「原子力の安全性を問う」第2回公開討論会   
 講演概要/プロフィール(2011年10月29日(土)開催)  

プロフィール

田村昌三(たむら・まさみつ)

東京大学名誉教授、元安全工学会会長
1969 年東京大学大学院工学系研究科燃料工学専門課程博士課程修了、工学博士。1990 年東京大学工学部反応化学科教授。化学システム工学専攻教授、新領域創成科学研究科環境学専攻教授を経て、2004 年定年退官。名誉教授。2009 年横浜国立大学安心・安全の科学研究教育センター教授任期満了退職。日本学術会議安全工学専門委員会委員長、火薬学会会長、安全工学会会長歴任。
専門はエネルギー物質化学、化学安全。


講演要旨「原子力安全」

 安全の実現のためには、安全知の体系の構築が必要であり、安全理念を確立し、安全知識基盤及び安全工学手法を整備し、人・組織がそれらを活用できるシステムを整備するとともに体系的安全教育・啓発推進プログラムの構築をはじめ産業および社会の安全環境を整備することが重要です。
 化学プロセスの安全確保は、ハザードの抽出、リスク評価、安全対策とリスクの再評価等の各ステップから構成されるが、種々の視点からあらゆるハザードを漏れなく抽出することが重要です。今後さらにリスクを低減していくためには、安全文化の視点が必要になると考えており、保安の基盤の仕組みである保安基盤とそれを活性化する安全文化からなる「保安力」というコンセプトの導入を提案します。
 原子力安全の議論に向けて以下のことが重要と考えています。
(1) 多様な分野の安全確保の考え方の導入とリスク管理・危機管理による産業界のリスクの低減
(2) リスク情報の共有化と危機管理による住民のリスクの低減
(3) ベネフィットとリスクを基にした総合的・科学的議論の展開と、社会的コンセンサス


講演概要

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