日本のエネルギー(2009.10.30)
前回の「エネルギーと環境」は世界的な話じゃったが、今回は日本のエネルギー事情について話をしてみよう。
今は特に問題はないですよね。
表面上はあまり大きな問題はない様に感じるかもしれんが、いろいろとあるのじゃよ。
まずは日本のエネルギーの現状をみてみようかのう。日本のエネルギー消費は経済成長とともに飛躍的に伸び、今では世界の約5%(2006年)を消費するエネルギー消費大国になっておる。そのエネルギーの半分は石油じゃ。

図1 日本の一次エネルギー供給量の推移
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
世界の約5%か、結構な比率ですね。
しかし、日本はエネルギー資源が極度に乏しく、そのほとんどを海外に依存しなければならないという宿命にある。
日本はイタリアなどと並んで自給率が低く、エネルギーのほとんどを海外から輸入しておる。輸入依存度が高いとエネルギーの入手が為替レートの変動やエネルギー輸出国の政治情勢などに左右され、私たちの生活も大きな影響を受けることになり、好ましいことでない。1973年と1979年に起きた「石油危機」はその大きな影響を受けた1つの例といえるのう。
そこで、エネルギーの供給源の多様化やエネルギー自給率の向上などを行い、「エネルギーの安定供給」を実現するのが日本のエネルギーの目標の一つじゃ。

図2 各国のエネルギー自給率(2005年)
使用データ:資源エネルギー庁>原子力AtoZ>>エネルギー自給率
自給率がこんなに低いなんて!! ということは、ほとんど輸入じゃないですか!!
そうじゃのう、日本のエネルギーはほとんど輸入じゃのう。この輸入したエネルギーを何に使っているかといえば、エネルギー消費割合は、産業部門が約1/2、民生部門、運輸部門がそれぞれ約1/4となっておる(2007年度)。
推移をみれば、日本のエネルギー消費は、第1次石油危機(1973年)頃までは産業部門を中心に大きく増加してきたが、それ以後はエネルギー効率の改善もあり、産業部門はあまり増加しておらんのう。
それに対し、1980年代半ば以降は、民生部門(家庭や商店、事務所ビルなど)・運輸部門を中心に増加しておる。

図3 日本の部門別最終エネルギー消費量
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
あれ?一次エネルギー供給量と最終エネルギー消費量の値が大きく違いますね?
そうなんじゃ。一次エネルギーの一部を電気などのエネルギーに変換するので、その時などに損失があって、利用するときはいくぶん量が少なくなるのじゃよ。

図1 日本のエネルギーバランス(2007年度)
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
図にある「民生部門」というと私たちの暮らしに直接関係しているところですね。
そうなんじゃ。「民生部門」のエネルギーというのは家庭や事務所などで使われているエネルギーのことじゃのう。正に暮らしに直接関係しておるのう。
暮らしに直接関係といえば、電気は便利で使い勝手が良いので、年々利用が拡大し、最終エネルギー消費に占める電力の比率(電力化率)は約1/4となっておる(2006年)。

図5 世界と各国の最終エネルギー消費に占める電力の比率(電力化率)
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
日本はエネルギーの使いすぎなんじゃないですか?
そうじゃのう。沢山使っておることには違いないが、そうでもない面もあるのじゃ。
日本のエネルギー消費は、戦後の経済成長とともに急速に増加したが、石油危機以後は省エネルギーに努め、世界的にみても日本は主要国中では最も効率の良いエネルギーの使い方をしている国になっておる。「省エネルギー」という意味では、日本は優等生じゃのう。

図6 各国のGDP当たりの一次エネルギー消費量
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
使う量も多いが、効率も良いということですね。
そうなんじゃ。でも効率も良いが使う量も多い。沢山使っておるので地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)の排出量も、世界の4%位となっておる。
第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で、日本は温室効果ガスの排出量を削減することを約束したが、削減目標達成のためにも、抜本的な省エネルギーと非化石エネルギー(原子力・新エネルギーなど)の積極的な導入が必要とされておる。
この「環境」に対する配慮が、日本のエネルギー問題で考えなければならないことの一つなのじゃ。

青色の国は京都議定書で削減義務がある
緑色の国と中国は京都議定書で削減義務がない
アメリカは京都議定書に参加していない
図7 世界のエネルギー起源二酸化炭素排出量(2005年)
使用データ:資源エネルギー庁>経済産業省、エネルギー白書 2008年版(2008)
特に問題はない、とはいえなくなってきました。
そう思ってくれるか。しかし、「安定供給の確保」や「環境への適合」を達成してもコストが高くなっては経済活動にも影響するので、「市場原理の活用」で効率化を目指さねばならん。
そこで、日本は持続可能な経済・社会の発展と、よりよいライフスタイルを築くため、「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」の3つをエネルギー政策の基本方針としておるのじゃ。
国は「新・国家エネルギー戦略」などで達成すべき目標をかかげているが、目標の達成は容易ではないのう。
現状固定ケース:今後、機器の効率が現状(2005年度)レベルのまま推移した場合を想定したケース。
努力継続ケース:今後とも継続して効率改善の努力を行い、耐用年数を迎える機器と順次入れ替えていく効果を反映したケース。
最大導入ケース:省エネ性能の格段の向上が見込まれる機器・設備を最大限普及させることにより劇的な改善を実現するケース。
図8 日本のエネルギー需給とCO2排出量の見通し(長期エネルギー需給見通し(2008年5月))
使用データ:経済産業省>白書・報告書>>長期エネルギー需給見通し
「目標の達成は容易ではない」では済まないじゃないですか。
そうじゃのう。「エネルギーをどうするか」というのは国の将来を決める基本的な問題の一つなのじゃから、皆も真剣に考えて欲しいのう。
次回は、最も身近なエネルギーの一つである「電力の話」じゃ。
関連ページ:
●日本のエネルギー供給
●日本のエネルギー消費
●日本のエネルギー構成
●日本のエネルギーバランス
●日本のエネルギー政策
●日本のエネルギー需給の予測
●各国のエネルギー自給率
●各国の最終エネルギー消費に占める電力の比率
●世界のCO2排出量
●各国のエネルギー利用効率
●エネルギー政策基本法
●エネルギー基本計画
●新・国家エネルギー戦略
関連サイト:
●資源エネルギー庁>エネルギー白書
●資源エネルギー庁>エネルギー政策基本法とエネルギー基本計画
●資源エネルギー庁>個別施策情報
●資源エネルギー庁>パンフレット
●資源エネルギー庁>キッズページ
●資源エネルギー庁>統計情報
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