A. |
計画に対する達成度 |
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(1) |
研究の目標に対する達成度 |
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金属材料技術は原子力産業の重要な基盤技術の一つである。Ni基合金のSCCは比較的新しい問題であるが、プラント運転期間の延長に際しては重要な課題となる。合金成分に着目した技術的解決策の提言ができており目標を達成できたと評価。
具体的には高Ni合金の高温水中のSCC機構は、Cr富化した皮膜の保護性が割れ感受性の有無を左右し、また、き裂前方の粒界に沿って形成されたCr欠乏層が加速的内方酸化の要因となることを見出した。さらに、酸化に及ぼす応力の影響はCr濃度が14%から22%の間にしきい条件が存在することから合金中にはCrを22%以上含んでいれば良いことを見出した。これらの成果はSCC対策として貴重な知見である。 |
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(2) |
研究後継者の育成 |
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学部学生から博士課程の学生を本研究に従事させて、それぞれ論文を仕上げさせている。また、教員、原子力企業への就職、大学院への進学等人材育成面で大きな成果を挙げている。 |
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育成人数が4人というのは少ないが、11件の学会報告がなされており、また大学において研究を継続する者と原子力産業界で活躍する者をバランス良く輩出したことは評価できる。 |
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(3) |
研究開発の進め方 |
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体制は、教授の下、博士課程2名、修士課程2名で構成され、研究成果が出ていることから妥当であったと考える。外部(研究者、産業界等)との連携や情報交換の記載がなく評価は難しいが、産業界や研究者が参加する国内の会議で発表しており、そのような場等を通じて関係者と意見交換などを実施したものと想定される。 |
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B. |
最終な成果 |
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原子力産業界が抱えている技術課題の解決について、1つの方向性を示唆する成果が得られた。 |
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優先酸化成分(Cr量)に対するSCC感受性、酸化物の状況、酸化皮膜の成分、酸化皮膜厚さが調査分析された。さらに、形成される酸化物種や酸化特性の観点からCr量が14%から22%の間にしきい条件が存在する可能性が示唆されたこと、また、応力腐食割れに対する耐性の観点から22%Cr材の特性は30%Cr材に近いことが示されたなどの極めて有用な成果が得られたと考える。 ただし、熱処理や溶接性までは解明されてなく、解明できれば産業応用が期待できる。 |
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