「原子力の安全性を問う」第5回公開討論会 
 講演概要/プロフィール(2011年12月11日(日)開催)  

プロフィール

岡田憲夫(おかだ・のりお)

京都大学 防災研究所教授
 1972年京都大学大学院工学研究科修士課程(土木工学専攻)修了。京都大学工学部助手、その後、鳥取大学工学部助教授、同教授(社会システム工学科)を経て1991年より現在まで京都大学防災研究所教授。2009年から2011 年同所長。
 専門は災害リスクマネジメント、社会システム工学、土木計画学、工学博士、国際総合防災学会会長。


講演要旨「巨大技術システム依存社会の挑戦と課題-極端事象、未経験事象のリスクの下で」

 巨大技術システムに依存した社会の行く末については、楽観的な見方と悲観的な見方がありますが、社会工学的立場からは、その間に社会的成立解である動的なバランス解(「成解」)を現実の社会の中で見いだすことが求められます。
 最悪シナリオを作り、リスクに取り組むために、可能な限りの想像力・創造力を駆使し、問題意識をもって物事を見る、考える、そして行動を起こすことが必要です。このためには、多様な当事者が参加するブレーンストーミングや自由闊達なコミュニケーション・討議が行える、オープンな議論の場や舞台作りが重要と思います。この際に、完璧を目指すのでなく、漸進的に完結させつつ一歩一歩進めることも重要です。
 複合的な災害などのシステミックなリスクのガバナンスの中でアクセプタブル・リスクをいかに社会の中で決めていくかは重要ですが、それには多様な当事者の参加によるアプローチが不可欠です。また真に実践につなぐ“最後の1マイル”をいかに埋めるかと意識し、想像力・創造力を駆使して動的社会バランス解を見出していく努力が求められます。自由闊達なコミュニケーションと熟議のシステムの構築も不可欠です。最初は小さいサイクルからでも始め螺旋的に拡大していくためのイニシアティブと参加者が総力を挙げて進めていく場づくりが必要です。


講演概要

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