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一つ上の階層にリンクします。エネルギーの法則(2009.10.30)

今回は「エネルギーとは」の講義で説明した、いわゆる理科で習うエネルギーを中心にエネルギーの法則について説明してみようか。

 今回の話は難しい言葉がたくさん出てくるが、全部を「理解」する必要はないんじゃ、エネルギーのことを「感じて」もらえれば嬉しいのう。ほれ、あの「燃えよドラゴン」という映画の中でのブルース=リーの名セリフがあるじゃろう。「考えるんじゃない、感じるんだ(Don't think. Feel.)」。

 ところで、エネルギーの法則について何か知っておるかのう。

はい、それは知っています。「エネルギー保存の法則」ですね。

おう、よう知っておるのう、感心、感心。この法則は簡単に言えば「エネルギー全体の量は変わらない」ということじゃ。どこかでエネルギー量がプラスになれば、どこかで同じ量のエネルギーがマイナスになっているということじゃ。考えてみればなかなか意味深い法則じゃのう。これと同じことを熱力学の面から「熱力学第一法則」というな。

「第一法則」ということは第二や第三もあるということですか?

今日は冴えておるのう。その通りじゃ。「熱力学第一法則」ではエネルギーの量は変化しないといったが、実はエネルギーには価値の高低があってのう、同じエネルギー量でも「常に価値の高いエネルギーから低いエネルギーの方に変化する」というもので、これが「熱力学第二法則」というものじゃよ。
 常に価値が低くなる方に変化するという何とも困った法則じゃが、これがこの宇宙の法則なのじゃからしかたないのう。

 まあ、これらの法則により、いわゆる「永久機関(永久に動き続ける装置)」は不可能と証明されたのじゃから、夢のない話じゃ。

「永久機関」とは博士もロマンチストですね。

いやいや、気をとりなおして続けようか。
 このエネルギーの価値を表す言葉として「エクセルギー」という言葉が用いられておる。まあ、「利用可能なエネルギー」という意味じゃのう。エネルギー量がどんなに大きくてもそれらが全て利用できるわけではないのじゃよ。残念じゃのう。

 おう、そうじゃ。「熱力学第二法則」の「常に価値の高いエネルギーから低いエネルギーの方に変化する」ということを、「常にエントロピーは大きくなる」という表現で「エントロピー増大の原理」ということもある。「熱力学第二法則」を「エントロピー(複雑さを表す量)」という量で数値化して表現したのじゃ。物理学者は数値化するのが好きじゃのう。


図1 エネルギーとエクセルギー

もしかして第三もありますか?

あるぞ。「熱力学第三法則」とは、先に説明した「エントロピー」が絶対零度(−273.15度C)で0になる、という法則じゃ。絶対零度でエネルギー状態が最低になるのじゃから、これ以下の温度は有り得ないということじゃ。我々の暮らしておる室温の僅か300度C程度低いだけの温度が最低温度なのだから驚異的とも身近ともいえるのう。

エネルギーは増えなくて、使えないエネルギーばかりが増えていくなんて、夢も希望もないですね。

フッ、フッ、フッ、そこで諦めては科学者にはなれんぞ。いや別にならんでも良いか。
 実はじゃのう。こういう法則を破る現象が見つかったのじゃよ。それが核反応じゃ。大きな原子が核分裂した時、分裂前に比べエネルギーが発生しており、逆に質量の総和が減少しておったのじゃ。「エネルギー保存の法則」と同様に、「質量保存の法則(物質の量は変わらない)」という法則もあって、どちらの法則にも反しておる。

それじゃあ、「法則」失格じゃあないですか。

フォッ、フォッ、フォッ、そうじゃのう。そこで現れるのがアインシュタインというわけじゃ。彼は物質もエネルギーと本質的に同じと考え、物質も含めて考えるとエネルギー量は変わらない(エネルギー保存の法則)としたのじゃ。物質とエネルギーが本質的に同じとは、凄い考えじゃのう。この質量(m)とエネルギー(E)の関係が、下式じゃ。

   E=m×C2 (C:真空中の光速)

 つまり、核反応後の質量が反応前の質量より少なくなり、その差に相当する分のエネルギーが、核反応によって生み出されたという訳じゃよ。

だんだん頭が痛くなりそうです。理科で習うエネルギーの法則はこのへんでいいですから、社会科で習うエネルギーの法則はないのですか?

そうじゃのう、特に名のあるものはないが、ワシの個人的考えでは
(1)使わなくてはならない。
(2)使えばなくなる。
(3)使えばゴミが出る。
くらいかのう。

 まず、人が生きるために行うさまざまな活動には必ずそれに相応しいエネルギーが必要で、どうしてもエネルギーを使わなくてはならないのじゃ。しかし、再生可能エネルギーなどは別にして石油や石炭などの化石燃料は使えばいつかはなくなる。そこの所を忘れてはならんのう。また、どんなものでも使えば二酸化炭素、放射性廃棄物、使い古した機材などの「ゴミ」が出る。少量ならあまり問題にならんが、大量に使うと問題が生じるものじゃ。これも忘れてはならん。

なんだ、当たり前のことばかりじゃないですか。

そうじゃ、当たり前だから難しいのじゃよ。これからどうすればよいのか、よく考えて欲しい。期待しておるぞ。

 次回は社会科で習うエネルギーとして「人類とエネルギーの歴史」について説明してみようかのう。 


関連ページ:
「燃える」ということ
エネルギーとエクセルギー
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気体について
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核反応とエネルギー
関連サイト:
高エネルギー加速器研究機構キッズサイエンティスト

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