プロフィール
中林啓修(なかばやし・ひろのぶ)
明治大学 危機管理センター 研究員
1976 年生まれ。2008 年3 月慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科単位満了修了。
独立系シンクタンク勤務を経て、2009 年12 月より現職。2010年3 月、博士号(政策・メディア)取得。2010 年9 月有限責任事業組合セキュリティ・ナレッジ・ネットワークス設立 専門分野は、テロ対策全般、EU 研究、ガバナンス理論など
講演要旨「原子力の危機管理」
危機管理とは、大地震などの自然災害や、不測の事態に迅速・的確に対処できるよう、事前に準備しておく諸政策であり、その場の対応以上に事前準備が重要です。
危機管理は、危機管理の4ステップ、リスクの4分類、危機管理の4段階で整理することができます。危機管理の4ステップは、戦略計画→標準的危機対応システム→研修訓練→リスク評価のサイクルです。リスクの4分類は、外的リスクか内的リスクかと、日常か非日常的かの2軸の関係で表されます。危機管理の4段階は、減災・被害防止、事前準備、応急対応、復旧・復興の各段階です。原子力の危機管理は、事前準備と減災害性に重点が置かれています。
福島第一原子力発電所事故をリスクの観点から整理すると、外的非日常リスクとして地震および津波、外的日常的リスクとして車両進入(F2)、内的非日常リスクとして電源喪失、内的日常リスクとして作業員管理があげられます。
原子炉等規制法では事故を起こさない、災害対策基本法(以下「災対法」)では事故は起きることを前提としているというように、前提を共有できているのか。また、災対法はボトムアップ型、原子力災害の現実ではトップダウン型という矛盾をどうするか。さらに、情報共有の問題、災対法における自治体の役割等が課題と指摘できます。