「原子力の安全性を問う」第2回シンポジウム 
 講演概要/プロフィール(2011年12月17日(土)開催)  

プロフィール

ユッカ・ラクソネン(Jukka LAAKSONEN)

フィンランド放射線・原子力安全庁長官〔Director General, Radiation and Nuclear Safety Authority (STUK) of Finland〕
 1974年 Radiation and Nuclear Safety Authority (STUK)に入り、1997年より現職。
 OECD 原子力機関(NEA)の原子力規制活動委員会議長やIAEAの加盟国に対する規制レビュー調査団長など、原子力安全に係る国際協力分野において重要な多くの役職を歴任しており、現在、WENRA(Western Europe Nuclear Regulators Association)議長、INSAG(International Safety Group)副議長、IAEA のCommission on Safety Standards メンバーを務めるなど原子力安全分野における国際的なリーダーの一人。


講演要旨「原子力の安全性をどのように確保できるのか?」
-巨大技術のリスクは制御可能か?-

 全ての新技術の開発においては、過去の失敗に学び、是正措置をとりながら進歩することが必要です。原子力の歴史の中で苛酷事故や多くの予想外の事象が発生し、調査がなされ、得られた教訓は学習され、新たな知見は安全レベル向上に役立たれてきました。
 原子力の安全性は、全ての想定されるハザードに対して、3つの基本的な安全機能(反応度制御、崩壊熱除去、放射性物質の閉じ込め)を備えること、また、安全機能を働かせるために設計したシステムを防護することにより確保できることが一連の原子炉の事故等経験から示されました。安全機能は、原子力を取り扱う高いレベルの個人の技能や良好な組織の管理、安全性文化の重視が必要とされます。事故のリスクを非常に小さくするように原子力プラントを制御することが可能であると確信していますが、原子力規制当局としては、決して十分に安全であるとは結論せず、常に、“如何にすれば我々のプラントを、より安全にできるか”を求めなければなりません。たとえ放射能放出リスクをなくすることが達成されたと考えたとしても、誰も前もって想定できなかった事故対応を考えていくことが重要と考えます。
 「巨大技術のリスクを制御可能か」の問いに対しては、原子力安全原則や進展を概観しながら、その原則が事故を踏まえ進化したかを理解するため、事故の根本原因を分析し、過去の教訓の学習や想定されるハザード管理に向け、個人や組織が信頼できる知識を十分蓄積し、能力を向上させているかの観点から議論しなければならないと考えます。


講演概要

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