「原子力の安全性を問う」第1回公開討論会 
 講演概要/プロフィール(2011年10月15日(土)開催)  

プロフィール

岡本孝司(おかもと・こうじ)

東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。三菱重工業(株)、東京大学助手、助教授を経て、2004年より東京大学教授。
現在、日本原子力学会「原子力安全」調査専門委員会技術分析分科会にて、福島第一原子力発電所事故を分析。


講演要旨「原子力安全」

 原子力分野の安全設計とは、IAEAの Safety Fundamentals(SF-1)が基本となっており、人及び環境を電離放射線の有害な影響から防護することが目的です。具体的には、IAEA Safety of Nuclear Power Plant(NS-R-1)の「5層の深層防護」の考え方に基づき設計がなされています。今回の福島第一原子力発電所の事故は、残念ながら、異常が5層まで、つまり人及び環境に対し放射線影響を伴うレベルまでいってしまいました。
 この福島の原力発電所の事故を踏まえて、新指針としては、リスクはゼロでないという考え方に立ち、想定を超えるリスクを含め、全体のリスクを充分に下げること、事故が起きても過酷事故(シビアアクシデント)に至らせないこと、さらに、過酷事故を緩和する、いわゆるシビアアクシデント対策を行っていくことにします。最終的にはこれらを実施していく設計者や運転者のクオリティを高めていくことがキーとなります。
 IAEAの「5層の深層防護」の考え方に準拠し、トラブルからノウハウを蓄積していく改善活動を続けていき、安全を担保する仕組みをつくっていくことが重要です。最後にフィンランド原子力規制庁元長官ブォリネンの言葉「Safety Culture and SAHARA(Safety as high as reasonably achievable)」を紹介します。合理的に達成可能な安全を目指し、安全な原子力発電所にしていきたいと考えています。


講演概要

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