「原子力の安全性を問う」第4回公開討論会 
 講演概要/プロフィール(2011年11月26日(土)開催)  

プロフィール

首藤 由紀(しゅとう・ゆき))

(株)社会安全研究所 代表取締役 所長
86年東北大学文学部社会学科(心理学専攻)卒業、97年早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程課程修了退学。
(株)防災都市計画研究所を経て、(株)社会安全研究所設立に参画し、ヒューマンファクター研究部部長、副所長を経て、09年より代表取締役所長。ご専門分野は、災害時・緊急時の人間行動、ヒューマンファクターズ、災害心理学。
国土交通省 運輸安全委員会 委員(非常勤)、内閣府原子力委員会 専門委員、経済産業省 総合資源エネルギー調査会 委員、文部科学省 宇宙開発委員会 特別委員、文部科学省 科学技術・学術審議会 専門委員など、多くの政府等の委員に就任されている。


講演要旨「防災(自然災害対応)と安全(事故防止)の両方に関わってきた立場から」

 津波高さは想定できなくてもやむを得ないが、全電源喪失や、低い場所にあるものが水に浸かることは想定しておけばよかったのではないかと時々耳にしますが、規模の想定だけでなく、生じる事態までを想定しておくべきだったのではないかと考えます。
 自然災害とは、地震、台風等の自然現象に起因したもので、人間社会がうまく対処できないことから被害が発生するものと定義されていますが、自然災害と原子力災害では、多くの点で違いがあります。今回の福島の場合は、起因事象が地震、津波という自然現象であり、人間が作った原子力発電所の影響による被害であるから自然災害と言えるのですが、大きな被害をもたらしているのは人為的な放射性物質であり、これが復興への取組みに大きく影響していることから、自然災害の定義そのものも改めて整理、見直しが必要と考えます。
 避難が長期化した災害の代表例である三宅島噴火災害と比較し、教訓として、(1)避難直後から長期化を見据えた対応〔a.早くから帰れないことも想定した今後の見通し計画立案、b.避難中のコミュニティ維持、生き甲斐構築(例えば元気農園)〕、(2)周到な「帰島計画」〔a.段階的に帰島、b.リスクコミュニケーションを通じた自己判断〕のような点があげられます。


講演概要

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