化石エネルギー(2009.10.30)
前回の「放射線と放射能」の話はいかがじゃったかのう?
今回は古くから使われている「化石エネルギー」の話をしてみようか。ところで「化石エネルギー」にはどんなものがあるか知っておるかのう?
そのくらい知っています。「石炭、石油、天然ガス」でしょう。
おお、良く知っておるのう。主なものはその3つじゃ。これら(石炭、石油、天然ガスなど)は大昔に生きていた動物や植物が、地下深くの温度や圧力により変化したものとの説があり、「化石エネルギー(化石燃料)」と呼ばれておる。
表1 化石燃料の概要
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種類
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成分
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常温・常圧での状態
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用途
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天然ガス
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メタン (CH4)
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気体
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発電用燃料
都市ガス原料等
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液化石油ガス(LPG)
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プロパン(C3H8)
ブタン (C4H10)
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気体
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各種燃料
化学工業原料等
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石油
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各種の液状炭化水素の混合物
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液体
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各種燃料
化学工業原料等
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石炭
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多環芳香族からなる高分子物質
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固体
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発電用燃料
鉄鋼用原料等
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ガソリン・灯油・都市ガス・LPGなど身近に使われていますよね。
そうじゃ、そうじゃ。エネルギー源としてだけではなく、化学製品の原料としても使用され、幅広い分野で生活を支えておる。
化石燃料は使うのに便利なエネルギーであるため、現在、世界で使われているエネルギーの大部分が化石燃料を燃やして作られるエネルギーなのじゃ。

図1 世界の一次エネルギー供給量
使用データ:資源エネルギー庁>経済産業省、エネルギー白書 2009年版(2009)
ほとんど化石エネルギーじゃあないですか!! 頼りすぎじゃないの?
そうじゃのう、今まで大量に使ってきたため、2つの問題が生じてきておるのじゃ。一つは「資源の枯渇」、もう一つは化石燃料を大量に燃やすと、地球温暖化や酸性雨の問題がおこるという「環境問題」じゃ。前者の問題はこの教室の「人類とエネルギーの歴史」で、後者の問題は「エネルギーと環境」で説明しておるので、詳しい話はそちらを見てくれ。
「資源の枯渇」の問題といえば、あたりまえじゃが、化石燃料は無限にあるわけではない。例えば石油は、地球にあった利用可能な石油の半分くらいを既に使ってしまい、このまま使い続けると21世紀中に使えなくなるという説もある。
この説が本当かどうか議論はあり、原油価格が高くなれば、タールサンド、オイルシェールなど、現在あまり利用されてない形の石油資源(非在来資源)の利用などが行われ、ピークはすぐには来ないとの考えもある。
石油の専門家の多くは21世紀中に現在の様な形の石油は生産のピークを迎え、その後減少すると考えておる。どちらにしても、「化石エネルギー資源の枯渇」の問題は人類の大きな課題であることには違いない。

図2 世界の石油生産量(キャンベル)
出所:石井吉徳:21世紀,人類は持続可能か−エネルギーからの視点−、季報 エネルギー総合工学Vol.24 No.3、(財)エネルギー総合工学研究所(2001年10月)
日本特有の問題はないのですか?
よくぞ聞いてくれた。現在の日本の化石燃料はそのほとんどを輸入にたよっているというのがその問題じゃ。特に、石油は輸入先の地域が偏っている(中東地域から約9割(2006年度))ので、中長期的な安定供給確保の面で懸念がある。また、原油の輸入価格が直接、経済活動に大きな影響を与えるなど、この問題は何とか少しでも解決しなければならない問題なのじゃよ。

図3 日本の原油輸入の中東依存度
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
そんなに偏っていたんじゃ、何かあったら大変じゃないの?
そうなんじゃよ。実は1973年と1979年の2度にわたり、中東地域における事件(第四次中東戦争、イラン革命)を原因に石油価格が高騰し、世界経済に大打撃を与えたことがあったのじゃ。これが「石油危機」、「石油ショック(Oil
Shock)」といわれているものなのじゃよ。
日本は石油への依存度が高かったため、「狂乱物価」「マイナス成長」といった大きな影響があり、トイレットペーパの買占め騒動、ガソリンスタンドの休日休業やネオンサインの夜間制限などがあったのう。あのときは本当に大騒ぎしたもんじゃよ。
石油危機後は、日本は脱石油、省エネルギー政策に力を入れるようになり、一時石油の中東依存度も減少していたが、最近では石油危機当時の依存度を超えておるのう。また、近年石油価格が上昇し、一時史上最高値を記録したこともあったのう。

図4 国際原油価格(アラビアンライト)の推移
使用データ:資源エネルギー庁>パンフレット>日本のエネルギー
2009
何だか暗い話になってきましたね。明るい話はないのですか?
ないわけではないぞ。例えば、「メタンハイドレート」は新たなエネルギー資源として期待され、これを開発・利用する研究が始まっておる。
メタンハイドレートは世界中に分布し、日本周辺でも多く(日本の年間天然ガス使用量の100年分以上)分布していると推定され、主に海底にあるメタンハイドレートの量は現在知られている全世界の天然ガスと原油、石炭などを合わせた総埋蔵量の2倍以上あると言われており、新しいエネルギー資源として期待されておる。
しかし、その開発・利用には安く安全に取り出す技術開発などの多くの課題がまだ残されておるのじゃ。こういった課題を克服して、初めて人類に有益なエネルギー源として利用することが可能となるのじゃよ。

図5 日本近海のメタンハイドレート分布
出所:経済産業省、エネルギー白書 2007年版(2007)
日本の近くにそんなエネルギー資源があるのですか。夢のようですね。
そうじゃのう。メタンといえばこれを主成分とする天然ガスは、日本へはマイナス162度Cに冷却し、液化天然ガス(LNG)の形で輸入しておる。天然ガスの特徴は[使いやすい、クリーンである、安全である]となかなか良いエネルギー源なので、石油危機以降、石油代替エネルギーとして天然ガスは着実に消費量が増えておる。将来は、自動車用燃料、燃料電池などへの利用も期待されておるのう。

図6 日本の天然ガス販売量(工業用燃料向けは除く)
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2009年版)
そんなに良いエネルギー源だったら、石炭など使うのをやめて、もっと天然ガスを使えば良いのでは?
いやいや、石炭には「安い、資源量が豊富」など良い点もあり、これはこれで貴重な資源なのじゃよ。また、世界的にみれば今後エネルギー消費量の増大につれて、石炭もその消費が増えると予想されており、消費量が増えるにつれて、石炭の欠点である、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い、固体であるので扱いづらい、燃やした後の石炭灰の処分などのマイナス面も大きくなってくる。
そこで、これらの解決策を総合的に推進していこうというのが「クリーン・コール・テクノロジー」という考え方であり、利用可能なものから少しづつ導入されておる。
表2 クリーン・コール・テクノロジーの考え方
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問題点
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地球温暖化の原因となるCO2の排出が多い
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酸性雨の原因となるSOxやNOxの排出が多い
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固体であるので扱いづらい
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多量の石炭灰が発生する
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↓
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↓
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↓
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↓
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課題
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CO2排出量の削減
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SOx、NOx排出量の削減
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扱いやすさの向上
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石炭灰の適切な処理
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↓
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↓
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↓
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↓
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技術開発
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熱効率向上に関する技術
分離・回収、隔離・貯蔵技術
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脱硫・脱硝に関する技術
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扱いやすさ向上技術
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石炭灰の処理技術
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クリーン・コール・テクノロジー
・石炭ガス化複合発電技術(IGCC)
・超々臨界圧発電技術(USC)
・加圧流動層燃焼複合発電技術(PFBC)
・二酸化炭素の分離・回収、隔離・貯蔵
など
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参考:(財)石炭エネルギーセンター>日本のクリーン・コール・テクノロジー
経済産業省:エネルギー白書 2004年版(2004)
古くからあるエネルギー源もなかなかダイナミックなのですね。
なにせエネルギーの主役じゃからのう、パワフルなのは当然じゃ。
さて、次は「新エネルギー」の話でもしようかのう。
関連ページ:
●化石燃料とは
●石炭とは
●クリーン・コール・テクノロジー
●石油とは
●石油の位置づけ
●日本の石油の輸入
●石油資源の枯渇
●原油の価格
●石油危機
●天然ガスとは
●天然ガスの位置づけ
●日本の天然ガス消費量
●メタンハイドレート
関連サイト:
●(財)石炭エネルギーセンター>石炭ランド
●J-POWER/電源開発株式会社>石炭
●石油連盟
●石油技術協会>石油開発ABC
●(社)石油学会>石油豆知識
●東京ガス株式会社>ピピッと!ガス百科
●国際石油開発帝石株式会社>親子で学ぼう「天然ガス見て知って館」
●(社)日本ガス協会>こどもガス教室
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