エネルギーとは(2009.10.30)
ワシはエネルギーについて研究している江音留義(えね るぎ)というものじゃ。これからこの教室でエネルギーについて共に勉強しようではないか。
それでは、質問します。エネルギーとは何ですか?
これはまた最初から難しい質問じゃのう。エネルギーといっても分かったようで分からないものじゃ。言語学的にいえば、エネルギーとは「仕事をする能力」という意味を持つギリシャ語の「エネルゲイア」から派生した言葉なのじゃよ。
広辞苑(第四版)の説明をみると「(1)活動の源として体内に保存する力。活気。精力。(2)物理的な仕事をなし得る諸量の総称。」とある。...ようわからん。次に、理化学辞典(第5版)をみると「閉じた系で普遍的に保存されるという意味で最も基本的な物理量」とある。ますますもって訳が分からなくなるのう。
そこでネットで調べてみると、高エネルギー加速器研究機構のサイトでは、「エネルギーとは可能性のこと」だと言っておるが、正に言い得て妙じゃのう。
「今の状態を何か別のものに変化させる可能性を持ったもの」ということかのう。確かに、石油や石炭、天然ガスなどの化石エネルギーは人間社会や地球を大きく変えてきたのう。
ますます分かりません。
すまんのう。例えばじゃ、社会体制を変える「革命のエネルギー」とか、ウルトラマンは「光のエネルギー」で動くという様に使わんか?何かをやろう、しようとする時には必ずエネルギーが必要になるのじゃよ。
まあ、マンガの世界でも、ウルトラマンは「光のエネルギー」、仮面ライダーは「風力エネルギー」、鉄腕アトム・8マン・ジャイアントロボは「原子力エネルギー」などと、エネルギーの設定には凝っておるのう。果ては、アイアンキングの「水のエネルギー」などと訳の分からないものまで...
オイオイ...オイオイ。
オッ、イカンイカン。つい横道にいってしまった。すまんのう。
そこでじゃ、「エネルギー」という言葉には、大きく分けて2種類の使い方がされておる。
2種類というと?
学校の授業でいうと、理科で習うエネルギーと社会科で習うエネルギーということかのう。理科や物理の授業で習うエネルギーでは「電気エネルギー、力学的エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー」などいろいろな種類があったじゃろう。
一方、社会科では私たちが日常利用している石油や電力などのエネルギーを習ったであろう。このサイトのエネルギー講座では主に後者の意味のエネルギーを扱っておるのう。
石油は物質であって、エネルギーではないのでは?
厳密にいえばそうじゃ。じゃが一般的にはエネルギーを発生させるものもエネルギー(又はエネルギー源)と呼んでおる。これらは燃料として「燃やして」エネルギーを得ているのじゃよ。
ここで、「燃える」ということについて説明してみようかのう。
「燃える」ことくらい分かっていますが?
まあまあ、少し聞いてくれ。「燃える」ということは、簡単に言えば「光と熱の発生を伴って物質が酸素原子(O)と化学反応すること」を意味しておる。普通は「物質の分子を構成する炭素原子(C)や水素原子(H)などを酸素原子(O)と化学反応」させてエネルギーを取り出しておる。例えば天然ガスの主成分であるメタン(CH4)が燃えるということは化学式で表すと下記の様になるんじゃ。
CH4+2O2→CO2+2H2O+エネルギー(光、熱)
つまり、「燃える」と炭素原子(C)と酸素原子(O)が化合して二酸化炭素(CO2)が、そして水素原子(H)と酸素原子(O)が化合して水(H2O)が出来、その時の化学反応によりエネルギーが発生するのじゃ。化石燃料(石炭・石油・天然ガスなど)を燃やしてエネルギーを得るということはこの様な原理を使っているということなのじゃよ。
なるほど、それで燃えるためには酸素が必要なのですね。
そうなんじゃ。ちなみに、人間が生きて活動するための体内エネルギーも、同じく食物中の炭素や水素を肺呼吸で取り入れた酸素と化学反応させて、つまり広い意味で「燃やし」て作っておるのじゃ。いってみれば、人間も火力発電所も動く原理は同じということじゃのう。

図1 呼吸と燃焼の比較
なるほど、それで「燃える男、星野仙一」か!!
「燃える男」は置いといて。上の化学式を見て何か気づかないか?
そう、私達が燃料を燃やして手に入れたいものは「エネルギー」であって、二酸化炭素や水は特に必要とはしていない物じゃ。さらに、実際には炭素原子と水素原子以外のものも「燃える」ので、その場合には汚染物質も発生することがあるのじゃよ。例えば燃料中に不純物として硫黄(S)が混じっていると、下記の様に硫黄酸化物(SOx)ができるのじゃ。
S+いくつかのO→SOx
また空気中の窒素(N)と酸素が反応して、下記の様に窒素酸化物(NOx)ができるのじゃ。
N+いくつかのO→NOx
この硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)は酸性雨など大気汚染の原因となる汚染物質なのじゃ。また、二酸化炭素(CO2)も少量では無害なのじゃが、大量に排出されると地球温暖化の原因となり、世界の大問題になっておる。
わあ、汚染はいやですね。
余分な物といっても、水素が燃えた場合は出来るのは水じゃから、燃料中に水素の比率が多いほどクリーンな燃料といえるのう。
どんな燃料が水素の比率が大きいのですか?
そうじゃのう、燃料中に水素が多い燃料順では(水素>天然ガス>石油>石炭)じゃ。この意味で燃えても水しか出ない水素がクリーンな燃料として期待されておるのじゃよ。
また、燃料中の水素が少なく炭素の多い石炭も、よりクリーンに使っていこうということで「クリーン・コール・テクノロジー」という動きもあるのう。
「燃やす」だけでも大変なんですね。
分かってくれたか。何事も「大量」に行うと何かと問題が出てくるのじゃよ。
余談じゃが、燃やす時に酸素が不足して、炭素と酸素が不完全に化合すると二酸化炭素(CO2)のかわりに一酸化炭素(CO)が出来るのじゃ。これが猛毒ガスでのう、昔は炭素の多い固形燃料で暖房などしておったので、一酸化炭素中毒で死ぬ人が多く、痛ましい限りじゃった。火を使う時には空気の入れ換えなど十分に注意してくれ、よいな。
( 完全燃焼)2C+2O2→2CO2+エネルギー
(不完全燃焼)2C+ O2→2CO
+エネルギー
はい、分かりました。ところで、原子力発電などでも燃料を燃やすとか言いますが、これも同じなのですか?
いやいや、原子力発電でウラン燃料が「燃える」とか、太陽が「燃える」という言い方をするが、これはちと違うのじゃよ。これらの「燃える」原理は、上記の様な「酸素原子との化学反応」のことではなく、「核分裂や核融合」といった「核反応」のことで、全く原理が異なるのじゃ。
ただ、前者と同じく「エネルギー」が発生するところから「燃える」という表現を用いておる。
風力エネルギーなどの自然エネルギーも、元は太陽の核融合エネルギーからのものじゃから、人類が使うエネルギーは皆「燃える」エネルギーじゃ。人間「燃えて」生きようぞ。

図2 核反応の例
次回は「エネルギーの法則」について説明してみようかのう。
関連ページ:
●「燃える」ということ
●いろいろなエネルギー
●状態変化とエネルギー
●化学変化とエネルギー
●核反応とエネルギー
●くらしとエネルギー
●エネルギーの分類
●化石燃料とは
●クリーン・コール・テクノロジー
●核分裂反応
●核融合
●地球温暖化
●酸性雨
●水素エネルギー
●CO2回収・貯留技術
関連サイト:
●高エネルギー加速器研究機構>キッズサイエンティスト
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