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15年度報告書概要版
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マイクロ地層環境による核種移行挙動評価技術の開発
平成15年度 審査委員会評価
 
実施者:
(株)日立製作所、東京電力(株)、東京大学、東海大学

【総合評価】
 本フィージビリティスタディは短期間で実施されたものではあるが、当初の計画が予定通り完了し、概ね当初の目標、成果を達成していると評価できる。
 地層処分の安全評価における核種移行遅延現象を短期間に評価する技術の開発は、最も重要な課題であり、本技術開発はこの分野における安全に関する信頼性を向上させる技術として、実用化が期待できる要素技術である。さらに、マイクロリアクタの概念をこの分野に導入する点は革新的であると評価でき、本技術開発の進展により、合理的な処分システムの確立に資する可能性が期待できる。
 本技術開発では実用化に向け一定の技術的確認を行えており、実用化の可能性は高いものと期待している。今後の研究活動においての更なる進展を期待する。
 
【参考コメント】
A. 研究開発テーマの妥当性・意義
  我が国の核燃料サイクルの安全性・経済性向上に成果が期待できる実用技術体系における枢要な要素技術と認められる。今後の研究活動に期待する。
  * 移行現象の評価を、小規模な体系での精度良い測定により、マクロ体系でのパラメータを決めていこうとする革新的な取り組みである。分子軌道法や密度汎関数法の結果をマクロパラメータにどのように反映していくかの指針を示されたい。
  * 天然バリア中の核種移行をモデル化し、拡散係数や分配係数を測定する技術を開発した意義は大きい。今後は開発した理論モデルを実験で検証していくことが望まれる。
  * この分野では革新的な技術であり、微細な挙動に広く適用できる可能性がある。
  * 地層処分の安全評価において、短期間に核種移行遅延現象を評価できる技術であり、合理的な処分システムの確立に資することが可能であり、成果に期待する。
  * 岩盤亀裂中の核種移行挙動の把握は処分の安全に関する信頼性を向上させる上で最も大きな技術開発項目の一つであると言え、その重要性は極めて高い。
  * マイクロリアクタのイメージからは遠いサイズであるが、実験体系の小型化によって、測定時間の短縮などを目指している。パラメータの変化が容易であり、メカニズムの解明などの基礎研究に寄与するものと考えられる。
  ▲Top
B. 研究開発目標、計画の妥当性
  (1) 研究開発目標の革新性の観点からの妥当性
研究開発目標は国際的に見て、他に類を見ないものである。今後の研究活動に期待する。
    * 原位置での非破砕岩石での核種移行の測定は、世界的にもはじめての試みであり、国際的にも高い水準の研究である。
    * マイクロリアクタという先端技術を処分分野に応用した例はなく、独創性が高い。特に、最終目標としている原位置環境における拡散係数取得方法については、現在、存在していない技術であり、開発が成功すれば世界初となる可能性が高い。
    * モデルの理論は、岩盤中の核種移行を理解する上で、重要なものである。
  (2) 研究開発目標の事業目的達成の観点からの妥当性
当該実用技術体系の実用化可能性を概ね確保できる水準であると認められる。今後の研究活動に期待する。
    * 実用化までには課題が残されているが、地層処分の研究として重要である。
    * 原位置試験への適用性を判断する上で前提となる室内試験における核種移行パラメータの取得可能性の確認が本件研究内の開発目標であるが、この点に関する実用化可能性に関しては確保できる水準といえる。
    * パラメータの変化が容易であり、現象の把握、メカニズムの解明などの基礎研究に寄与するものと考えられる。
    * 量子計算の位置付けを明確にすること。
  (3) 研究開発計画の妥当性
計画は一部に過不足とも思われる要素もあるが、総体的には妥当であると認められる。
    * 主たる目的は実験装置の小型化にあるので、直接的には関係しない項目も含まれているが、概ね妥当である。
    * 欲を言えば原位置試験への適用性を確認するための項目が含まれていないが、その前提となる室内試験での適用性については幅広く計画に取り込まれている。
    * 実質3ヶ月の成果としては多く結果が示されているが、この短期間では無理があるのではないか。
  ▲Top
C. 研究開発実施者の事業体制、運営の妥当性
  適切な連携が図られ、概ね妥当な事業体制・運用が行われていると認められる。
  * 項目間の検討内容や成果のバランスがとられていることから、大学、企業が適切に連携を行い、研究を遂行したものと判断できる。
     
D. 計画と比較した達成度、成果の意義
  (1) 計画と比較した目標の達成度
目標は概ね達成できたものと認められる。
    * 短期間の研究としては目標水準を上回る成果があった。
    * 数時間〜数日という既存試験法と比較して極めて短い試験期間において、核種移行パラメータを取得できる可能性を示すなど、高い成果を挙げており、当初の目的を達成したといえる一方、実験室においては従来から多くの方法が試みられているので、これらと比較しての新規性としては乏しい。
  (2) 要素技術としての成果の意義
実用技術体系における要素技術として概ね妥当であると認められる。
    * 実用化に向けて、技術的確認を行えた(一歩前進した)ものと評価できる。現時点においても実用化の可能性がかなり高い。→D(2)へ移行
    * 室内試験法としての実用性に関しては極めて高い可能性が感じられる。原位置試験への適用性については現時点では検討が十分とはいえないが、実用化された場合の効果を考慮すると、フィージビリティ・スタディとしては期待がもてる成果水準であるといえよう。
    * 極めて薄い材料を作製するために、これが試料の本来の性質を損なうことがないのか検討が必要である。基礎研究の方法としては、概ね妥当と認められる。
  (3) その他特筆すべき成果
具体的な成果の技術水準を裏付ける実績はないが、本研究開発の今後の成果に期待する。
    * 単年度の計画であり、実施期間が短すぎるため成果が生じていないのは止むを得ない。実施期間が長くなるような工夫をすべき。未だ、論文・発表等がないが、今後期待が持てる。
    * 本開発技術は、設備が簡易で済むと思われるため、汎用性が高い技術であると思われる。論文投稿、口頭発表については、今後積極的に実施されるものと期待する。
    * 人材育成の観点、他の研究機関との連携を図り、当該研究分野における研究活動が活発化することを期待する。
     
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