プロフィール
大島榮次(おおしま・えいじ)
東京工業大学名誉教授、高圧ガス保安協会 参与
東京大学工学部助教授、東京工業大学資源化学研究所及び経営工学科教授を経て1991年より名誉教授。
第16期日本学術会議会員、安全工学協会会長、高圧ガス及び火薬類保安分科会液化石油部会長、その他保安に関する諸活動により内閣総理大臣安全功労賞を授賞。
現在、日本防災システム協会副会長。
プロセスシステム工学の分野で、「安全工学」「設備管理工学」が専門。特に化学及び石油プラントの安全管理の問題に取り組み、高圧ガス保安法に基づく多くのプラント事故の調査及び保安管理調査に携わっている。
講演要旨「安全のアクセプタンス」
安全を各人がどう許容(アクセプタンス)するかが、あまりはっきりしていないため、共通の理解を前提にしない議論が多いと感じています。安全は結論を信じるのではなく、何に対して安全かという具体的な判断が重要です。
安全を許容(アクセプタンス)するためには、危険の影響を、危険回避の対策(安全対策)に基づいて確認することが必要です。
安全対策の構造は、危険源の想定、危険の影響評価、危険回避の対策、安全性の総合評価という一連の情報に基づいて、それを受け入れるかどうかを判断すべきです。想定する危険性の可能性と対策の有効性を信じることができるかどうかということですが、我々が実際、どういった基準で何を受け入れているのかは非常に曖昧です。
このため、安全管理の基本的な課題は、全ての危険源を対象に何が起こるか(網羅的)、異常の影響の原因、現象を十分把握し何処でそれが起こるか(論理的)、いつ起こるかを予測し(予測的)、全ての現象が確実に評価されていて、それを正しくどう管理するか(管理的) が課題となります。即ち、パブリックアクセプタンスはこの4つの要因に基づいて、正しく社会が受け入れることが重要であると考えます。