネルギー効率を各国別に年代ごとにマッピングし比較する分科会、(2)電気機器の待機電力削減を促進する分科会、(3)高効率モータの市場への導入促進を図る分科会、および(4)白熱電球による照明をLEDによる照明に換えていく分科会の4つである。このうち我が国は、(1)と(4)に参加している。スイスとオーストリアから、Smart Metering Infrastructureに関する分科会、カナダからTechnology Forcing Standards for Energy Efficiencyに関する分科会を新しく発足させる提案があり、継続審議となっている。
(目 次) (1)IEA/4E理事会対応
理事会オブザーバ出席
理事活動支援
理事会情報収集および分析
理事会情報の国内周知(報告)
国内省エネルギー政策立案へのデータ提供
(2)マッピングおよびベンチマーキング・アネックス対応
アネックス会議出席
国内アネックス活動支援
国内外アネックス活動の連携
アネックス情報の国内周知(報告)(3)上記以外のアネックス動向調査(SSLアネックスを除く)
アネックス会議出席
国内活動支援
国内外活動の連携
アネックス

2.12 EVトラック(電気トラック)に係る調査研究

(プロジェクト名) EVトラック
(報告書名) EV化改造ビジネスの検討に関する報告書
(報告書番号) IAE-1111203
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  電気自動車は、乗用車や軽自動車については着実な普及が見込まれる。小型以上のトラックに関しては、電気自動車の開発・導入が遅れている。そこで、走行エリアが限定される都市内配送用小型トラックに的を絞り、改造型電気自動車の普及を目的とした研究開発を実施した。改造型の電気トラックを開発して実走行試験を行うとともに、EV化改造事業のビジネスモデル構築について検討を行った。
EV化改造事業のビジネスモデル検討に当たり、電動トラックを巡る調査をして中古トラック市場(流通台数、価格)、故障原因、ランニングコスト等を調査した。また関連業界の動向や価値判断基準を把握するため、輸送業界、ガソリンスタンド業界、整備業界、自動車メーカのヒヤリング調査を実施した。さらに関連法規制や標準化事項等について調査・検討を行った。これらを基に、有識者およびステークホルダーの参加を得て、ビジネスモデルの構築に関する検討会を実施した。。

3.水素エネルギー関連

3.1 定置用燃料電池の災害対応ポテンシャル評価に関する調査研究

(プロジェクト名) 定置用燃料電池の災害対応ポテンシャル評価に関する調査
(報告書名) エネルギー技術情報に関する調査報告書(3/3) III.定置用燃料電池の災害対応ポテンシャル評価に関する調
(報告書番号) IAE-1121713
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  東日本大震災直後の広範囲に長期間にわたって電力・ガス供給が途絶した地域や計画停電の影響を受けた地域に対して、災害によってエネルギー供給が途絶した際にある程度のエネルギー供給が可能であれば事態を大幅に改善できたケースもあると考られる。今回は多様な燃料電池のアプリケーションのうち、家庭向け燃料電池の災害対応機能について調査した。しかし、家庭に稼働率の低い非常用発電設備を備えておくことは、経済合理性がない可能性が高く、たちどころに普及するとは考えにくい。そこで通常時・非常時とも利用可能な災害対応機能を備えた定置用燃料電池に関する調査を行い、その災害対応ポテンシャル評価を実施した。 研究の範囲では、時間軸や対象とする燃料電池や想定されるケースを考察し、設定した。先行研究では、給油所に設置することを想定した災害対応型の燃料電池について調査を行った。さらに災害強い燃料電池の調査として、地震災害による被害、特にエネルギーに関連する被害をレビューした。この被害に基づき、家庭用燃料電池に起こりうる障害を想定した。また、停電時や燃料途絶に対応できる技術として、停電時では、蓄電池方式と自立コンセント方式による運転、燃料途絶については、PAFC向け、PEFC向けの多燃料改質器について調査し、技術開発の現状を把握した。
最後に蓄電池方式と自立コンセント方式のエネファームと家庭向けガスエンジンコジェネであるエコウィルの現行製品の比較を行った。今回想定したケースでは、多燃料対応が可能な都市ガス機かLPG機が最も障害に対しての耐性を持つ一方で高コストである。自立コンセント方式のエネファームは、低コストであるが、標準では利用できる電力が小さく、事故停電など突発的な停電時に起動できない可能性が残る。エコウィルは、蓄電池または自立コンセント方式で動作することができれば本体は最も安価であるが、現時点では、製品が市場投入されていない。このように、比較した製品にそれぞれ長所、短所があることから、ユーザー側の重視する基準によって選ばれていくものと思われる。また、これらの長所、短所も技術開発等により伸長、解決されていく可能性が高いと考えられる。
(目 次) まえがき
概要
1.背景と目的
2.実施内容
3.研究の範囲
4.先行研究
5.災害に強い燃料電池の調査
6.他の分散電源との比較評価
7.まとめ

4. 化石エネルギー関連

石炭の利用技術に関する調査研究

4.1 革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電に係る調査研究

(プロジェクト名) 「革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電プロジェクト
発電からCO2貯留でのトータルシステムのフィジビリティー・スタディー全体システム評価(発電からCO2貯留に至るトータルシステムの評価) 」
(報告書名) 継続研究につき中間報告書作成
(報告書番号) IAE-1111501
(発行年月) 2011年5月
(要 旨)  本事業は、Cool Earth 50の実現に向け、ゼロエミッション石炭火力発電所を中心としたクリーン・コール・テクノロジーが果たすべき役割を、特に将来のエネルギー需給に及ぼす影響の観点から明確にし、さらにCCS技術の実用化促進においても重要な要素となり得る国際標準化について検討し、事業全体の推進及びゼロエミッション石炭火力発電所の導入普及の効率的な実現施策を支援することを目的としている。
石炭ガス化複合発電(IGCC)から発生するCO2を回収し貯留するまでのトータルシステムに関し、当研究所は、NEDO技術開発機構が実施するフィージビリティスタディーのうち全体システム評価を実施した。具体的には、(独)産業技術総合研究所と連携して、昨年度に引き続き、全体調整・とりまとめ、経済性評価モデルの構築と評価、エネルギー需給影響評価モデルの構築と評価を実施した。

(1)全体調整・取り纏め

 事業全体に係わる横断的な事項について国内外の調査、分析を行い、FS全体スケジュールの作成等を行った。また定期的に進捗検討会を開催し各グループの進捗及び検討内容の調整を行った。
また、日本国内外のCCT&CCS動向調査及び情報発信としてクリーンコールテクノロジー(CCT)並びにCCSに関する欧米、中国などの政策動向、プロジェクト動向、技術情報を整理し、これらをまとめたCCT&Sニュースレターを毎月発行した。

(2)経済性評価モデルの構築と評価

 IGCCから回収したCO2を輸送・貯留・モニタリングするまでのトータルシステムのCO2収支、経済性評価モデルを構築し、DOE/NETL(2007)の経済性分析研究事例を参考にし、本事業で工程ごとの検討を実施しているグループからの情報を加味し経済性評価の試算及び感度解析を行った。

(3)エネルギー発電について需給影響評価モデルの構築と評価

 長期的エネルギー・環境シナリオ分析モデルの調査と分析のうち、ETP2008のCO2削減シナリオの推定の可能性検討を実施した。試算モデルには、IEAのモデルとの整合性などを考えて、21年度に構造を調査したTIMESモデルを用いた。既存研究例のあるMARKAL-JAPANを参考に、分析のフレームワークをTIMESモデル用に再構築し、日本を対象にした2050年までの分析を試行した。

(目 次) まえがき
I.概要
II.本編
1章 調査の目的と背景
2章 トータルシステムのケーススタディー検討・全体概要
3章 ケーススタディー検討(実証機,商用機)
4章 ケーススタディー検討のトータルシステム評価
5章 経済性評価に対するコスト影響
6章 信頼性調査
7章 日本全体を対象とした経済性評価(AIST作成)
8章 エネルギー需給影響評価モデルの構築と評価(AIST作成(一部IAE作成))
9章 国際標準化の検討(AIST作成)
あとがき(IAE作成)

4.2  今後のクリーンコールテクノロジー(CCT)技術開発のあり方に係る調査研究

(プロジェクト名) エネルギーを取り巻く環境変化と今後のCCT技術開発のあり方に関する検討
(報告書名) CCT技術開発ロードマップ作成支援報告書
(報告書番号)
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  わが国の一次エネルギーに占める石炭の割合は22%であり、発電量に占める石炭火力の割合は25%にのぼる。石炭はわが国において重要な基幹エネルギーの地位を占めており、その輸入量も増加傾向にあることから、その重要性はますます高まっている。平成19年に、燃料関係分野の技術戦略マップの中で、石炭利用技術分野の技術ロードマップが作成されたが、その後の技術開発の進捗や、東日本大震災によるわが国のエネルギー政策の見直しが迫られる状況から、石炭利用技術分野の技術ロードマップを見直し、発電分野における石炭の役割に関する調査を行った。
技術ロードマップの見直しでは、革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電技術や、CO2循環型IGCC、水素タービンなど新たに5つの技術を加え、約40の個別技術の開発進捗状況などを調査し、学識経験者による委員会での審議を経て、2035年までのロードマップを策定した。
発電分野における石炭の役割に関する調査では、国のエネルギー基本計画や長期エネルギー需給見通しが示されないなか、独自のシナリオを設定し2050年までの燃料別発電電力量を推計し、地球温暖化の一因とされるCO2排出量に関する検討を行った。エネルギー需給の設定は、平成21年8月資源エネルギー庁の「長期需給見通し(再計算)」の省エネ機器・設備が最大限導入される「最大導入ケース」を準拠し、2030年以降は、電力需要のGDP原単位と、一人当たりのGDP伸び率が継続すると想定して設定したが、総人口が減少するため、2030年と比較して2030年以降の総電力需要は減少する結果となった。
原子力発電については、東日本大震災後の政府見解を勘案し、現在運転中・建設中の発電所を対象として、運転年数40年で漸減していくものと想定した。また、再生可能エネルギーについては、2030年までの長期需給見通しの最大導入ケースの、設備容量と発電電力量が継続するものと想定したが、総電力需要が減少するため、再生可能エネルギーの占める割合は増加している。
高効率石炭火力は、A-USC,空気吹IGCC,酸素吹IGCCが2020年より5年毎に一基ずつ導入され、2025年からの導入基にはCCSを付保した。IGFCは2030年からCCS付で10年毎に一基導入されるものと想定して、2050年までの設備容量、発電電力量を推計した。石炭火力をベース運転とした場合、2050年の発電電力量は、石炭が44%を占めその内の約半分が高効率石炭火力となり、LNGは30%、新エネ11%、水力10%で原子力が数%残っている電源構成となり、全電源のCO2排出原単位は、2025年からCCSを付保したにも拘らず2005年の95%に留まる。LNGをベース運転とした場合でも、2050年の全電源のCO2排出原単位は、2005年の90%であり、原子力発電がCO2削減に大きく寄与していたことが判る。原子力発電を選択しない場合、電力大でCO2削減20%を実現するためには、高効率石炭火力に加え、新設のLNG火力にもCCSを考慮する必要があることが推計結果から考察される。
(目 次) 1. 調査の手順
2. 発電分野における石炭の役割に関する検討
3. 石炭利用技術の個別技術と解説シート
4. ロードマップのローリング
5. IEAへのインプット

4.3 インドネシア国における褐炭からの代替強粘結炭(SCC)製造技術に係る調査研究

(プロジェクト名) インドネシア国における褐炭からの代替強粘結炭(SCC)プロジェクトの案件発掘調査
(報告書名) 国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業
基礎事業 石炭高効率利用システム案件等形成調査事業
インドネシアにおける褐炭からの代替強粘結炭(SCC)プロジェクトの案件発掘調査に関する調査業務報告書
(報告書番号) IAE-1111504
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  鉄鋼製造に必要な高品位のコークスを製造するために使われる強粘結炭の代替となる代替強粘結炭(SCC; Substitute Coking Coal)を低品位炭から熱分解水素化し製造する技術に基づくプラントを、インドネシアに建設、運転するプロジェクトの可能性検討を行うものである。本技術は、石炭の種類により製品となるSCCの性状が異なることから、想定する南カリマンタンで産出するアダロ炭を用いて小型実験装置による試験によりその性状を確認し、複数のプラントサイトから適当な場所を選定して検討する案件発掘の業務である。
インドネシアで第二位の石炭生産量を誇るアダロ社と協力し、伊藤忠商事株式会社がアダロ炭からのSCC試料の作製、インドネシアにおける資源動向調査、市場動向調査、さらにバリューチェーン策定を行い、また、千代田化工建設株式会社がSCC試料の分析、コークス化性の評価、今回の実証装置の概念設計、建設費推算、さらに、これらに基づく経済性評価を当研究所が実施した。
まず、アダロ炭を用いて、小型実験装置によりSCCの試料を製造した。改質反応の温度は390~410℃、滞留時間は30~120分の範囲で条件を振らせて製造した試料を分析した。国内で高強度のコークス製造に使用されている、強粘結炭や粘結炭などを配合した配合炭を基準として、全量の10%に当たる量を強粘結炭と試作したSCCとを置換して、小型コークス炉を用いて小型缶焼きコークスを製造し、I型強度などを測定した。特に、選定したSCCについては商業的にコークス強度の指標として使われている(DI)ドラムインデックスを測定した。その結果、強粘結炭をSCCに入れ替えても、元の配合炭から製造されたコークスとほぼ同等の強度が得られたことから、アダロ炭から強粘結炭と同程度の品質の代替粘結炭を製造することが確認されたと言える。また、強度の低いコークスを製造する配合炭を用いると、配合炭で得られるコークス強度より高くなる可能性が高くなり、ひいては高炉におけるコークスの使用量を減ずる可能性が示された。
次に、南カリマンタンのアダロ炭鉱周辺で3か所の候補地を選定し、比較した結果、最も適当なアダロ炭鉱山元に建設することとした。また、コークス炉に隣接するケースも検討対象とした。そして、実験で得られた収率を元にして、原料の石炭500ton/日(乾燥炭基準)の実証装置を設計し、建設費を推算した。設計で得られたデータを元に経済性評価を行った結果、SCC1ton当たり、250~380US$で製造できることがわかった。  原料炭の価格は、豪州基準で330US$/tonまで上昇したが、現在は若干下がっている。とは言え、インドネシアでは高炉およびコークス炉の新設計画が進展しており、国内低品位炭を有効に利用できるSCCの利用が期待される。また、中長期的には、世界の鉄鋼需要の伸びや強粘結炭の資源制約とともに価格が上がると考えられ、本検討において本技術が有用であることが示された。

4.4 石油火力発電コストに係る調査・評価

(プロジェクト名) 石油火力のコスト調査
(報告書名) 石油火力のコスト調査
(報告書番号) IAE-111604
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  石油火力のコスト試算にあたり、2010年を基準とし、新設のモデルプラントを検討対象とし、発電方式は、石油火力、天然ガス火力(NGCC)、石炭火力(USC, IGCC)を前提とした。なお、石油火力の発電方式としては、USC, 残渣IGCC、軽油CCを想定した。また、コストは、建設費および発電単価として算出した。
まず、公開情報による調査をベースとして石油火力の実績調査を行った。次に、天然ガス火力および石炭火力のコスト調査を行ったが、実施にあたっては、米国エネルギー技術研究所(NETL)の情報を基礎資料とし、本検討条件にスライドさせることにより、建設費、送電端効率、人件費、燃料価格、その他用役費などを考慮して算出した。最後に以上の調査結果を踏まえて、石油火力のコストを推算した。なお、コスト試算の妥当性を高めるために、火力発電建設業界の有識者に、検討方法、検討結果に関するコメントを求めた。
(目 次) 1.目的
2.実施内容
3.検討結果

5.地球環境関連

5.1 石炭起源の低炭素原燃料とCCSの導入・普及のシナリオに係る調査研究

(プロジェクト名) 石炭起源の低炭素原燃料とCCSの導入・普及のシナリオに関する研究開発
(報告書名) 石炭起源の低炭素原燃料とCCSの導入・普及のシナリオに関する研究開発
(報告書番号)
(発行年月) 2012年2月
(要 旨)  クリーンコール技術、特に石炭起源の低炭素原燃料とCCSの役割の今後の見通しを明らかにし、低炭素原燃料とCCSのサプライチェーンのビジネスモデルの提示を行うことを目的として、エネルギーモデルへの入力データとなる、CO2輸送・貯留の経済性・既存の低炭素原燃料合成プロジェクトの現状・合成原燃料製造シナリオに関する評価例についての調査・検討・整理を行うとともに、エネルギー需給バランスデータに基づくエネルギーモデルフレームワーク拡張の検討を行なった。また、米国エネルギー省所管のパシフィック・ノースウェスト国立研究所とメリーランド大学の共同所管組織であるJoint Global Change Research Instituteとの情報交換を実施した。
得られた成果の概要は以下の通りである。

(1) CO2輸送・貯留の経済性に関するサーベイ

 CO2輸送・貯留の経済性評価に関する文献を調査し取り纏めた。

(2) 既存の低炭素原燃料合成プロジェクトの現状

 石炭および天然ガスを原料とする世界のFT合成プロジェクト・メタノール合成プロジェクト・DME合成プロジェクト・MTGプロジェクトを調査し、取り纏めた。

(3)合成原燃料製造シナリオに関する評価例

 石炭起源合成燃料の導入可能性についての長期世界評価を行った例として、米国エネルギー省、国際エネルギー機関の評価例を取り纏めるとともに、日米共同研究の米国側パートナーであるパシフィック・ノースウェスト国立研究所で開発されたGCAM (Global Change Assessment Model)モデルについて調査し、取り纏めた。

(4)JGCRIとの情報交換

5.2  サステイナブルなエネルギーシナリオとアジアへの影響と原子力の寄与に係る調査研究

(プロジェクト名) サステイナブルなエネルギーシナリオとアジアへの影響と原子力の寄与
(報告書名) サステイナブルなエネルギーシナリオとアジアへの影響と原子力の寄与
(報告書番号) IAE-1010928
(発行年月) 2011年12月
(要 旨)  平成21年度より、エネルギー環境モデル(GRAPE)を利用した世界の長期的な(~2100年)シミュレーションにより分析し、現実的なCO2削減プロセス/オーバシュートシナリオ(注)を検討してきている。これまでの検討により、オーバーシュートシナリオの有効性が定量性をもって示され、また、その実現にあたっては、先進国が過剰な努力をするよりも、世界が協調して取り組んだ方がトータルでは経済的であるということが示されてきている。これらの結果を踏まえて、「世界で共有できるエネルギービジョン」を提言していくことにしているが、そのためには計算結果が国際的に説明性の高いものであることが大前提である。そこで今年度は、計算の入力条件についての精査を行うとともに、それらの感度解析を実施した。
主要なCO2削減技術である原子力発電、再生可能エネルギーなどについて、コスト、ポテンシャル及び制約条件などの最新の動向を分析し、見直しを行なった。この条件のもとで、昨年来提案しているオーバーシュートシナリオを実現するための世界のエネルギー需給やCO2排出に与える影響を評価することにより、技術・コストを詳細に評価した。その結果、オーバーシュートシナリオは2050年くらいまでは省エネを実施した上で発電部門を中心とした比較的実現性の高いCO2削減技術を導入することにより、現実的なコストで実現可能であることを示した。さらに主要なエネルギー技術について、その導入の多寡がエネルギー需給構造に与える影響を評価し、オーバーシュートシナリオを実現するための重要技術を抽出した。
また、2010年3月の震災における福島第一原子力発電所の事故により、世界の原子力新設計画に影響が生じる可能性がある事を踏まえ、その影響の分析を実施した。震災後の各国の反応をみると、ドイツ、イタリア等原子力を中止する方向に舵をきる国もあるが、全体としては世界の原子力新設計画に大きな変動はないようである。とはいえ、世界的に原子力が停滞する可能性もあることから、極端ケースである原子力がフェーズアウトするケースを含め、幅広い分析を行った。その結果、原子力フェーズアウトを実施した場合、途上国を中心にエネルギー部門のコストが増加することを示した。  本報告の内容をキャノングローバル戦略研究所殿主催の国内WC「地球温暖化緩和における世界で共有できるエネルギービジョン」(2011年6月30日)にて発表した。また、国際シンポジウム「地球温暖化抑制に向けての世界が共有できるエネルギービジョン」でのキャノン戦略研究所の講演内容の一部を作成した。


(注)短期的には多くのCO2排出を許容することで、大気中のCO2濃度及び気温上昇が一時的に目標値を超えるが、その後CO2排出を地球の自然吸収能力より十分低いレベルまで減らすことによって、CO2濃度も気温も徐々に低下させるシナリオのこと。

(目 次) 1.はじめに
2.GRAPEエネルギーモデルについて
3.GRAPE入力条件
4.エネルギー需給、CO2排出シナリオ作成のための解析
5.まとめ

6. 原子力関連(原子力工学センターに係るものは除く)

(ア)次世代原子炉技術開発等に関する調査研究

6.1 将来型原子力システム等に係る技術動向の調査

(プロジェクト名) 将来型原子力システム等に係る技術動向調査
(報告書名) 平成23年度原子力開発利用分野における国際協力動向調査(将来型原子力システム等に係る技術動向調査)
(報告書番号) IAE-1010104
(発行年月) 2012年2月
(要 旨) 1.第4世代原子力システムの開発に関する調査

 GIF憲章が締結されてから、2011年7月で10年を経た今日、GIFの原子力システムについては、ロシアのSCWR(超臨界圧水冷却炉)のSA(システム取決め)や発効済PA(プロジェクト取決め)への加盟など多国間の研究開発スキームが着実に出来上がってきている。GIFの組織については、GIFシステムのR&Dの進捗やその方向性をPGに助言する機能の強化のためGIFの技術的なサポートをする専門家グループの委嘱事項の改訂が行われ、それに基づいて活動が開始され始めた。GIFシステムのモデリングやシミュレーション、検証に関する検討が先進シミュレーションタスクフォースでGIFシステムの教育・訓練に関する検討が教育・訓練イニシアチブで行なわている。福島事故に関するGIFの対応として、GIFとして、最も高い安全性に到達する第4世代原子力発電所に関する共同研究開発を行っていくことを再確認し、公表しており、先ずはSFR(ナトリウム冷却高速炉)から2012年末を目処に安全設計基準を整備している。2012年の11月にはGIFシステムの安全性に着目したGIFシンポジウム(2回目)が計画されている。

2.経済協力開発機構原子力機関における原子力開発に関する調査

 福島事故を受けてのNDC作業プログラム(PoW)への影響については、いくつかのプログラム(NET、NEO、稼働率向上)が保留や延期となっており、事故を受けての新たな取り組み(Needsプロジェクト、低原子力シナリオ、発電コストの更新等)も提案され、NEA事務局で検討することとなった。NDCの継続プログラム(原子燃料サイクル、教育・訓練等)や現行プログラム(ウラングループのレッドブック作成に係る所掌の議論、寿命延長と管理の経済性等)の活動状況が示され、最終化に向けて活動中である。第60回NDC委員会(2012年2月開催)では、2013-2014年の作業プログラム(経済性や政策の観点で福島事故との関連含む)についての議論や、日本から福島事故に係る協力(廃止措置に係る新たな技術のR&Dの各国の協力・支援)をお願いした。福島事故フォーラムについては、37ケ国からの規制機関の責任者に福島事故を受け、原子力プラントの安全運転の関わりや世界中の国々により取られる取り組みに関する情報交換の機会を提供したもので、フォーラムの参加者は共有する知見と取り組みや規制当局がフォーラムから学んだことを実践する観点からの多くの優先事項と推奨に 合意し、最終的結論と推奨に関するフォーラムの全文がNEA Websiteで公表された。

3.その他原子力分野にける海外技術動向調査

 その他の原子力開発に関わる調査として、IAEAの技術WG(軽水炉技術開発)での検討内容を調査した。本会議では、経済性と安全性を改善するための水冷却炉の技術進歩に関するIAEAプロジェクト、水冷却炉の技術開発における国のプログラムのハイライト、福島事故とIAEAへの推奨事項に関する更新、TWG-LWRのトピックスに選ばれたプレゼンテーション(“長期運転に対する材料と時効管理”、“APR1400設計、開発”、“米国SMRプログラム”、“HPLWR開発の状況”、“安全性改良のスウエーデンプラントの近代化の取り組み例”)が報告、議論された。福島事故ではTWG-LWRに議長がブラックスワン(非常にまれなもの)について言及し、福島事故の教訓として、分かっているブラックスワン以外についても特定するため、幅広い産業界の取り組みが必要であることを強調していた。TWGメンバーは福島事故からの技術的課題に取り組むため国際協力活動の可能性について議論し、最終的に、10項目(福島事故事象の調査、設計コードの保守性レベル、外部事象限度の妥当性評価ガイドライン制定、緊急時対応機器一覧表の作成、定期安全レビュー結果のIAEAピアレビュー、非ジルカロイ被覆燃料開発等)についてIAEAへの推奨事項を提案した。

(目 次) 1.はじめに
2.技術開発計画
3.成果の概要
4.実施内容及び成果
4.1 GIF活動による研究開発協力の推進
4.1.1 GIF活動全体の動向
4.1.2 SCWR開発に関するGIF会議の成果
4.2 システム統合・評価に関する技術開発(GIF開発目標の達成度評価)
4.3 伝熱流動・安全に関する技術開発
4.4 材料・水化学に関する技術開発
5.まとめ

6.2  国際協力による超臨界圧水冷却炉の開発

(プロジェクト名) GIFの国際協力による超臨界圧水冷却炉(SCWR)の開発(フェーズI)
(報告書名) GIFの国際協力による超臨界圧水冷却炉(SCWR)の開発(フェーズI)
(報告書番号)
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  GIF活動全体の動向として、第4世代システムの活動全体動向、システム評価手法開発活動状況は以下の通りである。

1. 第4世代原子力システムの活動全体動向

 第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)は、2000年1月に米国DOEの要請により第4世代の構想と世界市場での要求に合致する次世代炉を国際協調に基づいて開発を行う構想について議論が成されたのが始まりである。その後、その国際連携の枠組みを規定する憲章が作成され、2001年7月に我が国を含む9ヵ国により憲章への署名が行われた。2012年3月現在、12ヵ国と1機関(EURATOM)が参加している。2002年12月に、研究開発の優先度などを定める技術ロードマップが公表され、開発対象の原子力システムとして6つのシステム(超高温ガス冷却炉(VHTR)、ナトリウム冷却高速炉(SFR)、超臨界圧水冷却炉(SCWR)、ガス冷却高速炉(GFR)、鉛冷却高速炉(LFR)、溶融塩炉(MSR))を選定している。GIFで開発する6つの原子力システム概念のうち、2011年3月現在、4つのシステム取決め(SA)がメンバー国間で締結されており、そのシステム開発の中でのプロジェクト取決め(PA)には、2011年度末時点で、全部で10のPAが締結されている。なお、システム取決め(SA)の締結が行われていなかったLFRとMSRの2つのGIFの原子力システムについては、SA署名までの参加機関の研究活動の調整を可能にするため、MOUが2010に発効されており、2011年度にLFRにロシアが新たに加盟したことから、2011年度末時点でLFR(EUR、日本、ロシアがMOUに署名)、MSR(EUR、仏がMOUに署名)の発効状況になっている。

2. システム評価手法開発活動状況

 GIFの3つの評価手法作業部会(MWG)の2011年における各WGの主な活動の調査結果は次の通り。

1) 核拡散抵抗性及び核物質防護(PR&PP)WG

PR&PP評価手法報告書の改訂版(Rev6)と各システムのSSC(システム運営委員会)と共同で作成されたPRPP白書を作成し、GIF専門家グループのレビューを経て2011年10月のスイスでの政策グループ会合で2つの報告書は承認された。本手法報告書の改訂版(Rev6)はGIF内外の一般に公開(GIFの公開ウエブサイト)されている。本WGは今後とも年2回程度の会合や本WGに関連している内外の機関(SSC、INPRO、RSWG)との交流や核物質管理学会等への参加を 行なっていくこととしている。

2) リスク及び安全性(RS)WG

確率論的安全評価(PSA)を中心とした統合的安全評価手法(ISAM)報告書を作成し、レビューのため、2011年6月にGIFの専門家グループ(EG)に報告書が提出された。本手法報告書は2011年10月のスイスで行なわれた政策グループ会合で承認され、GIF内外の一般に公開(GIFの公開ウエブサイト)されている。本手法報告書は2011年3月に発生した福島事故の影響を受けないと考えられるが、報告書の“まえがき(Preface)”に留意すべき事項として、将来、報告書を修正するかもしれないことを補足追記し、福島事故のフィードバックは事故分析の進捗を踏まえて報告書発行後の改定の中で検討していくこととした。本WGは各SSCとの協調を促進するため、システム固有の安全性の課題やISAM適用例を記載するWhite Paper(白書)を各炉型についてSSCと協調して作成することとなった。また、本WGは年2回の会合や本WGに関連している内外の機関(SSC、PR&PP、MDEP、INPRO)との交流を行なっている。

3) 経済性モデリング(EM)WG

2008年にコスト評価コード(G4-ECONS)としてほぼ開発を終え、ユーザーズマニュアルとコードを一般にも公開した。現在、ユーザーによる手法の適用状況の監視を継続している。2011年も引き続き、手法の利用を監視し、その利用によるフィードバックと可能な改善を進めた。本WGは年2回(2011年6月、12月)の会合を実施しており、マイナ-アクチニドリサイクルモデルの検討やG4-ECONSの応用例の紹介、各機関の経済性評価に関する情報交換 (INPROとの意見交換、MIT報告)等を行なった。

(目 次) 1.はじめに
2.技術開発計画
3.成果の概要
4.実施内容及び成果
4.1 GIF活動による研究開発協力の推進
4.1.1 GIF活動全体の動向
4.1.2 SCWR開発に関するGIF会議の成果
4.2 システム統合・評価に関する技術開発(GIF開発目標の達成度評価)
4.3 伝熱流動・安全に関する技術開発
4.4 材料・水化学に関する技術開発
5.まとめ

6.3 高温ガス炉プラントに係る調査研究

(プロジェクト名) 高温ガス炉プラントに関する研究
(報告書名) 高温ガス炉プラントに関する研究
(報告書番号) IAE-1111907
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  1. 人類社会の持続可能な発展のためには、エネルギーの安定供給と環境保全の確保が不可欠である。原子力エネルギーの利用は、安全性に対する信頼を回復することが最優先課題であるが、エネルギー供給の安定性や地球温暖化防止の観点から極めて重要で、このことに大きく貢献することが期待できる。より安全で、かつ持続可能な次世代原子力プラントの開発は重要な視点であり、世界各国において研究開発が進められている。その中で高温ガス炉は、エネルギー密度が比較的低いことや、反応度フィードバック効果などの物理的な仕組みから、放射性物質放出事故を非常に起こしにくい、次世代のエネルギー源として期待されている。さらには、水素製造にも利用できるというメリットもあり、米国、中国などでは積極的な研究開発が進められている。我が国においても世界をリードする研究・開発が行われている。それに対応すべく本研究も充実した活動を続けてきた。
2. 高温ガス炉の大きな特徴は、原子炉冷却材出口温度を1,000℃近くまで高くできるため、発電のみならず、広範囲な熱利用が実現できることである。そのため、新しい動きとして、化石燃料の回収・改質(合成燃料製造)、将来の水素エネルギー社会をめざした高温ガス炉の熱利用による高効率大量水素製造などの動きが、世界的に急速に活発化してきたことが注目に値する。例えば、米国ではDOEがNGNPプロジェクトを発表して熱利用、水素製造、及び発電ができるプラントをアイダホに平成33(2021)年頃までに建設、実証しようとしている。
3. また、日本においては、日本原子力研究開発機構(当時、日本原子力研究所)が試験研究炉(HTTR)を用いて平成16(2004)年4月に原子炉冷却材出口温度950℃を世界に先駆けて達成した。平成22(2010)年12月には炉心の流量を喪失させる実験を実施し、このような厳しい冷却能力喪失時においても、高温ガス炉の安全性を実証している。また、ヘリウムガスタービン発電システムや水素製造システムも開発中である。さらに、発電、水素製造、地域暖房を目的として始まったカザフスタン共和国の高温ガス炉(KHTR)開発プロジェクトに全面的に協力中である。中国においては、試験炉(HTR-10)が順調に運転されており、現在、実証炉(HTR-PM)が建設を目ざして準備中である。しかし、南アのPBMR計画は、政府による資金提供が困難化し、中止を余儀なくされたが、その他、欧州における高温ガス炉プラントの検討は熱心に続けられている。IAEA、OECD、米国、欧州、日本のメーカの動き等も活発となっており、高温ガス炉に対する関心は、世界的にますます高くなっている。これらに伴って、国際協力もより積極的に進められている。
(目 次) はじめに
関係者名簿
I.今年度の活動実績の概要
II.有識者による講演
III.調査・研究・評価
IV.まとめ

(イ)核燃料サイクルに関する調査研究

6.4  軽水炉燃料の高燃焼度化が与える影響評価に係る調査研究

(プロジェクト名) 原子力持続性
(報告書名) 「エネルギー技術情報に関する調査報告書(2/3)II 東日本大震災の燃料サイクルを中心とする影響評価と課題の検討
(報告書番号) IAE-1121714
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  福島第一原子力発電所事故が国内外に及ぼした影響を調査するとともに、我が国の今後の原子力政策シナリオの課題を核燃料サイクル諸量の観点から定量的に評価した。  国際的には、事故はドイツ、ベルギー、スイスなどの特定国において原子力利用を廃止する方向となるなどの影響を及ぼしている。しかし、現状では多くの原子力利用国において、福島第一原子力発電所事故の教訓を基に安全対策強化を図ることを実施しつつ、引続き原子力利用を進めている。世界全体として見た場合、IAEAによる原子力発電に関する長期予測において事故の影響を予測することは困難としているが、開発のペースに影響は見られるものの今後も原子力発電設備容量拡大が進展することが見込まれている。
一方、国内においては原子力利用は非常に厳しい状況に置かれており、2012年夏を目標として検討が進められているエネルギー環境戦略における選択肢としては、将来的に原子力発電0%のケースも想定されている。また、停止中の原子力発電所の再稼働に関しても、関連自治体の理解が進まないなど、先行きが見通せない状況にある。
システム・ダイナミックス手法を用いて、今後の我が国の原子力政策シナリオの課題を核燃料サイクル諸量の観点から定量的に評価した。
我が国の原子力発電規模が与えられたときの燃料サイクル諸量として、天然ウラン需要、ウラン濃縮、燃料加工、使用済燃料発生量、使用済燃料貯蔵量及びそれに内蔵される核分裂性プルトニウム(Puf)量が重要である。  原子力発電規模としては、日本学術会議が2011年9月に出した「エネルギー政策の選択肢に係る調査報告書」にある6つのエネルギー・シナリオを分析評価の出発点とした。この中で、シナリオA(原発即停止)及びシナリオB(原発5年で停止)は、日本の現実から考えて無理であると判断し除外した。残りの4つのシナリオを評価対象とした:シナリオC(原発20年で停止)、シナリオD(原発寿命で停止)、シナリオE(原発現状維持)及びシナリオF(原発増強)。各シナリオは2040年までの発電量(TWh)によって示されている。
この発電量から、具体的には日本の原子力発電プラント個別の発電設備容量、設備利用率及び燃料取替計画などを仮定する必要がある。各発電設備容量は、商業運転開始(運開)から廃止措置のための閉鎖までの期間に発電するものとする。4つのシナリオについて、プラントの閉鎖年とその閉鎖容量とをプロットし、設備利用率を仮定し、学術会議の発電量を出来る限り再現するようにした。評価の前提条件として、熱効率33.5%、初装荷燃料燃焼度33GWd/t、取替燃料燃焼度55GWd/t、廃棄ウラン濃度0.25%とした。濃縮度及び使用済燃料単位量当たりの内蔵Puf量は、炉心設計計算コードによるデータを二次式でフィッティングして求めた。
評価はシステム・ダイナミックスコードSTELLA 9.3.1を利用し、発電、天然ウラン、濃縮、新燃料、使用済燃料、及び日本全体量のセクターを構築した。評価量としては、年間発電量に対する必要発電設備容量、必要天然ウラン量、濃縮分離作業量、燃料加工量、使用済燃料発生量と累積値及び使用済燃料中の内蔵Puf量である。
早めに原子力発電を閉鎖したり、規模を縮小すれば、フローとしての天然ウランや分離作業量は当然減る。しかし、2040年で見たときの使用済燃料のストックは、決して減る訳ではない。言い換えれば、脱原発政策によっても、使用済燃料の取り扱いの政策は極めて重要な問題である。
(目 次) 1. 震災の原子力利用への影響把握
1.1 海外各国の影響
1.2 国内の影響
2. 今後の我が国原子力利用に係る分析と評価
2.1 震災の影響を反映した我が国原子力利用の中期的シナリオ分析
2.2 課題の摘出と検討
2.3 まとめ

(ウ)高レベル放射性廃棄物処分に関する調査研究

6.5 地層処分の安全確保に係る自主基準の具体的検討

(プロジェクト名) 地層処分の安全確保に向けた社会科学的方策と自主基準に係る調査・検討
(報告書名) 地層処分の安全確保に向けた社会科学的方策と自主基準に係る調査・検討
(報告書番号)
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  原子力発電環境整備機構(以下,原環機構という)は,「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき,段階的な処分地選定過程を経て最終処分地を選定することとしている。各選定段階で行われる安全評価に関しては,国が定める安全基準等に加え原環機構として自主的に定める判断基準も設けて安全確保を図るものとしている。
本調査では,2009年度および2010年度に実施した自主基準に係る調査に続き,「地層処分に係る社会科学的方策の調査・検討」および「自主基準等の体系の具体化に係る調査・検討」を行った。
「地層処分に係る社会科学的方策の調査・検討」では,処分事業の社会的受容との関わりが大きいと考えられる「セーフティケースと安全コミュニケーション」および「超長期の安全評価に係る考え方」について,現状の情報を整理した。その上で,社会科学系を含む多様な分野の有識者や専門家で構成される検討委員会を設置し,上記二つのテーマを中心に検討した。検討会での意見を中心に,原環機構の今後の事業展開にとって参考にすべき点について提言を取りまとめた。
セーフティケースそのものについては,社会心理学における「手続き公正感における修正可能性」と同じ枠組みであると捉えることができ,社会に定着している意思決定の枠組みと変わるものではないこと,むしろ同じ基盤の上に立つものであることを明言しておくことが必要であろうとの示唆が得られた。地層処分の専門家は,地層処分領域の考えを説明し,理解してもらう,という傾向が強く,それが社会の意思決定システムと同一基調のものであるか否かということについては殆ど関心を払わないといっても言い過ぎではないであろう。社会システムとして定着する方向にある戦略的環境アセスメント手法に沿った進め方とどのような関係,あるいは位置づけになるかについて十分意識した検討が必要であるとの意見も,広く社会からみた地層処分の意思決定という見方の必要性を述べているものである。
「自主基準等の体系の具体化に係る調査・検討」では,2010年度までの自主基準に関する委託業務成果および「要件管理システム」等の関連する委託業務成果に基づき,精密調査地区選定段階までの事業への展開を中心に,自主基準体系の階層構造化を再度整理し,自主基準の例示内容の詳細化を図った。また,この例示の自主基準の構造は,今後,原環機構が策定する自主基準に対して汎用的,かつ適用性の高い構造との観点から,次の七つの階層的な要素により構成する構造を採用した。
(1)安全確保にかかわる目標,(2)業務への要件,(3)判断項目,(4)判断の指標,(5)判断の基準,(6)判断の根拠,(7)判断に必要な情報また,検討の過程で,国内外機関における自主基準の類似事例を調査し,原環機構の自主基準の構築にあたり参考となる反映事項を抽出した。
概要調査段階の原環機構の自主基準としては,法律等により規定された事項,選定上の考慮事項および事業者として意思決定すべき事項への対応のほか,説明責任を確保しつつ事業者としての合理性やリスクのより小さい方向を目指した意思決定も含めて提示した。本検討では,まだ公募地区がなく文献調査に取り掛かっていない段階で,精密調査地区選定に向けての段階的な意思決定を基本とした自主基準の枠組みと指標や尺度などを設定した。実際の意思決定の作業は本検討で提起したように段階的でなく,相互の作業を連携しつつ並行して進められる可能性が高く,異なるグループで意思決定がなされる。そのため,実作業での連携を考慮した自主基準相互の整合性についての見直しが必要と考えられる。また,現在検討中の精密調査地区選定上の考慮事項の内容に応じて自主基準の見直しが必要であり,特に自然現象の著しい影響の回避に関する方策について,エビデンスが十分でなく不確実性が含まれる可能性が高い場合,次段階の調査にどこまで持ち込むかは事業者としてのリスクとなるため,その場合の対応を含めた自主判断の指標や尺度の準備が必要であろう。
(目 次) 3. 実施項目の概要
I. 地層処分に係る社会科学的方策の調査・検討
1. まえがき
2. 検討課題に関する情報の整理
2.1 セーフティケースと安全コミュニケーション
2.1.1 原子力安全委員会コミュニケーション小委員会報告書
2.1.2 OECD/NEAの報告書
2.1.3 IAEAの報告書
2.2 超長期の安全評価に係る考え方
2.2.1 OECD/NEAの報告書
2.2.2 IAEAの報告書
2.2.3 ICRPの報告書
3. 有識者による安全コミュニケーション等に係る検討会の実施
3.1 検討会の設置と検討の経緯
3.2 議論の概要
3.2.1 セーフティケースと安全コミュニケーション
3.2.2 超長期の安全評価に係る考え方
4. まとめと提言
II. 自主基準等の体系の具体化に係る調査・検討
1. まえがき
2. 自主基準の概要体系(案)の適正化および詳細化に係る検討
2.1 体系区分等の適切性評価
2.1.1 自主基準の定義と体系に係る考え方
2.1.2 要件管理システムと自主基準体系
2.1.3 自主基準体系設定の考え方
2.2 国内外機関の自主基準類似事例
2.2.1 国内機関
2.2.2 国外機関
2.2.3 事例調査からの反映事項
3. 事業全体を俯瞰した規程体系変遷の見通しの提示
3.1 サイト選定段階から事業廃止に至る規程の体系的変遷の見通し検討
3.1.1 事業全体を見通した規程体系
3.1.2 事業全体を見通した自主基準体系
3.1.3 事業の段階に対応した自主基準
3.2 原環機構として準備しておくべき事項
3.2.1 事業の段階に対応した自主基準設定のために必要とされる検討課題
3.2.2 事業の進展に対応した自主基準と規制基準の関係
4. まとめと提言
III. 結 言
添付資料 I 1 社会受容のために必要な手順についての考察
添付資料 I 2 超長期の安全確保に係わる時間枠の考え方
添付資料 I 3 検討会の議論の整理
添付資料 I 4 「第1回地層処分の社会科学的アプローチに係る検討会」議事録
添付資料 I 5 「第2回地層処分の社会科学的アプローチに係る検討会」議事録
添付資料 I 6 英国の環境セーフティケースに関する資料

(エ)原子力人材育成に関する調査研究、その他

6.6  原子力研究環境整備事業選考調査

(プロジェクト名) 原子力研究環境整備事業選考調査
(報告書名) 平成23年度原子力研究環境整備事業選考調査報告書
(報告書番号) IAE-1111201
(発行年月) 2012年5月
(要 旨)  文部科学省が行う原子力人材育成プログラム事業に関する業務を効率的に実施するため、原子力人材育成プログラムの実施に必要な支援業務を通じて、公募により採択した事業の実施状況調査業務及び事業終了後の実施校に対する追跡調査業務等を実施した。

(1)原子力人材育成プログラムに係わる調査業務

1)平成23年度に補助金により実施される事業(交付予定14事業)及び平成22年度に補助金により実施された事業(19事業)の実施状況、2)平成19年度から平成21年度に補助金が交付された大学及び高等専門学校(36校)における原子力分野の人材育成事業の継続状況及び原子力分野への就職状況等について、追跡調査を行った。

(2)技術審査委員会による評価の実施

1)委員会の委員の選定を含めた委員会の企画、委員の委嘱、旅費の支払、謝金の支払等に関する業務、2)委員会開催の日程調整、委員会資料の作成及び議事要旨の作成、3)委員への資料の事前送付及び評価の依頼等により委員会による評価の取り纏めを行った。

(3)補助金の交付及び事業管理支援に係る業務

1)大学及び高等専門学校が作成した補助金交付申請書の受領及び様式・記載内容、補助事業に要する経費の内容及び積算根拠の確認、2)補助事業終了後に大学及び高等専門学校から提出される各種書類(経費の支出を証明する書類を含む)の確認、3)大学及び高等専門学校に対し、プログラムを円滑に遂行できるようアドバイス等の支援を行った。

(4)原子力人材育成プログラム成果報告会の開催

1)成果報告会の企画、日程調整、会場確保及び各校からの資料の受領、資料集の印刷製本等の成果報告会開催に係る業務、2)当研究所のホームページ及びこれまでの応募校への案内メールを通じてた成果報告会の周知等を行った。

(5)原子力人材育成プログラムの実施事例の紹介

当研究所ホームページにおいて、平成22年度の実施事例の紹介を行った。

(目 次) 1. はじめに
2. 事業目的
3. 事業の概要
4. 原子力人材育成プログラムに係わる調査業務
5. 技術審査委員会による評価
6. 補助金の交付および事業管理支援に係る業務
7. 原子力人材育成プログラム成果報告会の開催
8. 原子力人材育成プログラムの実施事例の紹介

6.7 世界の原子力発電の動向調査

(プロジェクト名) 世界の原子力発電の動向調査
(報告書名) 2011年度世界の原子力発電開発の動向調査
(報告書番号) IAE-1111908
(発行年月) 2012年3月
(要 旨) 1. 日本及び世界の原子力導入動向と原子力産業動向調査

 2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第1原子力発電所事故後の日本及び世界の原子力動向を調査した。とくに、日本の原子力発電の動向は大きく変わった。なかでも、原子力発電プラントは一旦定検に入ると再稼働する見通しが立たなくなっている。運転中のプラントは、2012年2月末現在では2基であるが、5月にはゼロになる可能性がある。ストレステストの1次評価結果が原子力安全・保安院に提出された数は、16に過ぎない。そのうちわずか2件(大飯3及び4号)が同院から原子力安全委員会に出された。IAEA調査団はストレステストの手法の妥当性を評価したにも関わらず、それが定検後の再稼働の条件として受け入れられていない。 福島事故後の国内のその他の動きとしては、事故収束に向けた道筋のステップ2が完了した。その先には第1期、第2期及び第3期のロードマップが作られ、第3期において、廃止措置が30~40年後には終了することが明示された。
防災重点区域が拡大され、緊急時防護措置準備区域(UPZ)が30km圏内に拡大された。環境省は新たな避難指示区域ごとの除染工程表を、厚生労働省は食品中の放射性物質の新たな基準値を設定した。事故調査には、政府、国会及び民間事故調が独立に動いている。エネルギー・環境会議のコスト等検証委員会は、平成23年末に発電コストに関する報告書を出した。原子力発電コストは、原子力事故による損害額6兆円~20兆円に応じて、kW時当たり8.9円から10.2円となるが、まだ再生可能エネルギーよりも安い。総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は新しい「エネルギー基本計画」の中での原子力の位置づけも検討している。
他方、世界全体では2月末の運転中原子炉数は437基、建設中は63基である。104基の原子炉が運転中の米国では、原子炉運転免許は40年となっているが、安全が確認されれば、さらに20年の運転が可能である。既に70基がさらに20年間の運転を認可されている。米国でも2012年2月、AP-1000の建設・運転計画が承認された。58基が運転中のフランスでも寿命延長を検討中である。
米・仏以外の国の原子力発電の動向は、ドイツを除き、大きな変化はないと言える。

2. 福島第1原子力発電所事故の影響と原子力安全に関する国際動向の調査

 当研究所による原子力安全シリーズセミナーのまとめを紹介した。福島第1原子力発電所事故に関して、原子力安全・保安院は、2月半ばに4つの中間報告書(技術的知見、経年劣化の影響、地震・津波評価、及び原子炉建屋などへの影響評価)をとりまとめ、原子力安全委員会に提出した。技術的知見(安全対策)は30項目の安全対策を挙げている:外部電源対策(4項目)、所内電気設備対策(7項目)、冷水・注水設備対策(6項目)、格納容器破損・水素爆発対策(7項目)、及び管理・計装設備対策(6項目)。
日本の事故を受けて、欧州委員会エネルギー部会は、欧州加盟国で稼働中の原子炉に対する安全性評価の実施方針を発表し、3月25日EU首脳会議で域内全原子力発電所(原子炉143基)に対する「包括的かつ透明性あるリスクと安全性の評価(ストレステスト)」実施を正式合意した。欧州委員会から欧州連合理事会への最終報告は2012年6月に提出される予定。フランスの評価例では、地震・洪水に対して保護すべき重要機器の耐性強化、バックアップ電源の冗長性強化、給水手段の多様化、緊急時対応チームの導入などが出ている。

3. 原子力動向トピックス

 月次報告として、ドイツの原子力の歴史的経緯を整理した。また、米国及びフランスについてもやや詳細に現状を整理した。

(目 次) 1. 日本及び世界の原子力導入動向と原子力産業動向調査
2. 福島第1原子力発電所事故の影響と原子力安全に関する国際動向の調査
3. 原子力動向トピックス

6.8 原子力施設のトラブルに係る人的事例の調査分析

(プロジェクト名) 国内及び海外の人的事例分析評価
(報告書名) 平成23年度国内及び海外の人的事例分析評価
(報告書番号) IAE-1111601
(発行年月) 2011年12月
(要 旨)  国内及び海外で発生した原子力発電所のトラブル事例を詳細に分析し、内在する人的・組織的要因を明らかにして、教訓事項をくみ取るとともに、規制への反映事項を検討した。  国内事例に関しては、法律に基づく報告事象から原子力安全基盤機構殿の選別基準に則って人的過誤事例を7件選別・抽出し、「原子力施設情報公開ライブラリー(NUCIA)」に含まれる公表事象から人的要因に関連する重要なもの若しくは特徴的なものを34件抽出し、合計41件の国内事例を分析対象事象として選別した。また、海外事例に関しては、昨年度の検討対象範囲とした平成22年度のIRS(Incident Reporting System)に登録された海外で発生したトラブル事象から、分析対象事象を3件選別した。
選別した事例に関して、発生した事象、背景、エラー、機器故障、原因、対策について“いきさつダイヤグラム”を用いて時系列に分かりやすく整理し、関連する人的要因を分析し汲み取るべき教訓事項を抽出し、再発防止対策を検討した。
分析対象事象から規制への反映事項として抽出できる事項については、安全審査、工事計画認可、使用前検査、保安規定認可、保安検査、定期検査、定期安全管理審査、等に対し、本年度実施した44件の分析対象事象について検討を行った。
最後に、分析を実施した事象の中から、特に教訓として重要な国内事例20件を抽出して、1事例につきA4版4ページを基本として、カラー両面刷りの教訓集を作成した。その上で、抽出した事象の中から、特に特徴的で重要な事象として国内事例8件を選定し、想定状況図(教訓内容をイラストとして纏めたもの)を作成した。これらの資料を、ファイル形式の教訓集に追加した。
(目 次) 1.はじめに
2.分析事例の選別
3.分析結果
4.教訓集・想定状況図の作成
5.おわりに

6.9 スリーマイル島及びチェルノブイリ原子力事故等に関する調査

(プロジェクト名) 国内及び海外の人的事例分析評価
(報告書名) 平成23年度発電用原子炉等利用環境調査(スリーマイル島及びチェルノブイリ原子力事故等に関する調査)報告書
(報告書番号) IAE-1111105
(発行年月) 2012年12月
(要 旨)  東電福島事故の事故収束、原子力損害賠償、除染及び廃炉等を含めた今後の工程を考えていく上での参考とするため、米国スリーマイル島原子力発電所2号機及び旧ソ連(現在のウクライナ)チェルノブイリ原子力発電所4号機の2例の調査を実施するとともに、政府・東京電力中長期対策会議/研究開発推進本部、経済産業省資源エネルギー庁主催のワークショップやシンポジウムの事務局を担当した。
チェルノブイリ4号機事故については、旧ソ連時代から最近までの取組を整理した。事故直後は旧ソ連により大量のリソースが投入され、放射性物質の大量放出は約2週間で鎮静化した。その後、半年程度で石棺が建設され、チェルノブイリ1~3号機の再起動が行われた。しかしながら、石棺は困難な作業環境で建設したこともあり、構造強度、遮蔽性とも十分なものではなかった。この措置については、旧ソ連でも検討されたが、適切な対策は実施されず、1991年ソ連崩壊後は、ウクライナが引き継ぐことになった。ウクライナ単独での対応は困難であったことから、G7サミットなどの場において国際協力の枠組み整備が進められ、1995年にはG7、EU、ウクライナの覚書が締結された。この覚書に基づき、1997年にはシェルター実施計画(SIP)が承認され、約10年かけて石棺の補強工事を実施し、2007年には新シェルターの建設に着手した。現在は2015年頃の完成を目指して建設作業が進められているところである。ここで、新シェルターは100年寿命の設計であり、内部に作業用のクレーンなどを備えている。完成後石棺の解体、燃料取出しなどの作業を内部で実施することとしている。なお、プラントの周辺の汚染地域については大規模な除染は計画されておらず、避難区域を設営して入退域を管理しているのみである。
スリーマイル島2号機の中長期的な措置については、資金(保険の役割を含む)、体制、実施者を中心に調査を実施した。事故収束・クリーンナップの作業は3つの工程「安定化」、「燃料取り出し」、「クリーンナップ」からなる。1990年(事故後10年)には燃料取出しを概ね完了し、今は監視保管という状態である。廃炉は2035年に1号機と同時に行うことが計画されている。事故収束に向けた体制づくりは困難を極めたが、事故1年後の1980年3月、GPUN(TMI-2を所有する電力会社)、EPRI(米国電力中央研究所)、NRC(米国原子力規制委員会)、DOE(米国エネルギー省)からなるGENDが合意締結された。実施体制は、クリーンナップの主要活動に合わせて、適宜変更されていった。資金については、10億ドル程度必要とされていたが、保険でカバーされたのは1/3程度であった。そのほかは、幾多の紆余曲折を経て、結局GPUN3.67億ドル、電気事業者1.71億ドル、州政府0.42億ドル、保険3.06億ドル、DOE0.76億ドルの合計9.73億ドルで合意された。日本はTMI-2に関わる研究開発費用として、0.18億ドルをDOEに出資するとともに、日本人技術者を派遣することにより、技術情報の取得等を行なった。これらの経緯や研究開発の主体等について整理を行った。
これらの調査に加え、政府・東京電力中長期対策会議/研究開発推進本部、経済産業省資源エネルギー庁が主催したワークショップ、シンポジウムの事務局を担当し、会場の手配・運営や有識者の招聘などを実施した。会議後は、当研究所が実施した上記の調査結果を踏まえつつ、その主要な議事内容を整理した。世界には関連する知見は多数あり、今後、協力体制を構築していくことが重要であると考えられる。
(目 次) 1. はじめに
1.1 事業名
1.2 事業目的
1.3 事業内容
1.4 実施方法
1.5 実施期間
2. チェルノブイリ4号機事故に関する情報
2.1 基本情報
2.2 事故収束に関わる情報
2.3 新シェルターに関わる情報
3. スリーマイル島原子力発電所2号機事故に関する調査
3.1 基本情報
3.2 事故収束に関わる情報
3.3 廃炉(解体・撤去)に関する情報
4. その他、東電福島事故の中長期措置に資する調査
4.1 事故収束に必要な要素技術のさらなる具体化に資する情報
4.2 廃炉(解体・撤去)までの詳細計画・作業工程の策定に資する情報
4.3 中長期関連情報の整理
5. まとめ
5.1 調査結果のサマリー
5.2 今後の課題まとめ
付録1 チェルノブイリ推奨される行動計画について
付録2 ワークショップ・シンポジウム資料

7.原子力工学センターにおける事業

(ア)軽水炉技術開発

7.1 次世代軽水炉技術開発

(プロジェクト名) 次世代軽水炉技術開発
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  原子力工学センターにおいては、2030年頃前後からの代替炉建設需要を念頭に、次世代軽水炉を開発することを目的として掲げ、平成20年度から要素技術の開発と概念設計の検討を行ってきた。こうした中、平成23年3月11日、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生した。これを踏まえ、平成23年度の技術開発においては、平成22年度までの成果を活用し、既設および計画中の原子力発電所の安全対策高度化に活用しうる技術の開発を重点的に実施した。また、本技術開発を円滑に推進するため、着実な管理を実施するとともに、技術の導入に向けた基盤整備活動も実施した。なお、要素技術開発は、プラントメーカ3社が主体的に実施し、エネ総研は、基盤整備活動を実施した。
平成23年度の成果の概要は、以下の通りである。

(1) 要素技術開発

平成23年度は、平成22年度までの成果を活用し、既設および計画中の原子力発電所の安全対策高度化に活用しうる下記の8つの要素技術開発を重点的に実施した。
シビアアクシデント対策(炉心溶融デブリ対策(IVR))
安全システムの高度化(自律安全系)
炉心の安全性高度化(高度化炉心)
高性能蒸気発生器の耐震性高度化(高性能蒸気発生器)
シビアアクシデント対策(静的デブリ冷却)
シビアアクシデント対策(静的格納容器除熱)
格納容器の安全性高度化(SC構造を想定した事故評価手法高度化)
免震システムの評価手法開発(免震装置の実証)

(2) プロジェクト推進(基盤整備)

本プロジェクトに関係する多くの機関との協働実施体制を構築し、効率的かつ円滑に開発を推進し、また、技術開発というハード面と併せて、安全規制及び規格基準の整備等の面を一体的に開発し、開発技術を円滑に導入するための基盤の整備を推進する。
今年度は、PDCAサイクルを回すことによるプロジェクトの着実な管理として、引き続き、「評価委員会」「推進委員会」「運営会議(幹事会、分科会)」からなる推進体制を維持した。運営会議では、プロジェクト全体に係る計画や技術開発の実施状況を確認するとともに、両炉型共通課題への対応を図り、PDCAサイクルを回して円滑かつ効率的な技術開発を推進した。また、着実なプロジェクトの管理のため、「運営会議」の下に技術開発の具体的な計画策定、進捗フォローと調整を行う「幹事会」にて、具体的かつきめ細かく進捗管理と評価を行った。
安全規制及び規格基準の整備については、新技術等の円滑な導入に係わる規制上の課題への対応を図るため、平成22年度までに作成済みのロードマップを、福島第一事故を踏まえた安全要件や規制要件の改訂・見直しの動向や技術開発の進展を考慮して見直しを行った。また、安全要件や規制要件の改訂・見直しの動向を把握するため、福島第一事故の教訓の整理を実施したほか、国内における規制検討の動向調査だけでなく、海外調査(欧州、米国)を実施し、海外の規制制度や国際的な規制動向の調査を行い、安全規制に与える影響等の分析を行った。

(イ)原子力安全解析

7.2 高速炉の事故時安全解析

(プロジェクト名) 高速炉の事故時安全解析
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)
(1) 炉心損傷事故解析コードによる実機地震時反応度事故解析

 既存コードを用いて、実際に想定される地震規模を投入反応度で表現するため、地震波をsin関数で模擬し、振幅を数$まで、周期を10Hz程度までのパラメータとして、炉心がどのような破損状況に至るかという、いわゆるエナジェティックス規模を検討した。

(2) 炉心損傷事故解析コードの整備

 高速炉の炉心損傷事故時における炉心核特性変化、燃料挙動、熱流動挙動、炉心溶融挙動等の多様な現象を、核・熱・流動を首尾一貫して連成解析できるコードシステムを開発中である。今年度は基本バージョンを完成し、実験解析を実施することによりコードシステムの基本検証を実施するとともに、実機に予備的に適用した。

(3) 高速炉プラント蒸気発生器の伝熱管破損事故の検討

 高温ラプチャーの破損伝播現象を調査・検討し、実験式ベースの簡易なモデルに基づく解析コードを作成した。

7.3 軽水炉配管の減肉予測手法の高度化

(プロジェクト名) 平成23年度 高経年化技術評価高度化事業 配管減肉予測手法の高度化研究
(報告書名) 平成23年度 高経年化技術評価高度化事業 配管減肉予測手法の高度化研究
(報告書番号)
(発行年月) 2012年2月
(要 旨)  機動性があり十分な評価精度を有する減肉速度予測手法として、これまでの電気化学解析と二層酸化皮膜成長解析の連成による3次元の減肉速度評価コードを基に、システム全体の減肉速度評価を迅速に行える1次元減肉速度評価コードを開発した。本コードは、1次元流動計算により求めた1次元物質移行係数に形状係数を適用した減肉速度評価コードで、精度検証と妥当性確認が課題として残されているものの3次元減肉速度評価コードとの比較で、両者の一致度はファクター2の範囲にあることを確認した。
高経年化プラント全体を俯瞰し、減肉発生の可能性のあるシステム・系統全体にわたって、減肉現象の顕在化する可能性のある部位を摘出し、その発生の可能性と減肉が進展し配管が破断して圧力バウンダリの維持が損なわれた場合の影響を定量化してリスク評価を行うと共に、各種減肉抑制策を講じた場合の緩和効果を定量的に評価し、その結果を可視化できるプラントカルテ構想を提示した。
(目 次) 概要
第1章 減肉予測評価手法開発の経緯
第2章 配管減肉に関する予測・監視融合の評価手法の予測から見た狙い
第3章 FACによる3次元減肉速度評価の高精度化
第4章 1次元減肉速度評価手法
第5章 1次元減肉速度評価手法の評価精度
第6章 本評価手法に基づくシステム安全への寄与
第7章 今期成果のまとめと来期の計画
第8章 謝辞
まとめ

7.4 事故進展シナリオ把握に資する過酷事故事象解析コード開発

(プロジェクト名) 平成23年度 発電用原子炉等事故対応関連技術基盤整備事業(事故進展シナリオ把握に資する過酷事故事象解析コード開発(機構論的モデル型)
(報告書名) 平成23年度 発電用原子炉等事故対応関連技術基盤整備事業(事故進展シナリオ把握に資する過酷事故事象解析コード開発(機構論的モデル型))平成23年度成果報告書
(報告書番号) IAE-1181101
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  1.福島第一原子力発電所1~3号機を対象として、すでに公開されている情報に基づいて現行SAMPSONコードによって事故事象進展を解析した。本解析により、現行SAMPSONコードの基本的な解析機能を評価するとともに、福島事故事象進展を解析する上で必要となる境界条件設定の具体化および解析モデルの要改善点を把握した。あわせて、実機の運転状況やMAAPコードによる解析結果等に関する公開情報、および学術論文を調査・分析し、SAMPSONコードにおける要改善点を抽出した。
SRM(中性子源領域モニター)のガイドチューブおよびTIP(移動式炉内計装管)案内管の炉内での損傷によるドライウェルあるいは原子炉建屋内への直接漏洩の模擬
圧力容器に接続している各種配管(例えば逃がし安全弁の系統の配管)のフランジ部ガスケットの高温劣化に伴う冷却材の漏洩(圧力容器からドライウェルへの流出)の模擬
制御材であるB4Cとスティールの共晶反応の温度依存性模擬
高温B4Cの反応に伴う水素発生量の評価
デブリ拡がり挙動、デブリ-コンクリート反応挙動のモデルの精緻化
海水注入に伴う塩(NaCl)の析出、高温アルカリ腐食による影響の評価(SAMPSONコードとは別途評価)
2.SAMPSONコードの課題としてすでに把握済みの以下の諸点について、コード改良を進めた。
炉内構造物の損傷評価モデル:炉内構造物の高温変形あるいは損傷挙動を解析できるモデルを開発した。SAMPSONコードの解析で得られた温度分布を入力条件として、SAMPSONコードとは独立に作動するモジュールとして整備した。
放熱モデル:圧力容器等からの自然放熱を模擬できるよう、SAMPSONコードを改良した。
倍精度化:単精度演算と倍精度演算が混在している現行SAMPSONコード全体を倍精度演算に統一した。これにより、計算時間を約20%短縮できた。
収束性向上:現行SAMPSONコードにおいて、収束性の悪い12箇所を抽出し、改良した。3.使用済み燃料の冷却状況を調査・連投した。公開資料に基づき、使用済み燃料プールの保有水面は燃料上端を上回り、使用済み燃料が水面から露出することはなかったと結論された。したがって、使用済み燃料が水面から露出することによる損傷はないと考えられる。しかし、水の放射線分解による水素発生は、継続しており、その発生量は評価しておく必要がある。
(目 次) 要旨
第1章 緒言
第2章 全体計画
第3章 技術調査
第4章 SAMPSONコードの改良
第5章 現状SAMPSONコードによる予備解析
第6章 要検討課題およびSAMPSONコードの要改善点
第7章 結言

(ウ)原子力発電施設の廃止措置に関する調査研究

7.5 原子力発電所廃止措置の実施に係る民間規格整備に関する調査研究

(プロジェクト名) 廃止措置の実施に関する調査
(報告書名) 廃止措置の実施に関する調査 平成23年度報告書
(報告書番号) CP-1147
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  原子力発電所廃止措置に係る民間規格基準については、日本原子力学会の標準委員会において、電力会社も参画して、「原子力施設の廃止措置の計画と実施:2006」を作成し、安全確保上重要な事項に対応する仕様規定を策定したが、その後、廃止措置の計画に必要となる仕様規定が整備され、平成21年に「原子力施設の廃止措置の計画:2009」が標準化されている。しかしながら、この標準は廃止措置計画書を作成するために充実しているものの、「廃止措置の実施」の部分は見直されていないので、電力会社としては、将来の廃止措置の合理化に向けて、廃止措置の実施に関しても見直されることが望ましい。そこで、平成22年度以降、廃止措置時の民間規格基準を整備していくに当たり、計画的な民間規格基準の整備に向けた準備が可能となるように、廃止措置への適用性を調査検討した。
本業務委託では、原子力学会標準「原子力施設の廃止措置の計画と実施:2006」の「廃止措置の計画」の部分が独立して発行されたことに伴い、「廃止措置の実施」の部分について、「廃止措置の計画」標準と整合をとるとともに、原子力学会標準「標準作成の手引:200*(暫定版)(案)」、JIS規格「規格票の様式及び作成方法」(JIS Z 8301:2008)に準拠した構成上の改定を平成22年度に行った。また、東海発電所及び「ふげん」の廃止措置工事の実績を踏まえた改定を行っている。
本報告書は、初年度(平成22年度)に、構成上の改定について、標準素案を作成し、学協会対応をしたこと、また、実績を踏まえた改定については、目次案と方針を作成するとともに、各章に関する技術要素の検討を行い、標準素案を作成した。
(目 次) 1.まえがき
2.業務計画
3.業務経過及び成果の概要
4.業務内容及び成果
5.まとめ
6.あとがき
7. 参考文献、付録

7.6 原子力発電所廃止措置時の耐震安全に係る民間規格整備に関する調査

(プロジェクト名) 廃止措置時の耐震安全に関する調査
(報告書名) 廃止措置時の耐震安全に関する調査 平成23年度報告書
(報告書番号) CP-1148
(発行年月) 2012年3月
(要 旨)  原子力安全・保安院は発電炉廃止措置の安全規制について、改正炉規法の成立を受けて、省令(実用炉則)を改正して、廃止措置計画書の承認を含む安全確保の要求事項を法制化した。また、日本原子力学会の標準委員会において、電力会社も参画して、「原子力施設の廃止措置の計画と実施:2006」を作成し、上記の新省令の安全確保上重要な事項に対応する仕様規定を策定した。その後、廃止措置の計画に必要となる仕様規定が整備され、平成21年に「原子力施設の廃止措置の計画:2009」が標準化された。さらに、廃止措置の「実施」の構成上の見直しが行われ、平成22年に「原子力施設の廃止措置の実施:20XX」が制定された。
廃止措置時の耐震安全性について、耐震クラスの設定、耐震安全性の検証方法を整備し、公平性、客観性、透明性のある廃止措置計画をを作成するために、耐震安全性の考え方を整理しておく必要がある。
(目 次) 1.まえがき
2.業務計画
3.業務経過及び成果の概要
4.業務内容及び成果
5.まとめ
6.あとがき
7. 参考文献、付録

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