エネルギーと環境(2009.10.30)
今回は「人類とエネルギーの歴史」の中でも出てきた「環境問題」について考えてみようかのう。
環境問題とエネルギーは関係があるのですか?
もちろん、大いにあるぞ。「人類とエネルギーの歴史」の講義で話をした様に、18世紀に起きた産業革命以後、エネルギー(主に化石燃料)は大量消費され、人類は食料の増産や、生活の便利さ・快適さ・ゆとりを得てきたが、それゆえ同時に、人口の急激な増加をもたらしたのじゃ。
ちょっと待って下さい。環境問題とエネルギーの話を聞きたいので、人口は関係ないですよ。
環境問題とエネルギーの話をする前に人口の話が必要なのじゃよ。
産業革命以前は地球上の人口は少ししか増えず、18世紀初めには約6億人であったと言われておる。産業革命以後、食料の増産と共に人口は急激に増え始め、今では約62億人(2003年)がこの地球上に住んでおるとされておるのじゃ。つまり、人類誕生以来18世紀までに数百万年かけて数億人に増えた世界の人口が、産業革命以後のほんの300年間でそれまでの約10倍にも増えたことになる。
さらに、21世紀の地球上の人口は、2050年には90億人以上にも達し、その人口増加の多くの部分が途上国で占められると予想されておる。

図1 世界人口の推移と見通し
使用データ:総務省>統計局ホームページ>世界の統計 第2章
人口
びっくりする様な増加ですね。
そうなんじゃよ。この人口増加という圧力が地球に何をもたらすのかといえば、一つは、食糧の不足であり、エネルギーの大量消費なのじゃ。
やっとエネルギーの話になりましたね。
世界のエネルギー消費は、近年急激な増加を示しておる。消費されるエネルギーのほとんどが石炭・石油・天然ガスという化石エネルギーであり、残りを原子力や水力等が担っておる。このエネルギー(特に化石エネルギー)の大量消費の結果として、先進工業諸国は飛躍的な経済成長を遂げ、人々は豊かな生活を享受してきたんじゃ。
今後も人口が増えることが予想され、生活レベルの向上のために経済成長を目指している途上国も経済成長につれて膨大なエネルギーが必要になるといわれておるのじゃ。

注)予測は(財)エネルギー経済研究所
図2 世界のエネルギー消費量の予測
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2008年版)
これ以上、まだエネルギー消費が増えるのですか!! 何か問題が出てきそうですね。
そうじゃ、既に指摘されてきておるが、エネルギーの大量消費に伴う環境汚染の問題が生じておる。当初、石炭の多量消費により工業地帯には煙突が林立し、すすや硫黄酸化物などの有害物質の大気汚染が住民たちの健康を損なったのは知っておるかのう。さらに、酸性雨や石油タンカーの事故等による海洋汚染も問題となった。
そして最近では、化石エネルギーを燃やすことにより生じる二酸化炭素などで地球温暖化問題が生じ、国際的検討も行われておるんじゃ。しかし、二酸化炭素は人間の活動の結果として排出されるものであり、その抑制は大変難しいのう。
それは大変ですね。
そうじゃのう。このように人口爆発を背景として、経済成長・維持のため、資源・エネルギーが大量消費され、このエネルギーの大量消費によって環境の悪化が引き起こされるという因果関係ができておる。密接な関係にある経済・環境・エネルギーの問題は、現在のところ真の対策は確立していないのじゃよ。

図3 密接な関係にある3つのE(経済・環境・エネルギー)
何とかならないのですか?
ウム。この問題の解決手段の一つが、効率的なエネルギーの使用を目指すいわゆる省エネルギーと、化石エネルギーに替わるエネルギーの開発・利用なのじゃよ。
なぜ化石エネルギーが問題なのですか?
今、一番関心の高い環境問題の一つが地球温暖化問題だからなのじゃ。二酸化炭素が増えると地球の気温が高くなる(温暖化)といわれておるのじゃ。

図4 気温、海面水位及び北半球の積雪面積の変化
出所:環境省>温暖化>地球温暖化の科学的知見>IPCC第4次評価報告書について
なぜ二酸化炭素が増えると地球温暖化の問題になるのですか?
良い質問じゃ。二酸化炭素は、熱が地球の外に出て行くのをふせぐ性質があるため、大気の中の二酸化炭素が増えると、地球の温度も上がってしまう。
この温暖化現象によって、海面の上昇、植物生態系の変化、砂漢化の加速化等の地球規模の深刻な問題が生じるのじゃ。

図5 温室効果のしくみ
大変じゃない、なんとかしないと!!
そうなんじゃよ。じゃから、世界は二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を抑えようと、気候変動枠組条約締約国会議(COP)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などで温室効果ガスの削減が検討されておる。
1997年12月に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で削減目標を決め、日本も温室効果ガスの排出量を2008年から12年までの期間中に、1990年の排出量より6%削減することを約束したが、多くの国ではここで決めた削減目標を達成するのは困難な状況にあるのう。
また、最近ではこの目標だけでなく、各国がさらなる目標も掲げておる。日本でも、鳩山首相が温室効果ガス排出削減の中期目標として1990年比25%減を目指すと2009年に表明しておるのう。
温室効果ガスの削減のためにも、省エネルギーと、化石エネルギーの代わりになるエネルギーの積極的な導入が必要となるのじゃ。

注)アメリカは京都議定書に不参加
図6 第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で決められた各国の温室効果ガス削減目標と排出実績値(2005年)
使用データ:資源エネルギー庁>経済産業省、エネルギー白書 2008年版(2008)

図7 世界の二酸化炭素排出量
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
それでは、化石エネルギーを使わなければいいのね。
いやいや、そうとも言えないのじゃよ。化石エネルギー以外でも、例えば、水力発電には河川及びその流域の自然環境の破壊、原子力発電には放射性物質による汚染への懸念、風力発電には騒音・景観・鳥への危害などの固有の環境問題があり、人類にとって環境とエネルギーの問題は一筋縄ではいかない困難な課題なのじゃよ。
どんなエネルギーにも問題があるのね。
そうじゃのう。化石エネルギーでも、二酸化炭素の排出量が石炭より少ない天然ガスの利用推進や、供給安定性の面で優れている石炭をクリーンに使う「クリーン・コール・テクノロジー」、さらには排出される二酸化炭素そのものを大気中に出さず閉じこめてしまおうという「CO2回収・貯留」などの動きがあり、課題克服に努力しておる。

図8 二酸化炭素の分離・回収・貯留のしくみ
さすが!! がんばっているのね。
ウンウン。そして、エネルギーを作る側の努力だけでなく、エネルギーを使う方でも、排気ガスを排出しないか、とても少ない「クリーンエネルギー自動車」などの開発が進められておる。
さらに、日本は「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」である循環型社会を目指して努力しておるのじゃ。

図9 リサイクルのエコマークの例
出所:環境省>総合環境政策>環境ラベル等データベース
いずれにせよ、これからの人類は、地球という限られた空間で生きる限り、経済、エネルギー、環境のバランスをとりながら発展することが望まれるのじゃ。君たち若い者に大いに期待しておるぞ、フォッ、フォッ、フォッ。
次回はいよいよ「日本のエネルギー」について講義してみようかのう。
関連ページ:
●人類とエネルギーのかかわり
●増え続ける世界人口
●世界のエネルギー消費の予測
●「経済・環境・エネルギー」の関係
●化石燃料とは
●地球温暖化
●温室効果ガス
●クリーン・コール・テクノロジー
●CO2回収・貯留技術
●循環型社会
●日本の廃棄物の量
●酸性雨
●クリーンエネルギー自動車
関連サイト:
●環境省
●EICネット
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