「原子力の安全性を問う」第5回公開討論会 
 講演概要/プロフィール(2011年12月11日(日)開催)  

プロフィール

山口 彰(やまぐち・あきら)

大阪大学大学院教授。
 原子炉工学、システム安全工学を専門とする。日本原子力学会リスク専門部会長などを務める。1979 年に東京大学原子力工学科を卒業、工学博士(1984、東京大学)。
 1984年から動力炉・核燃料開発事業団(現在の日本原子力研究開発機構)にて高速炉の熱流動、安全、リスク評価などの研究に従事。2006 年より大阪大学大学院環境エネルギー工学専攻教授。


講演要旨「原子力のハザードとリスク 安全と安心のために」

 福島第一原子力発電所の事故では、外部電源の喪失、津波によるディーゼル発電機の停止と海水ヒートシンクの喪失が大きな分岐点となり、大事故になってしまいました。
 過去にフランスの原子力発電所において、洪水により安全機能の多くを失うという事象がありましたが、フランスでは7年間にわたって包括的なレビュー、対策が行われてきたのに対し、日本では具体的なアクションは行われませんでした。
 安全規制というものは想定事象を設定した上で、安全に対処できるかどうかを評価するものですが、想定外を完全になくすことは困難ですので、極限事象を想定し、プラントの弱点を見極め、予防措置を講じていく必要があります。
 安全を向上するためにはハザードを閉じ込めリスクを抑制することが必要ですが、安心を得るためには、それに加えてハザードの顕在化に対応してリスクを管理する必要があります。内外の知見を踏まえつつ安全性を向上し続けるとともに、リスクを抑制しそれを適切に管理していくことが重要であると考えられます。


講演概要

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