「原子力の安全性を問う」第4回公開討論会 
 講演概要/プロフィール(2011年11月26日(土)開催)  

プロフィール

河田 惠昭(かわた・よしあき)

関西大学社会安全学部長・教授(京都大学名誉教授)
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長
1974年京都大学工学研究科博士課程修了。工学博士。京都大学教授、巨大災害研究センター長、防災研所長を経て現職。現在、東日本大震災復興構想会議委員、中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」座長、「防災対策推進検討会議」委員など。2007年国連SASAKAWA防災賞(本邦初受賞)、2009年防災功労者内閣総理大臣表彰など受賞。論文:約700編、著書:『津波災害』(岩波新書)など多数。


講演要旨「自然災害への対応」~東日本大震災の教訓を生かす~

 これまでは過去数百年の経験を踏まえ地震・津波を想定してきましたが、今後は、科学的知見に基づき、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波を検討し、施設整備が困難と見込まれる場合にも、ためらうことなく想定地震・津波を設定ことが必要です。
 津波対策としては、二つの津波レベルを想定します。発生頻度は数十年から百数十年に1度で大きな被害をもたらす津波に対しては、海岸保全施設により人命及び財産を守ること(津波防災レベル)とし、今回のような発生頻度は極めて低いが構造物による対策の上限を超過し甚大な被害をもたらす最大クラスの津波に対しては、人命を守ることを第一に、被害の最小化を主眼とする「減災」の考え方に基づき、住民等の避難を軸に土地利用、避難施設、防災施設等を組み合わせ、とりうる手段を尽くした総合的な津波対策を確立すること(津波減災レベル)とする考え方です。
 津波からの住民避難は、徒歩による避難を原則とます。
 地震・津波に強い街づくりは、多重防御の考え方に基づき、海岸堤防や防災緑地の整備と合わせて、陸地側の道路や鉄道の高盛土構造等により多重に防御するとともに、避難場所、避難路の整備、建物の耐震化などの推進が必要です。


講演概要

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