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平成22年度調査研究要旨集

平成22年度調査研究要旨集

ここの要旨集は、当研究所の平成22年度の調査研究活動等の成果としてとりまとめられたものの要旨と報告書の目次を収録したものである。平成21年度以前にとりまとめられたものについては、バックナンバーをご覧いただきたい。
本要旨集が関係各位のご参考になるとともに、当研究所の事業に対するご理解の一助となれば幸いである。

目次

1.総合的な見地からの調査研究

1.1エネルギーモデルに係る調査研究

(プロジェクト名) エネルギー技術情報に関する調査報告書(1/3) I.エネルギーモデルに関する研究
(報告書名) エネルギー技術情報に関する調査報告書(1/3) I.エネルギーモデルに関する研究
(報告書番号) IAE-0929706
(発行年月) 平成22年2月
(要 旨)  エネルギー分野は、資源、環境面をはじめ不確実なリスクが多いため、精度の高い将来想定、評価分析等を行うためには、新しい手法の採用、データ更新など不断の改良が不可欠である。そこで、エネルギー需給の将来想定、新しいエネルギーシステムの導入影響評価、エネルギーと資源・経済・環境等との相関評価のツールであるエネルギーモデルに関し、新しい分析手法について検討評価を行い、従来の手法では分析評価が難しかった問題への適用可能性及び改善すべき課題について明らかにした。
成果の概要は以下の通りである。
(1)世界化石燃料市場における不確実性と短期化石燃料市場モデルへの導入
中期化石燃料市場モデルに、化石燃料市場の不確実性と輸送経路選択問題の枠組みを明示的に取り入れる試みを行った。市場の外乱を共和分時系列で表現し、外乱の需要に与える影響を示した。輸送経路選択では、石油や天然ガス輸送路とマラッカ海峡などの特定の輸送経路に障害が発生した場合のシミュレーションを実施した。
(2)マルチエージェント型のエネルギー需給モデルに関する検討
エネルギー市場をマルチエージェントで表現したフレームについて総括的な概観を示すともに、市場取引行動のマルチエージェント表現、確率動的計画法の適用可能性について展望した。
(3)環境・資源を含む経済成長モデルに関する基礎的検討
環境制約を考慮に入れた経済成長と技術変化に関する理論検討を行った。既存研究を基礎として、効用関数における環境と消費が代替的か補完的かにより、環境の質改善をもたらす技術変化がどのようなタイミングで導入されるかを解析した。
(4)気候変動問題の多重均衡に関する問題提起
新たな問題提起として気候変動の多重均衡性に基づき、従来の均衡論に基づく経済モデルを批判的に検討した。気候変動問題は、古気候まで含めるとかつて急速な気象変動があった事実が知られている。気候科学の基礎方程式は非線形性を有するため、均衡点は単一ではない。この事実と経済活動及び温暖化対策評価はどのように関係するか、また均衡モデルとしてあらわされた統合評価モデルがこの物理モデルの枠組みに耐えうるのかについて、今後検討すべき課題を提案した。
(5)石油精製プロセスを考慮した電気自動車の導入可能性評価
炭素排出規制下における石油精製プロセス、電源構成、輸送部門における燃料選択を含むモデルを構築し、電気自動車の導入可能性について評価を実施した。
(6)近畿圏エネルギー需要モデルによる詳細評価検討
近畿圏の民生・交通エネルギー需要のミクロベース調査に基づき、市区町村別の世帯構成別エネルギー消費、業務部門のエネルギー需要、および交通需要等を詳細に積み上げ、エネルギー政策導入効果の詳細評価を可能とするモデル作成についての検討を行った。作成したエネルギー需要推計モデルを用いて、社会環境変化による二酸化炭素排出削減量の評価を試みた。
(7)低炭素エネルギーシステムに関する検討
低炭素エネルギーシステムに関する議論を実施した。戦略論における階層化、新産業の創生、多様なエネルギー資源の利用、「低炭素」の社会科学的考察、IT社会への転換、建物における効用とCO2排出量などの多様な観点が示された。
(目 次) まえがき
概要
研究実施者
1.はじめに
第一部 新しいエネルギーモデリング手法に係る調査検討
2.世界化石燃料市場における不確実性と短期化石燃料市場モデルSOFIAへの導入
3.マルチエージェント型のエネルギー需給モデルに関する検討
4.環境・資源を含む経済成長モデルに関する基礎的検討
5.気候変動問題の多重均衡に関して
第二部 エネルギー部門詳細分析
6.石油精製プロセスを考慮した電気自動車の導入可能性評価
7.近畿圏エネルギー需要モデル:民生・交通部門におけるエネルギー需要推計モデルの構築と社会環境変化による二酸化炭素排出削減量の評価
第三部 低炭素エネルギーシステムに関する検討
8.低炭素エネルギーシステムに関する検討

1.2 エネルギーマネジメントの国際標準策定に係る調査研究

(プロジェクト名) 平成21年度基準認証研究開発委託費 国際標準共同研究開発事業:エネルギーマネジメントシステムに関する標準化
(報告書名) 平平成21年度基準認証研究開発委託費 国際標準共同研究開発事業:エネルギーマネジメントシステムに関する標準化 成果報告書
(報告書番号) IAE-0919104
(発行年月) 平成22年3月
(要 旨) 2008年2月5日のISO/TMB(技術管理評議会)において、エネルギーマネジメントシステム規格の開発開始についてのNWIP(新業務項目提案)の可決を受けてISOは当該規格の開発委員会としてPC242を設置し、ISO50001((エネルギーマネジメントシステム-要求事項及び利用の手引)として開発を開始した。本年度は、CD(委員会原案)およびDIS(国際規格案)の開発を実施しており、2009年6月にCDの登録、2010年2月にDISの登録がなされている。
本PC242に対応するために我が国では国内審議委員会、ワーキンググループを立ち上げ、本規格開発に強く貢献している。エネルギー効率向上を本規格の主目的とし、我が国の実績を活かせるエネルギー原単位およびベンチマーク方式の管理手法としての有効性を強調すること、対象とするエネルギーは、各国の実態に応じて選択できるようにすること、省エネルギー法の求めるエネルギー管理体制と矛盾のない内容とすることなどを、我が国の主な主張点とし、本規格開発に大きく貢献をしているところである。国内審議委員会においては、CDに対して省エネルギー法との関係、管理対象やマネジメントの体制等に委員の関心が集まり、関連するコメントを数多く作成してPC242事務局へ提出した。
 2009年11月には第三回国際会議が英国ロンドンで開催され、コメント処理を進めながら、CDとして配信された文章の改訂を行った。本会議前に議長国である米国と協議を行い、我が国の意見が取り入れられやすい状況を整えて会議に臨み、我が国の省エネルギー分野における経験や実情に基づく意見を規格開発に多く盛り込むことができた。
 2010年3月現在、当初の予定よりも数ヶ月遅れで規格開発が進んでおり、2010年8月にはDISの投票およびコメント提出、10月には中国にて第四回国際会議が開催され、FDIS(最終国際規格案)への移行が議論される見通しである。その後、2011年4月の国際規格の発行を目指して規格開発が進められていく予定である。
 さらに、2010年3月ワシントンDCにおいて、米国規格関係者に米国エネルギーマネジメントの認証事業・導入策とISO50001の関係、UNIDO(国際連合工業開発機関)で開発が予定されているISO50001の適合性評価に関するガイドラインについて情報収集を行い、米国が省エネルギー施策の重要なツールとしてISO50001を位置づけていること、UNIDOのガイドライン開発はPC242の活動とは独立に進められ、ISO50001発行の2ヶ月後の2011年6月発行予定であることなどが分かった。UNIDOが策定するガイドラインは、今後の活動次第では、ISO50001関連規格や認証スキーム構築に対して大きな影響を及ぼす可能性があるため、我が国としても引き続き情報収集する必要があると考えられる。
 なお、本規格が発行された際には、我が国の多くの企業・組織に適用できるため、その効果・影響は非常に大きいと想像される。ロンドンでの会議ではAnnex(付属書)を含むCDの文章も相当程度改善されたが、最終的なコンセンサスが得られるまでに難航することも予想される。したがって、我が国の省エネルギーのベストプラクティスを開発中の本規格に盛り込み、我が国の実情と齟齬のある規格とならないよう留意して開発を継続する必要がある。
(目 次) 要約 1
1. 本事業の概要
2.  標準化案研究開発の取り組み
3.  我が国からの委員会原案へのコメント
4. 各国コメント分析、および既存規格との比
5. 今後の予定

資料編
ISO/PC242 N document
ISO/PC242/WG N document
国内審議委員会資料
国内審議委員会WG資料
EEMODS(仏ナント)会議 、International Energy Management Systems Conference(ダブリン)
第三回PC242国際会議で紹介された資料
米国審議委員会メンバーとのバイ会議
エネルギーマネジメントシステム規格比較調査報告書((株)三菱総合研究所)

1.3 エネルギーに関する公衆の意識に係る調査研究

(プロジェクト名) エネルギーに関する公衆の意識調査
(報告書名) 平成21年度 エネルギーに関する公衆の意識調査
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  当研究所では、毎年首都圏における公衆に対し、エネルギーに関するアンケート調査を実施し、エネルギー及び原子力発電に関する公衆の意識の動向を分析研究している。20年度においても調査を実施し、主な結果として、首都圏公衆に対しエネルギーに関するアンケート調査を行い、その意識を分析した。
今回の調査では、前回まで減少傾向にあった廃止回答が反転して増加し、利用-廃止意見が否定的方向に変化するという興味深い結果が得られた。ただし、この利用-廃止意見に対して大きな影響を与える要因と思われる原子力発電の今日の[有用-無用感]、[安心-不安感]、[信頼-不信感]は、いずれも否定的方向への変化を見せていない。
 その他、エネルギー・環境問題に楽観的になっていること、新エネルギーへの期待が大きくなっていること、将来のエネルギーの評価が原子力発電の利用-廃止意見と関係する、などの結果が出ている。これらの結果から、今日のではなく、将来の[有用-無用感]が否定的方向に変化したために[廃止回答が増加した]のではないかと推定した。

1.4 エネルギー技術に関するアンケート調査

(プロジェクト名) 平成21年度 エネルギー技術に関するアンケート調査
(報告書名) 平成21年度 エネルギー技術に関するアンケート調査
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨) わが国の代表的なエネルギー関連企業である当研究所賛助会員各社および大学の研究者を対象として3回目のアンケートを行い、以下の結果を得た。
1)現時点と20年後の時点で、どの技術テーマが重要かと聞いたところ(複数回答)、現時点よりも20年後の時点での回答数が多くなっているのは「水素エネルギー」であり、少なくなっているのは「省エネ」「化石エネルギー」などである。
また、「化石エネルギー」を現在研究しているという回答数に比べ、今後取り組もうと考えている回答数は少なくなっている。
2)現在研究開発中または今後取り組もうと考えている技術テーマ、商業化予定時期、研究開発する理由、研究開発上の障害、公的支援の必要性についての回答は、前回調査結果とほぼ同様の結果である。
3)過去5年間と今後5年間の研究開発投資は、「増加」回答の方が「減少」回答より多い。ただし、今後5年間の見通しを前回と比較すると、大学研究者は、「増加」「横ばい」が減り、「減少」が増えている。

2.新エネルギー・エネルギーシステム関連

(ア)新エネルギーに関する調査研究

2.1 バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発に係る総合的調査研究

(プロジェクト名) 「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換 技術開発(先導技術開発)/総合調査研究」
(報告書名) バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)総合調査研究 平成21年度 成果報告書
(報告書番号) IAE-0919503
(発行年月) 平成22年3月
(要 旨) 本総合調査研究は、(1)「セルロース系エタノールの加速的先導技術研究開発に参画する研究チームへの情報提供、バイオマス前処理物の研究チーム間の相互利用・検証の連携の推進」、(2)「バイオマス総合利用に係る経済性評価・LCA評価、社会・環境・文化への影響リスク分析手法の確立」、(3)「有望バイオマス生産地域・事業モデルの検討」の3課題から成っている。
 (1)に関しては、バイオフュエルチャレンジ委員会を開催し、研究チームの研究概要の紹介、開発目標などについての議論を行った。また、更に各研究チーム間の情報を共有することを目的にワークショップを開催した。試料授受に関するNDAの原案に関し各研究チームの了解を得るとともに、具体的な試料の授受の要求をもとに調整を行っている。さらに、バイオエタノール生産技術評価に向けての各研究チームのトータルプロセスフロー、開発ベンチマークの算定式、副産物などの電力・熱利用などについて検討を行った。
 (2)の経済性評価に関しては、評価事例について文献調査を行うと同時に、研究チームから提供が必要なデータを抽出し、フレームワークの設計に着手した。LCA評価については、当該事業での技術開発に伴うバイオ燃料に関し、GHG排出量評価に必要となる、対象とするシステムの確定、シナリオの設定の検討を行うとともに、直接/間接的な投入/排出データ類の調査を実施した。また、経済性、LCAの評価とも、必要な各研究チームからのデータの抽出、共通の様式作成を行った。社会・環境・文化への影響リスク分析の手法の確立に関しては、評価項目、評価事象の吟味、評価指標基準の策定状況に関する情報収集を行った。
 (3)では、文献調査やGISデータを用いて、国内およびASEAN地区について、多収穫草本植物の有望生産候補地のリストアップを行うとともに、原料となる植物の検討、候補地選定にあたっての社会・文化面への影響などの検討を行った。また、リストアップされた候補地について、流通性やETBEの生産性などを考慮し、最適と考えられるバイオ資源の生産からバイオエタノール製造、バイオ燃料の流通までの事業モデルの検討を行った。。
(目 次) まえがき
【要約】
【本編】
I.「セルロース系エタノールの加速的先導技術研究開発に参画する研究チームへの情報提供、バイオマス前処理物の研究チーム間の相互利用・検証の連携の推進」
第1章 全体計画と実施体制
第2章 「バイオフュエルチャレンジ委員会」等の運営および事務局業務
第3章 各研究チームの開催する推進委員会への参画
第4章 技術検討・評価(ベンチマーク設定、方法論、比較評価)

II.「バイオマス総合利用に係る経済性評価・LCA評価、社会・環境・文化への影響リスク分析手法の確立」
第1章 全体計画と実施体制
第2章 経済性評価及びLCA評価に関する共通データフォーム
第3章  プロセス概念設計
第4章 経済性評価
第5章 LCA評価
第6章 社会・環境・文化への影響リスク分析手法の確立

III.「有望バイオマス生産地域・事業モデルの検討」
第1章 全体計画・実施体制等
第2章 有望バイオマス生産地域検討
第3章 バイオ燃料事業モデル
第4章 現地調査
第5章 まとめ
  あとがき

2.2 ベトナム国ハノイ地域における産業廃棄物のエネルギー利用モデル事業の実現可能性に関する基礎調査

(プロジェクト名) ベトナム国ハノイ地域における産業廃棄物のエネルギー利用モデル事業の実現可能性に関する基礎調査
(報告書名) ベトナム国ハノイ地域における産業廃棄物のエネルギー利用モデル事業の実現可能性に関する基礎調査 成果報告書
(報告書番号) IAE-0919504
(発行年月) 平成21年10月
(要 旨)  NEDOが実施する国際エネルギー消費効率化等モデル事業の一環として、近年の急速な経済発展によりエネルギー供給不足や環境汚染への対策が喫緊の課題であるベトナム国ハノイ地域において、産業廃棄物発電の事業性を調査した。「モデル事業」は技術の普及が目的であり、プラント設置後、現地運営による事業成立が望まれる。このため、基礎情報の収集・整理、プラント概念設計、事業性の分析により事業成立の前提条件の明確化を目的とした。また、合理的な廃棄物処理・リサイクル方法の提案、セメント産業への廃棄物利用の可能性調査・検討を実施した。
(1)ハノイ地域における産業廃棄物の実態調査
産業廃棄物の種類、発生量、品質、収集・集積状況、処理・利用方法について、ベトナム調査機関の協力を得て調査を行った。また、生活廃棄物の発生量・品質も調査し、産業廃棄物との混合処理の可能性を検討した。その結果、ハノイ地域の廃棄物処理・分場”Nam Sonサイトが発電施設建設に適しており、焼却可能な廃棄物は、総量80~90ton/日は確保出来ることが分かった。
さらに、産業廃棄物のセメント産業等への代替原燃料利用、火力混焼、炭化、脱塩、RDF化等のリサイクルシステムについて、日本の現状調査を基にハノイ地域への適用可能性の基礎的な検討を行った。
(2)産業廃棄物発電の事業性の検討および概念設計
産業廃棄物の発生状況・性状、排出者の状況、電気事業制度における廃棄物発電事業の位置付け、エネルギー効率、経済性、環境改善効果、設備の運用・保守の簡便性や社会貢献等を総合的に勘案し、適用可能な技術について概念設計、メリット・デメリットの比較分析を行った。その結果、75ton/日規模のキルン-ストーカー炉を用いる発電施設(送電端出力1200kW)の建設を提案した。
これらの結果から事業実施体制、処理対象となる廃棄物および収集方法、焼却方法、発電技術の種類、規模、初期および運転費用、経済性等を考慮した総合的な事業性を検討した。現在想定される売電価格及び廃棄物処理費による収入は、運転コストと補修費は賄うことは可能であるが、設備の減価償却費を含めて評価すると運用損が大きくなることが明らかになった。
(3)産業廃棄物発電事業実施のためのベトナム国における前提条件の明確化と提言
1)事業収益性について更に踏み込んだ議論と評価が必要で、実質的な国または地方行政府による補助等と同時に、強力で具体的な普及の政策が重要である。
2)事業収益性を向上させるための安易なTFの値上げは慎重に行う必要がある。
3)技術的に大きな障害はないと考えられるが、今後下記事項について検証と評価を行う必要がある。
・可燃性廃棄物のそれぞれの正確な性状と量の把握
・ベトナム側のプロジェクトコストの正確な見積り
・Nam SonからPTC1変電所への逆潮流の測定
・EVNに受け入れ可能な売電価格の設定
4)上述の課題を早急に明確にする必要があり、次段階に進んだ場合、日本側の体制と協力してベトナム側の業務の推進・管理体制とエンジニアリング業務実施体制を整備する必要がある。
(目 次) まえがき
I.概要
II.本編
 第1章 全体計画と実施状況
 第2章 ハノイ地域における産業廃棄物の現状調査
 第3章 ハノイ地域の電力事業状況調査
 第4章 産廃発電プラントの概念設計・検討
 第5章 モデルプラントの事業性の検討
 第6章 産廃発電事業実施のための課題とベトナムへの提言事項の検討
III.リサイクルシステムの検討とハノイ地域への適用性の検討
IV.まとめとベトナムへの最終報告書
V.現地調査報告書
あとがき

2.3  集光型太陽光発電に関する技術開発

(プロジェクト名) 平成22年度地球温暖化対策技術開発事業(集光型太陽光発
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  環境省からの委託によりJFEエンジニアリング、三鷹光器及びIAEが共同で、集光型太陽光発電(CPV)のシステム開発を平成22年度から3か年計画で行っている。本システムの特徴はタワー型太陽熱発電と同じ集光系を用いることにより、現在一般的なフレネルレンズ集光系よりも高い発電効率が得られることである。役割分担はJFEが発電セルの開発とパイロットプラントの建設と実証実験、三鷹光器がヘリオスタットの製作、IAEが基本概念の設計、ヘリオスタット・フィールドの最適配置の計算及びシステム全体の調整である。
現在一般的なCPVでは、3接合型の高効率セルに対してフレネルレンズで集光した太陽光を照射することにより高効率な発電を行っている。一般に、集光度が高い方が発電効率が高くなるが、フレネル集光系では色収差の問題があり、高効率化が不可能である。このため本プロジェクトでは、他社が行っていないタワー型CSPと同様の多数のヘリオスタットで集光するシステム開発を行うものである。本システムの課題は平面に並べた発電セル(面積約1m2)に均一に集光太陽光をあてることと、抜熱を効率よく行い過度の温度上昇を抑制して発電効率の低下を防ぐことである。
発電セル平面への集光太陽光の照射は、多数のヘリオスタットの反射光を適切に組み合わせることにより均一に当たるように調整した。なお、ヘリオスタットの反射鏡はセルからの距離により曲率半径を変化させて均一さを達成している。さらに、それぞれの発電セルの前面にはロッドレンズを置き集光度と光の均一性を向上させている。ヘリオスタットをフィールドにどのように並べるかは、効率とコストに大きく影響する。これに関しては、IAEの安全解析グループのノウハウを活かしてヘリオスタット配置の最適化を行い、最小の敷地面積に対してより多くのヘリオスタットを効率よく配置法を提案した。発電セルの抜熱に関しては、JFEが持つ溶鉱炉の抜熱技術を活かした方法で技術開発を行った。予備実験段階では、シミュレーション計算通りの良好な抜熱性能を示した。
これらを総合して小型の実験プラントを建設した、予備実験の結果想定通りの成果が得られており、23年度にかけて実験を継続する予定である。
 

(イ)電力システム等に関する調査研究

2.4 次世代電力ネットワーク研究会による調査研究

(プロジェクト名)
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  次世代電力ネットワークに関連する国内外の情報収集や会員相互の意見交換等に基づき、次世代電力ネットワークの在り方およびその実現に向けた方策などの検討を行うことを目的に研究会を主催・運営した。国内外の情報収集と提供としてニュースレターを14回発行し、会員向け講演会を4回実施、一般公開シンポジウムを1回開催した。

2.5 諸外国における電力系統の供給信頼度等に係る調査

(プロジェクト名) 平成22年度電力系統関連設備形成等調査(諸外国における供給信頼度等に関する調査)
(報告書名) 平成22年度電力系統関連設備形成等調査(諸外国における供給信頼度等に関する調査)
(報告書番号) IAE-1010106
(発行年月) 2011年6月
(要 旨)  今後の中長期的な我が国の電力系統の状況を展望すると、地球環境問題への対応等の観点から、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー電源の導入拡大が見込まれており、こうした天候等により出力が変動する再生可能エネルギー電源を含む電力系統全体の供給信頼度について考え方を整理することが重要であると考えられる。
すでに欧州や米国の一部の国および地域においては、我が国に一足先んじて風力発電を中心とする再生可能エネルギー電源の大規模な導入、利用が進展している。これらの国および地域について、長期の需給バランス評価の核となる、供給信頼度等の考え方や再生可能エネルギー電源の供給力の扱いに関して、最新の状況を把握することは、我が国における今後の長期の需給バランスの維持にとって有益な知見となるものと考えられる。
このような背景から、欧州や米国等における供給信頼度や太陽光、風力発電等の供給力としての考え方について調査し、もって我が国における電力の安定供給と合理的な電気事業の発達に向けた検討に資することを目的とした。
(目 次) 1.はじめに
2.欧米における電力需給計画
3.再生可能エネルギー電源の供給力評価
4.電気事業遂行上の公益特権(土地収用等)について
5.おわりに

2.6 次世代電力網の最新技術動向に係る調査研究

(プロジェクト名) 次世代電力網の最新技術動向に関する調査研究
(報告書名) 次世代電力網の最新技術動向に関する調査研究
(報告書番号) IAE-1010802
(発行年月) 2011年1月
(要 旨)  国際会議GridWeek2010に参加し、スマートグリッド等の次世代電力網に関する政策動向、技術開発動向、実証プロジェクト動向の調査を行った。
会議は昨年と同程度かそれ以上の参加者があり盛況で、相変わらずスマートグリッドがホットなテーマであった。昨年は中国、韓国、インドからの発表があり、中国は国家電網公司の社長が基調講演を行い、韓国はヘッドセットを配布して同時通訳まで行うほどの熱の入れようであったが、今年はそのような動きは見られなかった。これに対して日本からは昨年NEDOの1 件であったが、今年はNEDO2 件、東芝、日立、東京電力が各1件の発表があり、パナソニックアメリカからはHEMSの発表があった。また、ロシアからの発表もなされた。なお、韓国は2030 年の国家大のスマートグリッド構築を目指しており、標準化等にも積極的に取り組んでいる。2010年11月8日~14日には済州島でスマートグリッド関連の政府関係者や企業代表者500 人が参加する会議が開催されており、日程が近いGridWeek2010への参加が見送られたということも考えられる。
会議全体を通して、各国、各州、電力会社の実証事業等については概要紹介はあるものの、準備進行中で具体的な数値等の実証結果は数年後という感じであった。NEDO のニューメキシコも同様であり、平成23年初に現場着工後、平成23年度初にImplement Document という契約書を締結する予定 ということであった。
また、昨年の”Customer Education”(消費者啓蒙)から今年は”Customer Engagement”(消費者関与)ということがテーマのひとつとして取り上げられていた。多額の補助金を元に米国では各地でスマートメータの導入やスマートグリッドの実証試験が行われているが、デマンドレスポンスなどの効果見極めが進まない中、顧客の理解と積極的参加がより重要であることが認識されてきたように感じた。このような変化は2009年10月のカリフォルニア州のPacific Gas & Electric社に対するスマートメータ導入に関する訴訟や2010年3月のテキサス州の大手電力事業者Oncor社に対する同様の訴訟も背景にあると考えられる。なお、2010年8 月に州の公益事業委員会がスマートメータの正確度を評価することを第三者に依頼した結果、スマートメータの正確度が認められている。ちなみに、NEDO のニューメキシコプロジェクトでは、情報分野で使われることの多いユースケースをこの半年間で作成している。ユースケースはアクターが別のアクターとどのような情報を受け渡しするかを表現するツールであり、作成したユースケースを使用してニューメキシコ州の住民に説明を行う予定である。
日本は配電自動化を導入するなど既に高度化された高効率・高品質・高信頼度の電力システムを運用している。しかし、スマートメータなどグローバルスタンダードの製品を導入することでコスト低減を図れる可能性があるため、現在の要求仕様が過剰スペックになっていないか再確認することも必要であると思われる。また、PMUやDLR などの技術開発を進めることで、更なる高品質、高信頼度の先進電力システム構築が可能と考えられる。スマートメータを活用したデマンドレスポンスや電力消費情報を用いたお客さまサービス等については各国の実証プロジェクトの動向も参考にしつつ、日本に適した導入形態を検討する必要がある。
(目 次) 1. はじめに
2. 事前調査
2.1. GridWeek 概要
2.2. GridWeek2010 プログラム
3. 国際会議「GridWeek2010」
3.1. 基調講演・討論会
3.2. 政策動向
3.3. 技術開発動向
3.4. 実証プロジェクト動向
4. おわりに

2.7 中国・韓国メーカー製リチウム電池に関する性能調査

(プロジェクト名) 中国・韓国メーカー製リチウム電池に関する性能調査
(報告書名) 中国・韓国メーカー製リチウム電池に関する性能調査
(報告書番号) IAE-1010804
(発行年月) 2010年9月
(要 旨)  国内外における電動車両用リチウム電池の開発について、技術開発、量産計画、企業間連携等の動向を調査した。海外については特に中国と韓国のメーカーについて、民生用電池も含めた動向の分析を行った。
リチウム電池を使用した電気自動車やハイブリッド車の販売は、2000年代の半ば頃から、中小メーカーを中心に散発的に行われてきた。2009年に大手自動車メーカーから量産型の電気自動車が発売されたのを皮切りに、新興企業も含めて多数の自動車メーカーがリチウム電池搭載の電動車の販売計画を発表し、一部は販売が始まっている。これに呼応して、日本、韓国、中国、米国等の電池メーカーが、電動車両用リチウム電池の開発と生産と投資を活発化している。自動車メーカーや自動車部品メーカーも、製品購入、出資、あるいは技術開発も含めて、リチウム電池の開発に参画しており、企業間提携の発表も相次いでいる。
電池メーカーが発表した生産設備増強計画の単純合計は、従来の民生用電池の生産規模を遙かに上回る規模に達している。ただし、実際の生産は最終製品である電気自動車やハイブリッド車の販売量に依存することになり、その見通しは不透明である。
以上のような状況は極めて流動的であり、最新情報の継続的な収集が重要である。しかしながら、市場拡大と開発の活発化は競争の激化と表裏の関係にある。そのため、一般向けの技術情報の公開は少なくなってきている。
(目 次) 序章 調査の概要
1. 韓国および中国の電池メーカー製品諸元の調査
1.1 Samsung SDI
1.2 LG Chem
1.3 BYD
2. 国内外におけるリチウムイオン電池の開発動向調査
2.1 主要電池メーカーの動向
2.2 構成材料別の開発動向
3. まとめ

2.8 コージェネレーションからのアンシラリーサービス提供可能性に係る調査研究

(プロジェクト名) コージェネレーションからのアンシラリーサービス提供可能性に関する調査
(報告書名) コージェネレーションからのアンシラリーサービス提供可能性に関する調査
(報告書番号) IAE-1010803
(発行年月) 2010年12月
(要 旨)  わが国において電力供給の低炭素化と高度化を進めた場合、電源構成としてはベース電源である原子力の比率が増す一方で、炭素を排出する火力が減少する。この結果、電力系統の電圧や周波数の調整力が減少し、太陽光や風力などの出力変動に対応できなくなり、系統が不安定になる恐れがある。このような問題の解決策のひとつとして、コージェネレーションを有効に利用するアンシラリーサービス提供が考えられる。
平成21年度の基礎調査では、コージェネレーションからのアンシラリーサービス提供可能性を定量的に評価する方法について検討を行った。具体的には、まず評価の枠組みと手順の検討を行い、評価フロー図を提案した。次に、フロー図の各ブロックにおいて収集・整備すべきデータ項目と、それらのデータの加工・利用方法を明らかにした。原則として、データは公表されているものを利用することとし、入手が困難な場合は代替案を提案した。また、欧米諸国においては、既に電力需給調整市場が存在し、系統運用者が電力需給調整力を市場から調達している実態があるため、制度や運用状況について調査を実施した。
今年度の本調査では、前年度の基礎調査結果に基づいて、アンシラリーサービス提供可能性を定量的に評価するとともに、アンシラリーサービスの有償取引に関する制度面の調査を行った。定量的評価においては、対象区域を東京電力管内とし、想定年次2019年、2030年における発電端出力分担予想を行った。その結果、2019年時点では8月および5月休祭日(GW以外)の調整力は揚水とLNG で確保可能であるが、2030年時点では再生可能エネルギーがさらに大量導入されるため、5月休祭日(GW以外)の調整力は揚水、LNGに加えて石炭でも確保する必要が生じることが分かった。この時、コージェネレーションも調整力として使用することができれば、安価な石炭の出力削減量を少なくできる可能性があり、これを定量的に確認した。より短時間の周波数調整の領域については、既存技術とコージェネレーションの部分負荷状態で待機して周波数調整力を確保するためのコストを見積もった。比較の結果、揚水、石炭、ガスエンジン、LNGの順に待機コストが低いことが分かった。ただし現実には、出力を絞った代わりに供給される電力のコストも含めた検討が行われることになる。蓄電池による周波数調整力の供給についてもコスト見積もりを行い、現時点ではややコスト高であるが、将来的には既存技術を同レベル以下になる可能性も考えられた。
アンシラリーサービスの有償取引に関する調査においては、有識者2名にヒアリングを行った。我が国においてアンシラリーサービスは現在電力会社が行っているが、今後はEVやコージェネレーションによって提供され、有償取引される可能性があるという認識では一致しており、そのためには提供コストと対価に関して明らかにする必要があるという意見が聞かれた。
(目 次) 1. はじめに
2. アンシラリーサービス提供可能性の定量的評価用データ収集・整理
3. アンシラリーサービス提供可能性の定量的評価
4. アンシラリーサービスの有償取引に関する制度面の検討
5. おわりに

(ウ)水素エネルギーに関する調査研究

2.9 海外の再生可能エネルギーわが国への導入に係る調査研究

(プロジェクト名) エネルギー技術情報に関する調査報告書(3/3)III. 太陽エネルギー由来の水素エネルギーシステムに関する調査研究
(報告書名) エネルギー技術情報に関する調査報告書(3/3)III. 太陽エネルギー由来の水素エネルギーシステムに関する調査研究
(報告書番号) IAE-1020708
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  わが国の限られたエネルギー資源賦存量、増大するエネルギー消費量、エネルギー源の多様化、炭酸ガス排出抑制等の動向を考慮すると、原子力やCCS技術の開発導入に加え、有望なオプションの一つとして海外からの再生可能エネルギーの導入も積極的に検討する価値があると考えられる。再生可能エネルギーは世界に広く分布している資源であるが、そのエネルギー密度はエネルギー転換(例えば風力から電力)時の経済性と密接に関係しており、場所により大きく異なるという特性がある。
海外には安価に利用できる再生可能エネルギー資源が存在するが、これを電力に変換し、わが国に導入する際には、長距離輸送が大きな課題となる。これを解決するため、エネルギーの輸送媒体として水素に着目し、海外の風力由来の水素エネルギーシステムの検討を行ってきた。
水素へ変換できる再生可能エネルギー源は極めて多様であり、具体的な検討実績のある風力や水力に加えて、賦存量の豊富な太陽エネルギーも有望であろう。また、水素をわが国に導入した場合の需要技術(大規模水素発電、コジェネレーション、ハイタンなど)の研究も続けられてはいるが、大規模な水素導入のための大量に水素を消費する技術の本格的な技術開発が必要である。また、将来的に期待される技術としてバイオマス由来の水素製造や光触媒を利用した水分解技術も挙げられる。さらに、燃料電池をはじめとする水素利用技術を中心にすえた産業構造の転換と展開についての研究はエネルギーシステムが社会経済システムに与える影響を評価する観点から重要である。
再生可能エネルギー由来水素エネルギーシステムの導入のためには、上記の全ての項目を実施するべきであると考えるが、時間の制約から当面緊急を要する課題について集中的に取り組むこととした。したがって、本調査研究においては、検討実績のある風力由来の水素エネルギーシステムに競合しうる、太陽エネルギー由来のCO2フリー水素エネルギーシステムに関し概念設計、要素技術調査、およびコスト試算を実施した。
(1) 太陽エネルギーを利用した水素エネルギーシステムに必要な要素技術の調査
(2)で概念設計するシステム構築に必要な要素技術を整理し、特にシステム構築に不可欠または、システムのエネルギー効率やコスト構造に重要な影響を与えうる技術について、現状の開発状況、実用化時期、コスト等を調査した。(2) 太陽エネルギーを利用した水素エネルギーシステムの概念設計
 太陽エネルギー由来の水素エネルギーをわが国に供給するためのシステムに関し概念設計を行い、そのシステムについて技術的成立性の予備的評価を行った。太陽エネルギーの豊富なオーストラリアにおける大規模集光型太陽光発電と高温水蒸気電解を組み合わせた太陽エネルギーを高効率で水素へ変化するシステムを検討した。(3) 太陽エネルギーを利用した水素エネルギーシステムのコスト試算
(1)で概念設計したシステムについて、(2)において調査した情報に基づき、わが国における水素のコスト試算を行った。日本における発電量あたりのコスト内訳を示す。コスト合計は38.5円/kWhである。CIFの水素コスト57.6円/Nm3、脱水素プラントの下流の水素コストが68.7円/Nm3となった。水素製造設備のコストが発電コストの4割を占めており、水素製造コストの低減がもっとも有効である。固定費は、全体の83%に及び、設備全体に高稼働率が求められるシステムである。また、昨年度評価したパタゴニアからの水素コストとの比較では、金利を5%とした場合、22~38円/kWhであり、概ね競合できる範囲にある。
(目 次) まえがき
概要
1.はじめに
1.1 背景と目的
1.2 システム概念
2.太陽エネルギーを利用した水素エネルギーシステムに必要な要素技術の調査
2.1 水素製造方法
2.1.1 太陽熱発電
2.1.2 太陽光発電
2.1.3 水電解
2.1.4 高温水蒸気電解
2.1.6 光触媒
2.2 需要技術
2.2.2 製油所 脱硫・水素化分解
2.2.3 水素タービン
2.2.4 ハイタン
3.太陽エネルギーを利用した水素エネルギーシステムの概念設計
3.1 構成機器
3.1.1 太陽エネルギーを利用した水素製造

(エ)省エネルギー技術に関する調査研究

2.10 超臨界CO2を作動流体とする高効率ガスタービン発電の研究開発

(プロジェクト名) 「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発/超臨界CO2を作動流体とする高効率ガスタービン発電の研究開発」
(報告書名) 超臨界CO2を作動流体とする高効率ガスタービン発電の研究開発 成果報告書
(報告書番号) IAE-1010501
(発行年月) 2011年4月
(要 旨)  一般に産業用発電システムは、構成機器が中小規模である事に起因する特性、特に蒸気タービン効率面の制約から高効率発電には限界が見られる。一方、超臨界CO2ガスタービンは、「外部からの加熱によるクローズドサイクルであるため、石炭、重質油、排熱などの多様な熱源が利用可能」、さらに「超臨界圧CO2の特性を生かしたサイクル構成により中小規模でも高い発電効率が得られる」という特徴を有している。
本研究では、超臨界CO2ガスタービン発電システム開発を目指して、まず要素技術の開発、ベンチスケールでの原理検証試験、および実機スケールを想定した諸検討を実施した。主要テーマは「ガスタービンの開発」、「再生熱交換器の開発」、「総合運転試験」、および「発電システムの研究」から成り、それぞれ有益な成果を得ることができた。
「ガスタービンの開発」に関しては、原理検証用ガスタービンを製作してCO2ループに組込むとともに、その運転制御方法を検討した。さらにCFD(Computaional Fluid Dynamics)解析手法を用いて圧縮機内の超臨界CO2の流れを解析し、上記の圧縮機設計と運転条件に関する示唆を得た。
「再生熱交換器の開発」においては、従来のS型フィンに比べ伝熱性能を大幅に向上させる新型フィンを開発し、伝熱流動相関式を実験検証した。具体的には、新型フィンを適用した再生熱交換器を製作し、高温耐圧性能20MPa・800K、温度効率0.95を実証した。
「総合運転試験」においては、先ずレシプロ型圧縮機を臨界点近傍の条件で運転し、理想気体に比して圧縮動力低減を確認した。次いで超臨界領域でCO2ガスタービンの運転試験を行い、超臨界圧CO2ガス条件および閉ループ特有の諸問題を経験したが、所定の圧力・温度、回転数、及び運転途中でのCO2充填量調節などの運転方法を確立した。ついで性能的には外部電源によらないで運転を継続する閉サイクルの自立運転を達成するとともに、目標の10kWには及ばなかったものの約200Wの発電出力を継続的に得ることに成功した。さらに運転時のエネルギーバランスと流量バランスの検討を行い、性能向上の方策とスケールアップ機の実証に向けての課題を整理した。
「発電システムの研究」においては、CO2サイクル自体の高効率化の検討を行い、低温排熱をCO2サイクルに取込み可能なサイクルを開発し、蒸気タービンと同等の発電効率の見通しを得た。さらに、産業用規模の発電システムを対象とした燃料燃焼式のCO2加熱方式と構造を検討し、蒸気タービンを上回る発電効率及び経済性の見通しを得るとともに、ガスタービンとCO2サイクルとの組合せシステムを検討し、LNGガスタービンとの組合せにおいてもCO2ガスタービン採用が優れた効率特性を有していることを示した。さらに熱電併給システムであるコジェネ適用においてもガスタービンとCO2サイクルとの組合せシステムは優れた特性を有する事を明らかにした。
以上の成果から、本システムが原理的に成立することを確認するとともに、次段階規模の試験装置設計を可能とする有益なデータを収得・整理することができた 。
(目 次) (目 次) 第1章 全体計画、実施体制等
1.1 研究の目的
1.2 調査研究項目
1.3 実施体制
1.4 全体スケジュール
第2章 ガスタービンの開発
2.1 実用クラス機の概念設計
2.2 圧縮機流れ場の詳細解析
2.3 試験用ガスタービンの設計・製作
2.4 運転制御方法の開発
第3章 再生熱交換器の開発
3.1 熱伝導抑制型コンパクト流路の考案
3.2 熱流動特性試験
3.3 加熱器用MCHEの試設計
第4章 総合運転試験
4.1 CO2ループの製作
4.2 圧縮係数の評価
4.3 CO2封入量調節手段の検討
第5章 発電システムの研究
5.1 CO2サイクルの改良
5.2 超臨界圧CO2ガスタービン発電のモデルプラントの研究
第6章 研究発表・講演、文献、特許等の状況
結び

2.11 電気製品の効率向上に係る国際協力事業への参画

(プロジェクト名) IEA-4E SSL Annex準備活動にかかわる業務委託
(報告書名) IEA-4E SSL Annex準備活動にかかわる業務委託
(報告書番号)
(発行年月) 2010年6月
(要 旨)  わが国は2010年より、国際エネルギー機関(IEA)の実施協定の一つである「電気製品の効率向上(以下「4E」)」に参加した。固体素子照明(Solid State Lighting:SSL) に関する分科会活動(以下「SSLアネックス」)はその実施協定の一部である。
これに先立って、わが国は2009年11月30日に経済産業省内に「SSL戦略推進委員会」を設立した。この委員会には経済産業省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの政府機関をはじめ、産業技術総合研究所(AIST)、電気安全環境研究所(JET)、製品評価技術基盤機構(NITE)等の国立研究試験機関、照明器具工業会や電球工業会、メーカ等の産業界、照明学会や大学等の学術界が参加し、産官学一体となってLED照明に関する基本政策を議論してきた。その結果、昨年初めには、省エネルギー推進とLED産業振興という二つの戦略的見地から、SSLアネックス活動に積極的に参画し、国際標準の策定の面で主導的な役割を果たすべきである、という結論に至った。具体的には、LED光源の光束測定や配光測定などの技術を確立して日本工業規格(JIS)を制定し、国際標準へ提案していく方針である。
当研究所は経済産業省と連携して同委員会の設立に参画した。その活動の一環として、2010年4月にはドイツにてフランスおよび米国の政策立案当局と共同でSSLアネックスの基本計画を作成した。もともとはフランスが2010年3月4日の4E理事会へSSLアネックス計画を提案したが、わが国を初めとして参加を予定していた諸国から内容の不備が指摘され、理事会の指示によりわが国と米国がフランスに協力して提案書の骨格を完成させたものである。
提案計画のポイントは、アネックスを次の3つのタスクに分かれて推進するというものである。
Task 1: LED照明が満たすべき最低基準を策定する。
Task 2: 日本、欧州、米国および中国の研究機関により、代表的なLED照明のラウンド・ロビン試験を実施する。
Task 3: 世界の規格・基準を集積したデータベースを作成する。それぞれのタスクは、フランス、米国および日本がリーダとなって推進する。
この提案の最終版は2010年5月に完成し、6月には参加国理事による電子投票により承認され、7月には正式に発足した。なお、SSLアネックスのOperating Agent(運営委員長)には、当初より提案作成に携わってきたフランスが選任された。
その後は具体的なタスク活動が推進されているが、わが国からはTask 1には照明器具工業会と電球工業会からメンバーを選任して議論に参加し、Task 2には産業技術総合研究所(AIST)がラウンド・ロビン試験の担当機関として参加している。Task 3は電気安全環境研究所(JET)がタスクリーダとして活動している。2010年9月には第1回のSSLアネックス会議を上海で、本年4月には第2回会議をワシントンDCで開催した。
(目 次) 1. 緒言
2. IEA-4Eの概要
2.1 目的
2.2 4Eの体制と現在活動中のアネックス
2.3 4Eおよびアネックスへの参加費
2.4 4Eへの産業界の参画
2.5 期間
3. SSLアネックス
3.1 概要
3.2 IEA-4Eのアネックスとしての必要性
3.3 わが国の対応方針
4. 結言

2.12 欧米におけるヒートポンプ関連動向に係る調査

(プロジェクト名) 欧米におけるヒートポンプ関連動向調査業務
(報告書名) 欧米におけるヒートポンプ関連動向調査業務
(報告書番号) IAE-1010809
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  世界的な環境(地球温暖化)への関心の高まりを受け、昨年度(2009年度)は、「欧州におけるヒートポンプ普及施策・市場動向調査」を実施したが、昨年度の調査以降、「再生可能エネルギー利用促進に関する指令」に基づきEU各国が「国別再生可能エネルギー行動計画」を作成し、ヒートポンプを含めた再生可能エネルギーの導入に向け積極的に取り組んでいる。
こうした世界の取り組みを注視することは、今後の日本でのヒートポンプ普及施策の展開および日本製ヒートポンプの欧州での販路拡大においても非常に重要である。
そこで、今回は米国と豪州にも調査範囲を拡大し、欧州、米国、豪州のヒートポンプに関する普及施策や市場動向に関する情報を収集・整理した。
(目 次) 1 はじめに
2 欧州大のヒートポンプに関する政策
3 欧州大のヒートポンプに関する市場動向
4 欧州各国のヒートポンプに関する政策と市場動向
5 米国のヒートポンプに関する政策
6 米国のヒートポンプに関する市場動向
7 米国各州のヒートポンプに関する政策と市場動向
8 オーストラリアのヒートポンプに関する政策
9 今後の課題

(オ)自動車用エネルギーに関する調査研究

2.13 電気自動車のスマート充電コントローラーの試験利用に関する関連業務

(プロジェクト名) スマート充電コントローラーの試験利用に関する関連業務
(報告書名) スマート充電コントローラーの試験利用に関する関連業務
(報告書番号)
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  経済産業省の委託事業において当研究所ほかが開発したスマート充電システム、民間企業が実施するEVのカーシェアリング実証事業において使用するため、技術的検討と必要な諸手続を行うとともに、充電ポストを実証試験場所へ仮設置した。
また、(財)エネルギー総合工学研究所、東京R&D、東北電力にて開発したSCC実証機の経産省からの借用手続きおよび福岡におけるSCC取付確認を行った。
(目 次)
(目 次) (1)経済産業省へのSCC借用手続き
(2)福岡での取付確認
(3)上記内容に係る関連業務

2.14 次世代自動車の使用燃料の将来シナリオに係る調査研究

(プロジェクト名) 日本および首都圏におけるFCVとその使用燃料の将来シナリオに関する調査研究
(報告書名) 日本および首都圏におけるFCVとその使用燃料の将来シナリオに関する調査研究
(報告書番号) IAE-1010805
(発行年月) 2011年1月
(要 旨)  消費者選好モデルによる各種次世代自動車の普及予測、学習効果による次世代自動車の価格低下予測などの機能を組み込んだシミュレーションモデルを構築し、それを用いてFCV向けの水素供給事業の分析を行った。水素供給事業の分析に関しては、水素供給コストと水素販売価格とを切り離して別々に計算し、その差額を集計して評価する、という考え方を取った。
分析の結果、水素供給事業は、2015年に予定されているFCVの本格導入後しばらくは赤字が続くが、やがてFCVの台数が増加して水素需要が増加し、黒字に転換する見通しがあることが明らかになった。インフラ整備のシナリオによって、累積赤字金額や黒字転換の時期がどのように影響されるかを定量的に算出することにより、水素供給事業の成功条件やリスクを検討する材料を提供することが可能になった。また、全国平均と比較して可住地面積の割に自動車台数が多い首都圏は、水素供給事業の成立に有利であることも定量的に示された。
(目 次) 第1章 将来における自動車・燃料の構成シミュレーションモデルの構築
1.1 シミュレーションモデルの概要
1.2 自動車選好モデル
1.3 乗用車の保有台数と新規登録台数
1.4 水素スタンドの事業収支
1.5 シミュレーションツール
第2章 ケーススタディ
2.1 基本ケース
2.2 水素供給事業に関連するパラメータの影響分析
2.3 首都圏を対象とした分析
第3章 まとめと今後の課題

3.化石エネルギー関連

石炭の利用技術に関する調査研究

3.1 革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電に係る調査研究

(プロジェクト名) 「革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電プロジェクト発電からCO2貯留までのトータルシステムのフィジビリティー・スタディー全体システム評価(発電からCO2貯留に至るトータルシステムの評価) 」
(報告書名) 継続研究につき中間報告書作成
(報告書番号) IAE-1010503
(発行年月) 2011年5月
(要 旨)  本事業は、Cool Earth 50の実現に向け、ゼロエミッション石炭火力発電所を中心としたクリーン・コール・テクノロジーが果たすべき役割を、特に将来のエネルギー需給に及ぼす影響の観点から明確にし、さらにCCS技術の実用化促進においても重要な要素となり得る国際標準化について検討し、事業全体の推進及びゼロエミッション石炭火力発電所の導入普及の効率的な実現施策を支援することを目的としている。  石炭ガス化複合発電(IGCC)から発生するCO2を回収し貯留するまでのトータルシステムに関し、当研究所は、NEDO技術開発機構が実施するフィージビリティスタディーのうち全体システム評価を実施した。具体的には、(独)産業技術総合研究所と連携して、昨年度に引き続き、全体調整・とりまとめ、経済性評価モデルの構築と評価、エネルギー需給影響評価モデルの構築と評価を実施した。

(1)全体調整・取り纏め
 事業全体に係わる横断的な事項について国内外の調査、分析を行い、FS全体スケジュールの作成等を行うため、H22年度に引き続き、FS連絡会の開催した。このFS連絡会の場を通じて、各グループ間で、発電設備の概要、液化CO2輸送船タンクの条件、CO2ハイドレート船タンクの条件、液化CO2輸送船の仕様等の整理などの全体調整を行った。
また、日本国内外のCCT&CCS動向調査及び情報発信としてクリーンコールテクノロジー(CCT)並びにCCSに関する欧米、中国などの政策動向、プロジェクト動向、技術情報を整理し、これらをまとめたCCT&Sニュースレターを毎月発行した。

(目 次) まえがき
I.概要
II.本編
1章 調査の目的と背景
2章 トータルシステムのケーススタディー検討・全体概要
3章 ケーススタディー検討(実証機,商用機)
4章 ケーススタディー検討のトータルシステム評価
5章 日本全体を対象とした経済性評価(AIST作成)
6章 エネルギー需給影響評価モデルの構築と評価(AIST作成(一部IAE作成))
7章 国際標準化の検討(AIST作成)
あとがき(IAE作成)

3.2 CO2排出量の削減に向けた石炭の低炭素化利用に関する調査

(プロジェクト名) CO2排出量の削減に向けた石炭の低炭素化利用に関する調査
(報告書名) 平成21・22年度クリーンコールテクノロジー推進事業 「CO2排出量の削減に向けた石炭の低炭素化利用に関する調査」成果報告書
(報告書番号) IAE-1019507
(発行年月) 2010年6月
(要 旨)  エネルギー資源に乏しい我が国において、エネルギーのベストミックスを図る上で、経済性・供給安定性に優れた石炭を環境に配慮して、効率的に利用していくことが必要である。一方で、石炭利用の高度化によるCO2排出量の削減が世界的に求められている。本調査では、石炭の低炭素化利用技術に関して調査を行い、我が国のCO2排出量削減への貢献を示した。各CCTの特質を明確にし、CO2排出量削減の観点から各々の費用対効果を求めるなど、定量的にこれら技術を明らかにしてきた。
総合資源エネルギー調査会クリーンコール部会の下で技術面での検討を行うために、クリーンコール技術開発研究会が平成21年4月に設置され、平成21年度の前半(4-6月)と後半(2-6月)で合計6回の研究会が開催された。そこでは、「高効率石炭発電と石炭多用途利用の今後の技術体系と研究開発の方向」について、関係企業の発表とヒヤリングを参照して有識者による議論を実施した。  まず、研究会の他に、石炭の低炭素化利用に関する技術課題の抽出及び技術比較を実施した。CCS、超粘結炭製造、コークス製造、流動床燃焼について行った。次に、CCTにおけるCCSの位置付けについて、CO2回収技術と火力発電技術との適応性や発電コストとの関係を整理した。また最近のプロジェクト動向を紹介した。低品位炭を原料としてコークス製造に有用な超粘結炭(ASC)を製造する技術を紹介し、経済評価を実施し商業化への可能性を示した。低品位炭からのコークス製造技術は将来の資源枯渇への対策として重要であり、従来の粘結炭に依存せず、褐炭等を原料とするプロセスについて原料配合や生成物歩留の面から検討して可能性を示した。また、中小規模発電に適合した酸素吹き流動床燃焼技術について、その研究内容・可能性を他の類似のプロセスと併せて調査した。
CO2排出量削減に向けたCCTの貢献に関する定量的検討の一つとして、CO2回収を行った場合の火力発電コストがどう変わるかについて、既存の試算例を参考にしつつ、条件設定やパラメータ設定を行って、IGCCでの経済性感度分析ができるようなフレームワークを作成した。
また、新規のCCT開発としては、高効率のCO2回収法として注目されているケミカルルーピング燃焼技術について、欧州の技術動向調査や国際会議に参加することで、最新の世界での研究開発動向を把握し、併せて経済性評価を実施した。
米国、欧州、豪州、インドネシアの各国のCCT開発に対する支援策について、その変遷や最近の動向を、特にCCSとの関係において調査し、整理を行った。またインドネシアで開催された日米CCTセミナーに参加し、現地関係者との協議を行って、インドネシアの低品位炭の有効利用技術についての課題と可能性を検討した。
最後に、CCTの今後の技術体系と研究開発の方向について、それらの特質を明らかにして報告書を取りまとめた。
(目 次) 1.はじめに
1.1 本調査の目的
1.2 本調査の目標
1.3 本調査の進め方
2.石炭の低炭素化利用に関する技術課題の抽出及び技術比較
2.1 はじめに
2.2 CCTにおけるCCSの位置付け
2.3 低品位炭からのコークス製造
2.4 低品位炭改質による粘結材製造技術
2.5 ビクトリア酸素吹き流動床燃焼技術
2.6 高温COG改質技術
3. CO2排出量削減への貢献に関する定量的検討
3.1 CO2削減に向けたCCT開発の貢献に関する定量的検討
3.1.1 既存定量評価資料のサーベイ
3.1.2 経済性の感度分析
3.2 新規のCCT開発
3.2.1 はじめに
3.2.2 ケミカルルーピング燃焼技術の現状
3.2.3 ケミカルルーピング燃焼のシステム検討
3.2.4 ケミカルルーピングの欧州技術動向
3.2.5 ケミカルルーピング国際会議
4.CCT開発に対する国の支援に関する動向調査
4.1 はじめに
4.2 米国
4.3 欧州
4.4 豪州
4.5 インドネシア
5.クリーンコール技術開発研究会
5.1 目的等
5.2 クリーンコール技術開発研究会報告書

3.3  石炭高効率利用システムの海外展開に係る調査研究

(プロジェクト名) 平成22年度クリーンコールテクノロジー推進事業/「石炭高効率利用システムの海外展開における各技術のマッチングに関する調査」「全体プロセスの最適化及びコスト評価」
(報告書名) 平成22年度クリーンコールテクノロジー推進事業/「石炭高効率利用システムの海外展開における各技術のマッチングに関する調査」「全体プロセスの最適化及びコスト評価」報告書
(報告書番号)
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  わが国が有する、高効率発電技術(USC、IGCC等)や石炭ガス化技術、CO2の分離・回収・貯留(CCS)技術、高度運転・管理技術など、世界的に優れた石炭の高効率利用システムを対象として、相手国のエネルギー需給状況や技術ニーズ等を踏まえ、供給すべき技術の費用対効果を定量的に求めた。
具体的には、 1.国内のクリーンコールテクノロジーおよびCO2の分離・回収・貯留までのCCS技術において、海外における商用展開あるいは実証事業につながる石炭高効率利用システムをリストアップした。 対象範囲は、国内のクリーンコールテクノロジー(選炭、改質、転換、燃焼、後処理、その他)およびCCS技術(CO2の分離・回収・貯留)において、システムとして海外へ商用展開可能な技術および海外実証事業につながる技術とし、対象技術の例を以下に示す。
改質:低品位炭の改質、コークス製造技術等
転換:コークス炉ガス改質、石炭ガス化を基にした多用途利用等
燃焼:微粉炭燃焼高効率発電(SC、USC、IGCC等)、加圧流動床燃焼等
後処理:各種環境設備、灰の有効利用技術等
製鉄関連技術:直接還元製鉄等
CCS技術:CO2分離・回収・貯留

リストアップした技術について、概略プロセスフローシート、主な物質収支、主な用役などの技術資料を作成し、技術の特質・信頼性や経済性などにより各々の技術課題を抽出し、技術比較を行った。さらに、技術調査した技術について、妥当な規模を想定してCO2削減量とコスト(投資額)について試算した。
2.我が国と経済的な繋がりの強い産炭国を対象に、エネルギー需給分析や技術ニーズ等の調査を行った。調査した国々を技術レベルやエネルギーニーズなどを組み合わせることにより、2~4種類程度にグルーピングした。
3.グルーピングした各グループ毎に、1.で調査した技術について、投資額とCO2削減量の関係を整理し、各技術を個別に導入した場合の評価を行った。ついで、各技術の波及効果を考慮した場合の評価を行った。これらの結果に基づき、石炭高効率利用システムの海外展開のマッチングについて、考察を行った。

(目 次) 1. 概要
1.1 調査の目的・目標
1.2 調査結果
2. 石炭高効率利用システムに関する技術課題の抽出及び技術比較
2.1 対象技術のリストアップ.
2.2 低品位炭改質技術(UBC)
2.3 コークス製造技術(SCOPE21)
2.4 高温COG 改質技術
2.5 石炭ガス化を基にした多用途利用
2.6 高効率発電技術.
2.7 各種環境技術
2.8 石炭灰の有効利用技術
2.9 直接還元製鉄技術
2.10 二酸化炭素回収技術.
3. 先進国や新興国等におけるエネルギー需給状況や技術ニーズ等の調査
3.1 クリーンコール技術ニーズの調査
3.2 グルーピング
4. 石炭高効率利用システムの海外展開のマッチングに関する調査
4.1 技術導入の費用対効果の評価.
4.2 各技術の波及効果を考慮した効果
4.3 海外展開のマッチングに関する考察

3.4 ケミカルルーピング技術に係る調査研究

(プロジェクト名) 石炭によるケミカルルーピング技術開発計画の策定
(報告書名) 「石炭によるケミカルルーピング技術開発計画の策定」報告書
(報告書番号) IAE-1010703
(発行年月) 2011年3月
(要 旨) 「ケミカルルーピング」は当初はCO2の生産として、その後、低NOxや効率の高い燃焼方法として研究が行われ、近年は、化石燃料の燃焼ガスからのCO2回収を容易に行うことが可能な燃焼・ガス化方法として注目されている。石炭の産業ボイラーは、原油の値上げを背景として、今後とも利用が進む可能性があるものの、個別のCO2対策が難しい状態にあり、より安価なCO2回収が可能な方式が望まれる。ケミカルルーピングは、CO2回収を行う場合にも、中小の石炭ボイラーに適用可能な技術である。
そこで、石炭エネルギーセンター(JCOAL)の自主事業として「石炭によるケミカルルーピング技術開発計画の策定」を当研究所がJCOALより受託し、神奈川工科大学、バブコック日立株式会社、株式会社IHI、日揮株式会社、出光興産株式会社、独立行政法人産業技術総合研究所と共同で今後の開発の進め方を中心に検討を実施した。合わせて、JCOAL技術開発委員会にケミカルルーピング小委員会(委員長;大庭准教授、神奈川工科大学)を設置し、JCOALの会員各社に対しても情報提供を行なった。
本事業においては、6回の研究会での検討を通して、(1)ケミカルルーピング燃焼・ガス化に関する知的財産の調査、(2)パルス反応器を用いた石炭の反応特性試験、(3)既往の研究を整理し、我が国が取り組む方向性の検討、提案、(4)我が国が、民官学一体となって進める上での開発計画の策定、(5)エンジニアリング予備検討および経済性予備評価、を実施した。
その結果、欧米で研究開発が盛んなケミカルルーピング技術は、CO2回収を前提とした場合に、石炭燃焼および石炭ガス化による発電や合成ガス製造において、経済性の面から従来の技術に比べて優位である可能性が高いことが明らかになった。我が国は、ケミカルルーピングの基礎研究および同種の技術開発を進めてきた経緯があり、その経験を踏まえて、複数のボイラーメーカー、エンジニアリング会社、研究機関、大学等が国の支援を受け研究組合を構成し推進することで、欧米にキャッチアップし、2030年頃までには我が国独自の技術を開発、実証、商業化すべきである。そのためには、早急に、基盤研究と新規アイデアに基づく概念設計により、プロセスの基本構想を確立し、遅くとも2013年度から、ベンチ、パイロットプラント試験を開始しなければならない。
(目 次) 1.はじめに
1.1 目的
1.2 概要
2.ケミカルルーピング燃焼・ガス化に関する調査
2.1 特許検索結果
2.2 ケミカルルーピング燃焼の開発動向調査
2.3 Caケミカルルーピングガス化及びCO2回収の技術調査
2.4 燃料・酸素担体粒子の物性及び反応性の予備調査
3.石炭の反応特性試験
3.1 石炭反応性試験
3.2 酸素キャリア粒子の反応性試験
3.3 CO2吸収剤の水蒸気活性化の検討
4.開発方針の検討
4.1 燃焼プロセス
4.2 ガス化プロセス
5.エンジニアリング予備検討および経済性予備評価
5.1 燃焼プロセス
5.2 ガス化プロセス
6.技術開発計画の策定
6.1 燃焼プロセス
6.2 ガス化プロセス
6.3 技術開発工程
7.まとめ

4. 地球環境関連

4.1 石炭起源の低炭素原燃料とCCSの導入・普及のシナリオに係る調査研究

(プロジェクト名) 石炭起源の低炭素原燃料とCCSの導入・普及のシナリオに関する研究開発
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  クリーンコール技術、特に石炭起源の低炭素原燃料とCCSの役割の今後の見通しを明らかにし、生産・輸送・転換・消費までの低炭素原燃料とCCSのサプライチェーンのビジネスモデルの提示を行うことを目的として(1)東南アジア地域における合成燃料製造を想定して、インドネシア産低品位炭を主原料としてガス化に基づく低炭素原燃料製造ルートのためのエンジニアリング・コストデータの作成を支援するため、石炭ガス化に関するプロセスシミュレータを用いて検討を行なった。(2)国際共同研究の一環として、世界全体のCO2濃度制約を課した場合に、石炭合成燃料を含め、どのようなエネルギー源が導入されるかの試算や、CTL、BCTL(バイオマスと石炭の両者の混合物からの合成燃料)、SNGなどの技術情報を収集した。また、過去に実施した日本を対象とした石炭起源合成燃料に関するデータの集約作業を実施した。対象となる合成燃料製造プロセスは、石炭についていえば、液化油(間接、直接)、メタノール、DMEなどがある。(3)世界のエネルギー資源価格、アジア地域における最終エネルギー需要についての文献を収集するとともに、アジアについて、低炭素原燃料とCCSを含めたエネルギーシステムの全体像を想定するため、各種資料からエネルギー需給バランスデータの整理を行い、分析モデルのフレームワーク変更について検討した。

4.2  省エネルギー技術に関する今後の方向性に関する情報収集

(プロジェクト名) ・省エネルギー技術に関する今後の方向性に関する情報収集
・産業部門における革新的な省エネルギー技術の調査
(報告書名) ・省エネルギー技術に関する今後の方向性に関する情報収集
・将来の革新的な省エネルギー技術の検討
(報告書番号)
(発行年月) 2011年3月
(要 旨) 見直しが行われた「エネルギー基本計画」では、2030年に向けた目標として、低炭素型社会と経済成長の両立を可能とするエネルギー需給構造を実現するため、「暮らし」のエネルギー消費から発生するCO2の半減と、産業部門における世界最高水準のエネルギー利用効率を維持強化することが示されている。また、既存技術の延長線上にない革新的なエネルギー技術を開発することにより、世界のエネルギー安全保障及び地球環境問題の解決に大きく貢献するとともに、世界最先端のエネルギー技術を維持して我が国の産業の国際競争力を維持することも重要となる。
そこで、本調査では我が国の「省エネルギー技術」を国際競争力の源泉として、維持・強化していくため、省エネルギー技術の俯瞰図やその技術開発の今後の推移に関する行程表を策定し、広く関係者間で共有を図ることを目的とする。この目的のため、新たな省エネルギー技術戦略策定の基礎資料とするべく、省エネルギー技術の「俯瞰図」、「行程表」、「導入シナリオ」を作成することを目的とし、調査を行った。具体的には、現在、省エネルギー技術開発に関する2つの戦略(「技術戦略マップ2010」と「省エネルギー技術戦略2009」)が存在することから、両戦略に描かれている個別技術、要素技術を統合した上で、新たに「俯瞰図」、「行程表」、「導入シナリオ」の作成を行うこととした。
また、技術戦略マップのエネルギー分野(総合エネルギー効率の向上)の個別技術や新たに追加される技術などに対して、個別技術が最大限導入される「省エネルギーポテンシャル」を推計した。それを踏まえて、個別技術の難易度や、国際貢献などの指標を定めた上で、省エネルギーポテンシャルと合わせた評価を実施。「重要技術」を特定し、詳細な技術開発の道筋の検討を行った。
(目 次) ・省エネルギー技術に関する今後の方向性に関する情報収集
I. 概要
II. 本編
1. 検討範囲の設定
2. 「技術戦略マップ」と「省エネルギー技術戦略」の統合
3. 俯瞰図、行程表、導入シナリオの作成
・将来の革新的な省エネルギー技術の検討
I. 概要
II. 本編
1. 省エネルギーポテンシャルの概算
2. 注力すべき技術の特定
3. 導入筋書・技術整理図・技術開発の道筋の作成
4. 概略版資料の作成

4.3  サステイナブルなエネルギーシナリオとアジアへの影響と原子力の寄与

(プロジェクト名) サステイナブルなエネルギーシナリオとアジアへの影響と原子力の寄与
(報告書名) サステイナブルなエネルギーシナリオとアジアへの影響と原子力の寄与
(報告書番号) IAE-1010704
(発行年月) 2010年12月
(要 旨)  GRAPEエネルギーモデルにより、2100年までの世界のエネルギー構成をシミュレーションした。
今回のCO2制約は、IPCC第4次報告書発行まで広範に行なわれてきた大気中CO2濃度550ppm制約と比べ、厳しめである(450ppmあるいはそれ以下)。しかし、省エネが進み、原子力と再生可能エネルギーが大幅導入され、化石燃料(特に石炭)にIGCCなどの効率的利用技術とCO2回収隔離を行なうなどのオプションを総動員すれば、相当量のCO2削減が推進される可能性が示唆された。厳しい制約と考えられるZ650(CO2濃度で450ppm相当)やWRE450の排出シナリオでも、エネルギーシステムコストの大幅な増加や、関連インフラ、関連制度および社会受容などの諸条件が適切に整えば、長期的には対応策が得られる。先進国と比較して大幅なエネルギー需要の伸びが見込まれる途上国需要のために、化石燃料を短期的に大幅削減するのは難しく、石油や天然ガスはかなり高コストのレンジの資源まで消費されていることも明らかとなった。またウラン資源も想定資源量を使い切る状況となった。
主な結論を列挙する。
1. CO2大幅削減には、供給構造の大幅な変化が必須
2. 供給では、再生可能エネルギーと原子力を重要な位置づけとすべき
3. 化石燃料に対しては、CCS(CO2回収隔離)が必須
4. 需要側においても、大幅な省エネが必要
5. 目標とする2050年に先進国で80%のCO2削減目標は、厳しいが実現可能
6. 世界の大幅なCO2削減のためには、米中の参加できるCO2削減枠組みが必要
7. 短期的にCO2排出増加を許容すると、CO2平均削減費用は2050年までは安いがそれ以降は厳しくなる
8. 先進国が早めに削減努力すると、CO2平均削減費用は高くなる
今後は、産業および民生部門の検討、最適なCO2排出削減シナリオの検討、中期目標のコスト評価、などを念頭に分析フレームワークの拡張を図る予定である。
(目 次) 1.背景
2.目的
3.従来分析と本分析の違い
4.前提条件とシナリオ設定
5.計算結果の分析
6.まとめと今後の課題
7.考察
8.提言

5.原子力関連(原子力工学センターに係るものは除く)

(ア)次世代原子炉技術開発等に関する調査研究

5.1 将来型原子力システム等に係る技術動向の調査

(プロジェクト名) 平成22年度発電用原子炉等利用環境調査委託費(原子力開発利用分野における国際協力動向調査)
(報告書名) 平成22年度原子力開発利用分野における国際協力動向調査(将来型原子力システム等に係る技術動向調査)
(報告書番号) IAE-1010104
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  地球温暖化防止への寄与やエネルギーセキュリティ確保など面で、原子力発電は他電源と比較して固有の優位性を有しており、他電源との競合の観点から、安全性確保を大前提にしつつ、より経済性を追求した原子力技術を開発推進していくことは極めて重要である。今後の我が国の国際共同開発戦略の立案に資するため、将来型原子力システムに係わる国際的な共同研究開発を担う「第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF:Generation IV International Forum)」や、「経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)」の原子力開発・核燃料サイクルに関する技術的経済的検討委員会(NDC)」等を通して、将来型原子力システム等に係わる技術動向調査を実施した。
(目 次) 第1章 はじめに
1. 調査目的
2. 調査内容
3. 調査方法
第2章 将来型原子力システム等に係る技術動向調査
1.第4世代原子力システムの開発に関する調査
2.経済協力開発機構原子力機関における原子力開発に関する調査
3.原子力分野における海外の技術動向調査
4. まとめ
第3章 第4世代原子力システムの開発動向調査
3.1 システム
3.2 システム評価手法
3.3. まとめ
第4章 おわりに

5.2 国際協力による超臨界圧水冷却炉の開発

(プロジェクト名) GIFの国際協力による超臨界圧水冷却炉(SCWR)の開発(フェーズⅠ)
(報告書名) GIFの国際協力による超臨界圧水冷却炉(SCWR)の開発(フェーズⅠ)
(報告書番号)
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  GIF活動全体の動向として、第4世代システムの研究開発経緯、システム評価手法の概要を調査した。
(1)第4世代原子力システム研究開発の経緯
 第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)は、第4世代の構想と世界市場での要求に合致する次世代炉を国際協調に基づいて開発を行う構想について議論が成されたのが始まりである。その後、その国際連携の枠組みを規定する憲章が作成され、2001年7月に我が国を含む9ヵ国により憲章への署名が行われた。2011年3月現在、12ヵ国と1機関(EURATOM)が参加している。2002年12月に、研究開発の優先度などを定める技術ロードマップが公表され、開発対象の原子力システムとして6つのシステム(超高温ガス冷却炉(VHTR)、ナトリウム冷却高速炉(SFR)、超臨界圧水冷却炉(SCWR)、ガス冷却高速炉(GFR)、鉛冷却高速炉(LFR)、溶融塩炉(MSR))を選定している。GIFで開発する6つの原子力システム概念のうち、2011年3月現在、4つのシステム取決め(SA)がメンバー国間で締結されており、そのシステム開発の中でのプロジェクト取決め(PA)には、2010年度は2つのPAが新たに締結され、全部で10のPAが締結されている。
なお、システム取決め(SA)の締結が行われていなかったLFRとMSRの2つのGIFの原子力システムについては、SA署名までの参加機関の研究活動の調整を可能にするため、MOUをGIFで作成し、LFR(EUR、日本)、MSR(EUR、仏)については、それぞれ2ケ国が署名し、発効された。
(2) システム評価手法の開発
GIFの3つの評価手法作業部会(MWG)の2010年における各WGの主な活動の調査結果は次の通り。
1)核拡散抵抗性及び核物質防護WG
PR&PP評価手法の高度化を目的として、4シナリオ(転用、不正使用、ブレークアウト、妨害破壊行為)についてESFR(仮想ナトリウム冷却高速炉)を用いて定性的アプローチによるケースステディを実施した報告書を本年10月に公開した。現在、各6つのGIFシステムの設計にPR&PP評価手法を適用するにあたって、各システムのPR&PP上の特徴をまとめたシステム白書(SWP)を含む報告書を各SSCと共同で作成している。また、本WGはESFRケーススタディやSSCメンバーとの協力等 の経験に基づきPR&PPの評価指標や専門家からの意見聴取方法をレビューしており、レビュー結 果に基づき、PR&PP評価手法報告書の改訂版(Rev6)を発行予定である。さらに、本WGはINPRO/ PRADAプロジェクトの核拡散抵抗性(PR)アプローチとの調和した理解を得るため、INPROとハーモ ナイゼーション活動を実施している。

2)リスク及び安全性WG
現在、確率論的安全評価(PSA)を中心とした統合安全評価手法(ISAM)の開発に取り組んでおり、現在手法報告書をGIF内でレビュー中である。

3)経済性モデリングWG
2008年にコスト評価コード(G4ECONS)としてほぼ開発を終え、ユーザーズマニュアルとコードを一般にも公開しており、現在、手法の適用状況の監視を継続している。また、高速炉システムのア クチニド管理の適用に係わるコスト評価のための改造を継続中である。

(3)SCWR 材料・水化学(M&C)PA締結:
2010年12月にSCWR M&C PAに署名した。
(目 次) 1.はじめに
2.技術開発計画
3.成果の概要
4.実施内容及び成果
4.1 GIF活動による研究開発協力の推進
4.1.1 GIF活動全体の動向
4.1.2 SCWR開発に関するGIF会議の成果
4.2 システム統合・評価に関する技術開発(GIF開発目標の達成度評価)
4.3 伝熱流動・安全に関する技術開発
5.まとめ

5.3 高温ガス炉プラントに係る調査研究

(プロジェクト名) 高温ガス炉プラントに係る調査研究
(報告書名) 高温ガス炉プラントに係る調査研究
(報告書番号) IAE-1010905
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  人類社会の持続可能な発展を達成するためには、エネルギーの安定供給と環境保全の確保とが不可欠である。原子力科学・技術は、このことに大きく貢献することが期待される。今、次世代原子力プラントの研究開発が世界的に進められている。なかでも、高温ガス炉は、有望な候補概念の一つと考えられており、高温ガス炉プラントに関する研究・開発は、中国、南アフリカ、米国等を始めとして全世界において大きく進展し、特に、近年は、国際協力や実用化に向っての動きが活発となってきている。それに対応すべく本研究も充実した活動を続けてきた。
高温ガス炉の大きな特徴は、冷却材の原子炉出口温度を高くできるので、発電に加え、広範囲な熱利用を実現できることである。そのため、注目に値する新しい動きとして、将来の水素エネルギー社会をめざし、高温ガス炉の熱を利用して水素を製造する動きが、並びに化石燃料を回収・改質(合成燃料製造)するなどの動きが世界的に急速に活発化してきたことである。例えば、米国ではエネルギー省(DOE)がアイダホプロジェクト(NGNP)を発表して検討を進めており、発電と水素製造ができるプラントをアイダホ国立研究所に2021年頃に、国際協力により建設実証しようとする計画が進められている。
さらに、米国、カナダ、南アなどでは石炭やオイルサンドの回収・改質の可能性検討が開始されている。
一方、日本においては、日本原子力研究開発機構(当時、日本原子力研究所)がHTTRを用いて2004年4月に原子炉冷却材出口温度950℃を世界に先駆けて達成し、平成22(2010)年12月には高温ガス炉の冷却能力喪失時における安全性を実証する炉心流量喪失試験を実施するとともに、現在ヘリウムガスタービン発電システムや水素製造システムも開発中である。さらに、発電、水素製造、地域暖房を目的として始まったカザフスタン共和国の高温ガス炉(KHTR)開発プロジェクトに全面的に協力中である。さらに、ヘリウムガスタービン発電システムや、水素製造システムも開発中である。中国においては、試験炉(HTR-10)が順調に運転されており、現在、実証炉(HTR-PM)が建設を目ざして準備中である。しかし、南アのPBMR計画は、政府による資金提供が困難化し、中止を余儀なくされたが、その他、フランス、EUにおける高温ガス炉プラントの検討は熱心に続けられている。IAEA、OECD、米国、欧州、日本のメーカの動き等も活発となっており、高温ガス炉に対する関心は、世界的にますます高くなっている。これらに伴って、国際協力も、より積極的に進められている。
上述のような高温ガス炉プラントの研究開発と実用化の動向を考えると、開発戦略、国際協力などにつき情報の収集・発信が非常に重要になってくる。そのような状況に呼応させ、本研究会の平成22(2010)年度は、前年度に実施した活動の更なるステップアップを図り、従来からの諸活動を発展的に推進した。先ず、招待講演の優先度を高めた。すなわち、高温ガス炉の位置付けや活用面から何らかの新しい情報や効果を期待して有識者4名の方に講演をお願いし、合わせて高温ガス炉の実用化や国際展開に関する意見交換を行った。さらに、特定の技術テーマについて検討を深めた。具体的には、技術調査研究として核熱利用関係に係り、潜在的な顧客を探す意味でカナダオイルサンドのような非在来石油資源の回収に必要とされる熱(温度、熱量)の現況を調査した。
さらに、国際交流として、第5回高温ガス炉技術に関する国際会議(HTR2010)に参加し、情報の入手、並びに海外参加者との情報交換を通じて、最新の海外動向調査を実施した。
(目 次) はじめに
関係者名簿
I.今年度の活動実績の概要
II.有識者による講演
1. 「低炭素社会における原子力」
2. 「高温ガス炉の多様な利用」
3. 「海とエネルギー」
4. 「超高温ガス炉に関する研究開発の動向と今後の展開」
III.調査・研究
1. 国際交流
2. 核熱利用関係調査
(1) 「カナダオイルサンドの開発状況」
(2) 「日本の近未来の水素シナリオ」
3.最新動向調査
IV. まとめ

(イ)核燃料サイクルに関する調査研究

5.4 軽水炉燃料の高燃焼度化が与える影響評価に係る調査研究

(プロジェクト名) 原子力発電の持続性に係る評価研究
(報告書名) 「エネルギー技術情報に関する調査報告書(2/3)
軽水炉時代長期化に係るシナリオの評価」
(報告書番号) IAE-1020707
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)
(1)世界の原子力発電開発の動向調査

  世界の原子力発電は、2011年1月はじめ、442基が運転中であり、全発電量の14%のシェア(2009年2,560 TWh)を持っている。2010年のウラン要求量は約6.9万トンである。原子炉は、運転中442基377.2GW、建設中63基64.6GW、計画中156基174.8GWのほかに、提案中322基366.5GWである。
プラントの建設は、とくに中国、インドが活発である。将来の原子力発電設備容量を、WNA(World Nuclear Association)、World Energy Outlook 2010、ETP2010、IAEAなどの国際機関のデータをもとに調査した。これらは、2035年までの予測である。
日本、米国、フランス、ロシア、韓国、中国、インドなどの主要国の原子力発電動向を調査した。これに関連して、原子力産業が国境を越えて合併・統合が進められている。その主力商品となる、原子力発電プラントをまとめた。また、そのサプライチェーンの一例として、重鍛造プレスなどの能力などを整理した。さらに、日本から海外への原子力機器輸出実績も整理した。
(2)ウラン資源の持続可能性の検討
  2010年半ばに出版されたレッドブック2009を調査した。市場価格の全般的な上昇と採掘コストの増大に対応して、2007年までは考えられていなかった高コスト区分が導入された。その結果、既知資源630万トン、これに未発見資源を加えた究極資源は1670万トンに達する。2008年のウラン消費量が継続するものとすれば、既知資源だけで向こう100年間は十分に世界の原子力発電に対してウラン供給が可能である。2008年における世界のウラン生産量は要求量の74%しか満たしていない。不足分は二次資源といわれているもので、解体核兵器からの高濃縮ウランの希釈や、リサイクルによる。  濃縮技術に関しては、世界的にガス拡散プラントがなくなり、遠心分離プラントへと移行している時代である。ウラン濃縮市場は、長期にわたり比較的需給バランスが保たれてきている。
核燃料サイクルの動向も調査した。2010年9月にMITが出した「核燃料サイクルの将来」というレポートでは、経済性、燃料サイクル、使用済燃料対策、廃棄物対策、将来の核燃料サイクル、核不拡散及び研究開発と実証に関して提言がなされている。これによると、ウランは十分にあるので、高い増殖比の高速炉は不要だという論点である。
システムダイナミックスを用いた先行研究についても調査した。
これらデータをベースにして、中国の開発動向の不確定性を考慮に入れて、世界の原子力発電の開発シナリオとウラン資源消費モデルを3ケース設定し、ウラン資源の持続可能性を評価するための世界モデルを構築した。STELLA9.0.3(システムダイナミックス・コード)を用いて、ウラン消費量や、使用済燃料発生量を評価した。結果を最新のウラン資源に関するOECDデータ(レッドブック2009)と比較したところ、開発規模が最大のケースであっても、確認資源(630万トン・ウラン)を消費してしまうのは、2060年頃である。

(3)我が国の原子力開発への影響評価
  軽水炉時代が長期化する状況で、使用済燃料の発生量を削減するために、高燃焼度化は避けて通れない。このとき、発生する回収ウランの総量について評価した。この評価のために、STELLA9.0.3により、日本だけの原子力発電モデルを構築した。我が国のウラン濃縮計画の中で、回収ウランの再濃縮に関する長期的な戦略の必要性を検討した。

(目 次) 1.はじめに
2.世界の原子力発電開発の動向調査
3.ウラン資源の持続可能性の検討
4.わが国の原子力開発への影響評価

(ウ)高レベル放射性廃棄物処分に関する調査研究

5.5 地層処分の安全確保に係る自主基準の具体的検討

(プロジェクト名) 地層処分の安全確保に係る自主基準の具体的検討
(報告書名) 地層処分の安全確保に係る自主基準の具体的検討
(報告書番号)
(発行年月) 2011年3月
(要 旨) 原子力発電環境整備機構は,「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき,段階的な処分地選定過程を経て最終処分地を選定することとしている。各選定段階で行われる安全評価に関しては,国が定める安全基準等に加え原環機構として自主的に定める判断基準も設けて安全確保を図るものとしている。
2009年度に実施した自主基準に係る調査に続き,「自主基準に関する関連情報の整理,検討」および「安全基準策定の方向性に係る検討」を行った。「自主基準に関する関連情報の整理,検討」では,(1)安全規制の動向に関する情報等の収集,整理,検討,(2)概要調査段階における自主基準項目の検討,(3)自主基準項目に対する判断指標,尺度に関する情報の整理,検討を行った。(1)安全規制の動向に関する情報等の収集・整理,検討では,安全評価の時間軸,時間枠に関する検討状況,立地選定段階に応じた妥当性レビューのための判断指標に係る検討状況,可逆性および回収可能性に係る検討状況を調査,整理し,安全基準に係る内外の動向を検討した。(2)概要調査段階における自主基準項目検討および(3)自主基準項目に対する判断指標,尺度に関する情報の整理,検討では,自主基準の考え方に基づき,概要調査段階における自主基準項目とその項目に対する判断指標および尺度を設定するとともに体系的にまとめた。概要調査段階の原環機構の自主基準としては,法律等により規定された事項,選定上の考慮事項および事業者として意思決定すべき事項への対応のほか,説明責任を確保しつつ事業者としての合理性やリスクのより小さい方向を目指した意思決定も含めて提示した。本検討では,まだ公募地区がなく文献調査に取り掛かっていない段階で,精密調査地区選定に向けての段階的な意思決定を基本とした自主基準の枠組みと指標や尺度などを設定した。
「安全基準策定の方向性に係る検討」では,「自主基準に関する関連情報の整理・検討」調査を踏まえ,超長期の安全評価に係る課題を抽出し,時間枠の考え方と判断指標や,世代間倫理について最近の議論を整理した。次いで,国内有識者による超長期評価等に係る課題に向けた検討会を行った。検討会では,まず,安全評価に係る(原環機構)の考え方を提示し,アンケートにより意見集約するとともに,一同に会して議論を行った。検討会の結果を整理し,超長期評価に係る課題検討の論拠の骨子に資する課題等を整理した。
地層処分の安全確保およびその評価に係る時間軸の取り扱いあるいは時間枠の考え方に関する議論は、本報告書で対象にしたOECD/NEAの他にもいくつかあると思われる。今後は,時間軸,時間枠の議論に含まれる課題を,「どのように議論すれば課題解決に向かうか」との視点で議論のための課題整理を行うことが有用と考えられる。その際には,本年度行った現状の論点整理をさらに充実させ,海外で合意されていることのわが国への適用性,また,わが国独自に検討すべきことなど,十分整理することに注力した上で,実りある議論と成果の期待できる検討方式を構築し実践することが必要であると考えられる。
(目 次) 緒言
1. 背景
2. 本検討の目的
I. 自主基準に関する関連情報の整理,検討
1. 安全規制の動向に関する情報等の整理
1.1 時間軸,時間枠に関する検討状況
1.2 立地選定段階に応じた妥当性レビューのための判断指標に係る検討状況
1.3 可逆性および回収可能性に係る検討状況
2. 概要調査段階における自主基準項目の検討
2.1 自主基準の考え方の整理
2.2 概要調査段階における自主基準項目
3. 自主基準項目に対する判断指標,尺度に関する情報の整理,検討
3.1 判断指標,尺度等の定義
3.2 概要調査段階の自主基準項目の判断指標,尺度等の設定
3.3 今後の展開
II. 安全基準策定の方向性に係る検討
1. 超長期の安全評価に係る課題の整理
1.1 時間枠の考え方と判断指標について
1.2 世代間倫理について
2. 国内有識者による超長期評価等に係る課題に向けた検討会の実施
2.1 検討会の設置
2.2 議論の概要
3. 超長期評価に係る課題検討の論拠の骨子についての検討
3.1 安全評価の時間枠
3.2 超長期評価に伴う不確実性
III. 結 言

5.6 2010年技術レポート「安全確保構想2009」のレビュー

(プロジェクト名) 2010年技術レポート「安全確保2010レビュー版 」のレビュー
(報告書名) 「地層処分事業の安全確保2010 ~確かな技術による安全な地層処分の実現のために~ レビュー版」に対するレビュー報告書
(報告書番号) (報告書は日本原子力学会から発行されると共に同学会のHPで公開されている)
(発行年月) 2011年4月
(要 旨)  日本原子力学会は、原子力発電環境整備機構(NUMO)が2010年11月に公表した「地層処分事業の安全確保2010~確かな技術による安全な地層処分の実現のために~ レビュー版」(以下、「安全確保2010 レビュー版」という)のレビューをNUMOから依頼された。このため、日本原子力学会は、原子力工学、地質学、地盤工学、地層処分の安全評価、リスクマネジメントなど多様な専門家で構成される「『地層処分事業の安全確保2010』レビュー」特別専門委員会(以下、「特別専門委員会」という)を設置し、2010年12月下旬から2011年3月上旬までという短期間にそのレビューを行った。本研究所は、特別専門委員会の委員兼幹事として職員が参加し、レビューに係る全体調整、報告書とりまとめを実施した。 特別専門委員会は、「安全確保2010 レビュー版」のレビューを実施するにあたり、レビュー方針を検討し、取りまとめた。そのうち主な方針は次に示す通りであった。

(1) 実施主体として、設立以来実施してきた事業の成果が関連機関における調査、研究・開発と融合した現在の状況が適切に示されており、それらを踏まえて今後の事業展開を行う方向性が明確に示されていることを確認する。
(2) 事業編に関して今回のレポートで新たに書き加えられた部分、たとえば、「安全確保ロードマップ」、「技術開発ロードマップ」、および「信頼感醸成ロードマップ」、あるいは安全評価に係る考え方などについては、新たなレビューを行う。
(3) NUMOが主張したい点(アピールポイント)が本文で的確に記述されているか否かをレビューする。整備した技術の目的と達成レベルが記述されているか確認する(安全確保という観点で)。
(4) 論理的に筋道立った記述がなされており、記述内容に矛盾がなく、NUMOが意図した事柄が的確に記述されているかレビューする。
(5) 技術的に複数の見解が存在するような技術事項については、NUMOの主張が排他的になっていないかどうかレビューする。

また、特別専門委員会は、はじめに、どのような視点でレビューを行うかについて、NUMOの要望もいれながら検討し、次の2点とした。

(1) 委員各位の専門に照らして、技術的内容が妥当なものとなっているか否か
(2) 「安全確保構想2010 レビュー版」が、NUMOの意図(目的)に適う内容になっているか否か。

上記(1) については、NUMO設立以来の10年間に、日本原子力研究開発機構(JAEA)などの基盤研究開発機関等で築き上げられてきた技術的成果も含め、高レベル放射性廃棄物の地層処分に係るわが国の技術の現状をよく整理して記されているとの意見もあった。その一方で、多くの多種多様な技術の並列的な提示に終わっているとの評価もみられた。NUMOは技術の開発者や技術ホルダーであるというよりは、むしろそれぞれの技術がもつ特色や利点・欠点等を評価し、それらをどのように取捨選択して組み合わせ、これから行おうとしている地層処分にどのように適用すれば良いかを判断し調整する役であろうという議論もなされた。
上記(2)については、この「安全確保2010 レビュー版」には、その意図(目的)と思われるものがところどころで断片的には読み取れるものの明確ではなく、報告書全体がそれらの意図に即した展開になっているかどうかの判断は難しいとの意見が大勢を占めていた。

(エ)将来に向けた原子力技術基盤および人材育成に関する調査研究、その他

5.7 基盤技術開発の充実・強化および戦略的原子力技術の利用高度化に係る調査研究

(プロジェクト名) 平成22年度 発電用原子炉等利用環境調査(基盤技術の充実・強化及び戦略的原子力技術の利用高度化に関する調査)
(報告書名) 平成22年度 発電用原子炉等利用環境調査(基盤技術の充実・強化及び戦略的原子力技術の利用高度化に関する調査)
(報告書番号) IAE-1010102
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  経済産業省の支援の下、大学等が行う革新的実用原子力技術開発事業や素材・部材メーカーが行う戦略的原子力技術利用高度化推進事業の事業計画や実施状況等を把握・分析し、その適正かつ効果的な実施を図ることにより、我が国における原子力発電の持続的発展に資することを目的とする。
本事業は、経済産業省資源エネルギー庁における基盤技術補助事業及び戦略的補助事業について、大学及び民間企業等での研究開発の実施状況を調査・把握するとともに、その他必要な事務を実施するものである。
経済産業省の支援の下、大学等が行う革新的実用原子力技術開発費補助事業及び戦略的原子力技術利用高度化推進事業において、補助事業者から提案のあった事業計画の適切性・有効性を評価するとともに、期中及び期末に補助事業者に対して中間確定検査等を実施し、その適正かつ効果的な実施を図るための方策を調査した。
国内外の原子力関連企業(原子炉メーカーを含む。)における設備投資の最新動向についてインターネットや文献等をもとに調査し、体系的に整理・分析した。
(目 次) 1.はじめに
2.事業目的
3.事業の概要
3.1 実施概要
3.2 基盤技術補助事業
3.3 戦略的補助事業
4.事業内容
4.1 基盤技術補助事業
4.2 戦略的補助事業
5.基盤技術事業における研究成果
5.1 研究開発における成果
5.2 原子力人材育成の成果
5.3 基盤技術補助事業の成果
6.国内外の原子力関連企業の設備投資動向の調査
6.1 我が国における状況
6.2 原子力関連企業の設備投資の動向
6.3 海外における状況
添付資料 成果評価結果

5.8 原子力研究環境整備事業選考調査

(プロジェクト名) 原子力研究環境整備事業選考調査
(報告書名) 平成22年度原子力研究環境整備事業選考調査報告書
(報告書番号)
(発行年月) 2011年5月
(要 旨)  文部科学省が行う「原子力研究促進プログラム」、「原子力研究環境整備プログラム」、「原子力コア人材育成プログラム」(以下「人材育成プログラム」という。)を効率的に実施するため、人材育成プログラムの実施に必要な支援業務を実施した。
(1) 技術審査委員会の開催支援
平成22年度における最適な実施機関の選定並びに平成21年度に実施した事業の評価を行うための技術審査委員会を開催し、大学及び高等専門学校の提案の審査、文部科学省が補助金を交付すべき実施機関の選定並びに補助金を交付した事業の評価等の支援を行った。技術審査委員会に関して、(1)委員会の企画、委員の委嘱、旅費の支払及び謝礼の支払等に関する業務、(2)資料の様式作成、委員への資料の事前送付、技術審査の依頼、(3)日程調整、委員会資料の作成、議事要旨の作成を行った。(2)補助金の交付及び事業管理支援
文部科学省が行う大学及び高等専門学校に対する補助金交付に関する各種手続き及び補助金を使用した事業の終了後に必要となる調整業務の補助を行った。事業の進捗状況または成果を適時適切に把握するための支援に関して、(1)補助金交付申請書の受領及び様式等の確認、補助事業に要する経費の内容及び積算根拠の確認による記載漏れやミス等のチェック、(2)補助事業終了後に提出される各種書類(経費の支出を証明する書類を含む)の確認による事業遂行上の不備や記載漏れ等のチェック、(3)補助金の交付及び執行管理に必要な業務、(4)アンケート等による事業の実施状況調査を行った。

(3)公募業務支援
人材育成プログラムの公募に関して、(1)応募要領等の公募に際する資料作成の支援、(2)ホームページでの公募の広報、(3)実施事例報告会の開催に必要な業務、(4)応募書類の受領及び様式等の確認を行った。

(目 次) 1.はじめに
2.事業目的
3.事業の概要
3.1 実施概要
3.2 基盤技術補助事業
3.3 戦略的補助事業
4.事業内容
4.1 基盤技術補助事業
4.2 戦略的補助事業
5.基盤技術事業における研究成果
5.1 研究開発における成果
5.2 原子力人材育成の成果
5.3 基盤技術補助事業の成果
6.国内外の原子力関連企業の設備投資動向の調査
6.1 我が国における状況
6.2 原子力関連企業の設備投資の動向
6.3 海外における状況
添付資料 成果評価結果

5.9 原子力人材育成プログラム支援調査事業

(プロジェクト名) 平成22年度 原子力人材育成プログラム(原子力人材育成プログラム支援調査事業)
(報告書名) 平成22年度 原子力人材育成プログラム(原子力人材育成プログラム支援調査事業)報告書
(報告書番号) IAE-1010101
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)
人材育成プログラムの実施に必要な支援業務及び人材育成プログラムの実施状況等を把握するために必要な調査として、以下の業務を行った。
1.人材育成プログラムの執行支援業
(1)国が大学等と委託契約の各種手続きに必要となる調整業務の補助として、以下の業務を行った。
i)実施計画書の受領及び様式等の確認作業、ii)支出計画の内容及び積算根拠の確認作業、iii)実績報告書等の作成に関する調整作業、iv)前年度取得財産管理に関する調整作業、v)委託業務に付随するその他の業務の補助作業。
(2)国が大学等に対して実施する確定検査の各種手続きに必要となる調整業務の補助として、以下の業務を行った。
i)確定検査に必要となる確認書類の準備に関する業務の補助作業、ii)国が実施する確定検査に必要となる書類調査および執行調査の補助業務
(3)プロジェクトの進ちょく状況管理として、以下の業務を行う。
i)定期的な実施状況の確認、ii)現地での執行状況調査の実施、iii)実施状況のフォローアップに必要なその他の情報収集および業務の補助作業。
(4)人材育成プログラム事業の公募(平成22年度追加公募分)において技術審査委員会(採択委員会)を開催して大学等からの提案を審査し、資源エネルギー庁が実施すべき事業を決定した。また、年度末に評価委員会を開催し、当該年度に実施した人材育成プログラムの年度末評価を行った。
2.人材育成プログラムのフォローアップ調査
平成19~21年度の人材育成プログラム(「チャレンジ原子力体感プログラム」および「原子力教育支援プログラム」)に参加した学生の就職、進学状況を調査、整理した高温ラプチャーの破損伝播現象を調査・検討し、実験式ベースの簡易なモデルに基づく解析コードを作成した。
(目 次) 1. はじめに
2. 事業目的
3. 事業の概要
3.1 実施概要
3.2 主要工程
4. 事業内容
4.1 執行支援業務
4.2 確定検査補助業務
4.3 採択テーマの審査
4.4 成果の評価
4.5 フォローアップ調査
4.6 事業のまとめ

5.10 原子力施設のトラブルに係る人的事例の調査分析

(プロジェクト名) 国内及び海外の人的事例分析評価
(報告書名) 平成22年度 原子力人材育成プログラム(原子力人材育成プログラム支援調査事業)報告書
(報告書番号) IAE-1010603
(発行年月) 2011年3月
(要 旨)  国内事例に関しては、法律に基づく報告事象から原子力安全基盤機構殿の選別基準に則って人的過誤事例を13 件選別・抽出し、「原子力施設情報公開ライブラリー(NUCIA)」に含まれる公表事象から人的要因に関連する重要なもの若しくは特徴的なものを30件抽出し、合計43件の国内事例を分析対象事象として選別した。また、海外事例に関しては、昨年度の検討対象範囲とした平成22年度のIRS(Incident Reporting System)に登録された海外で発生したトラブル事象から、分析対象事象を2件選別した。
選別した事例に関して、発生した事象、背景、エラー、機器故障、原因、対策について“いきさつダイヤグラム”を用いて時系列に分かりやすく整理し、関連する人的要因を分析し汲み取るべき教訓事項を抽出し、再発防止対策を検討した。
分析対象事象から規制への反映事項として抽出できる事項については、安全審査、工事計画認可、使用前検査、保安規定認可、保安検査、定期検査、定期安全管理審査、等に対し、本年度実施した45 件の分析対象事象について検討を行った。 最後に、分析を実施した事象の中から、特に教訓として重要な国内事例20 件を抽出して、1事例につきA4版4ページを基本として、カラー両面刷りの教訓集を作成した。その上で、抽出した事象の中から、特に特徴的で重要な事象として国内事例8件を選定し、想定状況図を作成した。これらの資料を、ファイル形式の教訓集に追加した。
(目 次) 1.はじめに
2.分析事例の選別
3.分析結果
4.教訓集・想定状況図の作成
5.おわりに

6. 原子力工学センターにおける事業

(ア)次世代軽水炉技術開発

6.1 次世代炉軽水炉技術開発

(プロジェクト名) 次世代軽水炉技術開発
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨) 経済産業省の原子力立国計画の柱の一つとして、国内の既設炉の代替炉および国際市場も睨んだ国際標準炉の開発を目的に、2030年頃の実用化を目指し次世代軽水炉技術開発事業が進められている。当研究所は、国の財政的支援の下、電力会社および原子炉メーカの協力を得て、中核機関として同事業を推進している。
平成22年度は、2年間実施してきたプラント概念設計検討及び要素技術開発の成果を踏まえ、プラント概念等が次世代軽水炉開発の基本コンセプトを満足できるものであるかについて評価を行った。評価の結果、要素技術の開発とプラント概念の構築によって開発目標が達成される見通しがあり、我が国の既設炉のリプレースや国際展開に的確に対応できるものになっていると評価し、引き続き、次世代軽水炉開発を継続することとした。
平成22年度の成果の概要は、以下の通りである。
(1) 概念設計検討と先進安全システム開発(PWR、BWR)
2030年頃に世界最高水準の安全性と経済性を有し、社会に受け入れられやすく、現場に優しい、国際標準プラント」という次世代軽水炉のコンセプトに適合する魅力あるPWR及びBWRプラント概念を構築する。
今年度、PWRについてはプラント概念仕様設定、概念系統設計、概念配置検討をさらに深め、免震採用を前提とした配置設計検討と共に、電力要件への達成度を評価した。また、高度化炉心、高性能蒸気発生器、船殻構造格納容器構造、自律安全系等の新たな技術について検討した。また、プラントの概念を決定し、概念配置図を作成するとともに、今後の技術開発計画を策定した。
また、BWRについては、プラント概念に基づき、安全系、原子炉廻りの系統、タービン系等の概念設計、原子炉建屋配置の概念設計を進めた。また、プラント概念成立に必要な要素技術として、シビアアクシデント対策である静的格納容器冷却系、静的デブリ冷却システム、事故時の格納容器内圧力抑制室の健全性を確保する大口径ベント管、炉内構造物の流動振動に対する健全性等について、今後の開発計画を策定した。

(2) プロジェクト推進(基盤整備)
 今年度は、引き続き、「評価委員会」「推進委員会」「連絡調整会議」からなる推進体制を維持し、平成22年度前半の中間評価とりまとめ、プラント概念の検討、6つのコアコンセプトに基づく要素技術開発等について、PDCAサイクルを回し、円滑かつ効率的な技術開発を推進した。中間評価においては、これまで進められてきた要素技術の開発とプラント概念の構築によって開発目標が達成される見通しがあり、我が国の既設炉のリプレースや国際展開に的確に対応できるものになっていると評価するとともに平成23年等以降の開発計画を策定した。
安全規制及び規格基準の整備については、整備項目毎に、具体的な対応方針の検討・見直しを実施し、規制機関・学協会との協議を実施した。また、設計認証制度の論点の議論を基に今後の検討内容の明確化を図った。
国際標準化に向けた取り組みについては、海外調査(欧州、米国)を実施し、海外の規制制度、国際的な規制動向の調査を実施した。また、次世代炉開発の紹介等の情報発信を通し、関係機関との意思疎通、意見交換を行い、さらに、原子力関係雑誌への投稿、ホームページへの公開、各種セミナーでの発表等を通して、国民への理解促進活動を行った。

(3) 要素技術開発
 プラント概念の成立に必要な要素技術開発は、技術の成立性や実用化見通し等について、HPまでに設定した目標を達成することができることを確認した。また、プラント概念を成立させるため、新たに開発する要素技術開発も含め、平成23年等以降の開発計画を策定した。

(イ)原子力安全解析

6.2 新技術を活用した高速炉の次世代安全解析手法に関する研究開発

(プロジェクト名) 新技術を活用した高速炉の次世代安全解析手法に関する研究開発
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  文部科学省の原子力システム研究開発事業の一環として、「新技術を活用した高速炉の次世代安全解析に関する研究開発」に共同研究機関として参画し、次世代高速炉を対象とした炉心崩壊事故時の安全解析手法を開発した。
平成21年度は、5カ年計画の最終年度にあたる。これまでに高速炉の炉心損傷事故時における炉心内の熱流動・構造挙動を局所的詳細に解析できるCOMPASSコードを開発してきた。COMPASSコードの特徴は、新たな解析手法である粒子法を採用して、実験相関式を使用することなく詳細現象を記述している点にある。今年度は、諸外国で実施された実験をCOMPASSコードで解析し、その精度を検証した。また、同コードの今後の使用に備えて、コードの入出力様式、サンプル例題の入出力データ、及び関連する一連のドキュメント整備を完了した。

6.3 高速炉の事故時安全解析

(プロジェクト名) 高速炉の事故時安全解析
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  前項5.2は次世代高速炉を対象とした新たな解析手法の開発に関する業務であるが、当面の実用的手法として、以下の解析およびコード設計を前年度に引き続き実施した。

1) 事故時の安全性に関する確率論的評価
実用化候補の炉型を対象として、前年度とは異なる起因事象を想定した炉心損傷事故の解析を実施し、その影響を確率論的手法によって評価した。

2) 炉心損傷事故解析コードの実機適用性の評価
既存コードを用いて、前年度とは異なる炉心損傷事故シナリオを想定した時の熱流動挙動の進展を解析し、物理現象としての説明性の観点から既存コードの実機適用性を評価した。

3)  炉心損傷事故解析コードの整備
高速炉において炉心損傷事故を想定すると、炉心核特性変化、熱流動挙動、炉心溶融挙動等の一連の現象が複雑に錯綜して現われる。従来は、これらの個々の現象を対象としたコードによって事故解析を実施していた。本業務では、相互の影響を考慮したコードシステムとして実用的な手法を整備することを目的に、システムの設計を実施した。

4) 高速炉プラント二次系の流動挙動解析コードの適用性評価
高速炉の冷却材であるナトリウムは化学的に活性であり、その挙動評価は安全確保の上で重要である。前年度に引き続き、ナトリウムの挙動を精度良く解析できるコードを用いて実験解析を実施し、その適用性を評価した。

6.4  軽水炉配管の減肉挙動の評価

(プロジェクト名) 軽水炉配管の減肉挙動の評価
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  原子力安全・保安院の「高経年化対策基盤整備事業」の一環として、流動加速腐食(FAC)や液滴衝突(LDI)による軽水炉配管の減肉挙動を評価できる手法の高度化・実用化を進めている。
FACについては、これまでに開発した解析手法を用いて実測データのある軽水炉実機の給・復水系配管を対象に三次元解析を実施した。解析値と実測値との比較から、解析は実機配管の減肉をファクター2以内(+100%、-50%以内)で評価できることを確認した。今後、さらなるモデル改良に努めて解析精度を向上させ、解析手法の実用化を目指す。
LDIについては、軽水炉実機における配管減肉の状況観察に基づき、以下の現象に分類して評価する方法を提案した。
(a) 液滴エロージョン(Erosion):配管壁に液滴が衝突することにより、その衝撃で直接的に配管壁が局所的に減肉する現象。
(b) エロージョン・コロージョン(Erosion/corrosion):上記Erosionだけでは配管壁を大きく減肉させるには至らないが、衝突した液滴が壁面上で液膜となり、液膜流動によるFAC現象と重畳して、Erosionよりは若干大きな範囲で配管が減肉する現象。

Erosionの現象については、液滴衝突時の衝撃圧力と減肉量との関係を示す適切な相関式を調査した。Erosion/corrosionについては、上記FAC解析手法の応用展開によって評価すべく、液膜流動の解析方法を開発中である。

6.5 軽水炉における気液二相流挙動解析モデルの開発

(プロジェクト名) 軽水炉における気液二相流挙動解析モデルの開発
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  気液二相流は、液体中に存在する気体(ボイド)の割合やボイドの時間・空間的分布が流動挙動に大きな影響を与える。気液二相流動を支配する物理モデルの一つに気液相間モデルがある。今年度は、気液相間モデルのうち、気液界面の大きさを記述する「二相界面面積密度輸送モデル」に着目し、これまでの実験や物理モデルを調査・分析して、新たな三次元解析モデルを提案した。次年度以降、提案モデルを二相流解析コードに組み込み、詳細現象に対する適用性を評価していく予定である。

6.6 伝熱管の単相流熱流動挙動解析

(プロジェクト名) 伝熱管の単相流熱流動挙動解析
(報告書名)
(報告書番号)
(発行年月)
(要 旨)  原子力分野で培った解析技術・ノウハウの他分野への応用展開を図る事業の一環として、太陽熱発電プラントを対象に、伝熱管1本および管群体系における単相流の熱流動解析を実施した。輻射による太陽光の伝熱管への入熱、構造壁面での反射、伝熱管からの輻射放熱、空気の自然対流熱伝達、伝熱管の熱伝導、内部流体の対流熱伝達等の複合現象を解析できるようにCFD(Computational Fluid Dynamics)コードを改良し、三次元解析によって、伝熱管の形状効果および伝熱管群の配列による伝熱性能の優劣を評価した。

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